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「安定志向だからこそ、挑戦し続ける」Finatextホールディングス 取締役CTO/CISO 田島 悟史 氏が目指す“全員CTO”のフルサイクルエンジニアリング体制とは

「金融を“サービス”として再発明する」をミッションに掲げ、SaaS型の金融基幹システムを展開するFinatextグループ。株式会社Finatextホールディングス(以下、Finatext)の取締役CTO/CISOとして、社内・社外向けシステムの基盤構築・運用を牽引する田島 悟史(Satoshi Tajima)氏のキャリア形成、企業選択の軸に迫ります。

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“ニューエリートをスタートアップへ誘うメディア” EVANGEをご覧の皆さん、こんにちは。for Startups, Inc.のヒューマンキャピタリスト安松 花子(Hanako Yasumatsu)と申します。

私たちが所属するfor Startups, Inc.では累計650名以上のCXOを含むハイレイヤーや経営幹部クラスのご支援を始めとして、多種多様なエリートをスタートアップへご支援した実績がございます。

EVANGEは、私たちがご支援させていただき、スタートアップで大活躍されている方に取材し、仕事の根源(軸と呼びます)をインタビューによって明らかにしていくメディアです。

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田島 悟史(Satoshi Tajima)
大学在学中から、株式会社VOYAGE GROUP(現・株式会社CARTA HOLDINGS)のインターンに参画し、同社に新卒入社。システム本部にて、全社のインフラ構築を担当するほか、セキュリティ部門の立ち上げなども経験。2019年2月にFinatext入社。社内・社外向けシステム基盤およびセキュリティ体制の構築・運用に携わる。2022年6月、Finatextホールディングスの取締役CTO/CISOに就任。

SaaS型の金融基幹システムを展開するFinatextグループと田島CTO/CISOの役割

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-- まずは、Finatextグループの事業内容を教えてください。

弊社グループは大きく分けて、「金融インフラストラクチャ事業」「フィンテックソリューション事業」「ビッグデータ解析事業」の3つの事業を展開しています。中でも、特に注力しているのが金融インフラストラクチャ事業です。

日本の金融機関の基幹システムは、全般的に「老朽化している」と言われています。少しの改修でもコストがかさみ、メンテナンスも長びいてしまうことを課題と捉える企業は多いです。私たちはそれらを解決すべく、金融システムをSaaS型でクラウド上に構築し、各金融機関に提供しています。メンテナンス不要で、従量課金制のため維持管理のコスト削減も可能です。

また、これらのシステムを、金融機関以外の事業者様向けに開発・提供することも行っております。具体的には、レストラン予約サービスと提携した『OMAKASEキャンセル保険』が挙げられます。お客様負担になる高額なキャンセル料を補償する保険を開発し、予約時に任意で加入してもらえるよう、サービス内に組み込みました。

使いにくい印象がある金融システムの仕組みを根本から見直し、多くの事業者様が使いやすいサービスを提供できるよう、日々開発にあたっています。

-- その中で田島さんはどのような役割を担っていますか?

現在は取締役CTO/CISOとして、社内・社外向けシステムの基盤構築・運用を牽引しています。金融システムはセキュリティ体制も重要なので、その部分を特に注視して管理しています。

「安定志向」だからこそ選んだスタートアップ

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-- 田島さんのキャリアを、過去を遡って伺いたいと思います。エンジニアリングに関心を持ったきっかけを教えていただけますか?

大学3年生の夏に、前職である株式会社VOYAGE GROUP(現・株式会社CARTA HOLDINGS、以下、VOYAGE GROUP)が募集していたエンジニアのインターンに参加したのがきっかけです。

私は文系だったので、VOYAGE GROUPの文系インターンに参加するつもりで応募し、エンジニアのインターンは”ついで”の応募でした。ところが、なぜかエンジニアの選考が通過したのです。それが、エンジニアとしてのキャリアの始まりとなりました。

-- たまたま応募したインターンが、田島さんのエンジニア人生の原点となったのですね。VOYAGE GROUPのインターンに参加しようと思ったのはなぜですか?

そもそも私は、とても「安定志向」なんですよ。だからこそ、大学卒業後はスタートアップやベンチャー企業で働こうと決めていました。当時は、VOYAGE GROUPに限らず、インターンができる企業を、スタートアップの中から探していました。

-- 安定志向とスタートアップ、一見繋がりがないように感じます。田島さんのおっしゃる「安定」とはどういうことでしょうか?

スタートアップのような厳しい環境で力をつけて、いつ何時、どんな会社でも働ける実力をつけることが、私にとっての「安定」です。

終身雇用のもと、一社で働くことを「安定」と捉える人もいるかと思いますが、私は逆に一社でしか働けないのはリスキーだと考えます。例えば、新しく赴任した上司と合わなかったり、会社の方針が変わったりして、当初思い描いていた環境と違う状況になることってありえますよね。その時に、転職したいと思っても、一社でしか経験を積んでいなかったら、スキル不足で他の会社に行けないかもしれない。

このように転職を考えられない状況に陥るよりは、どの会社でも通用するスキルを磨ける組織にいたほうが、結果的に私自身が安定した状態でいられると考え、そんなスキルを得られる場所としてスタートアップを志望しました。

-- 大学生の時からすでに、そのような価値観を持っていらっしゃったんですね。

そうですね。スタートアップだったら多くの経験を積めて、どこでもやっていける自信がつけられるはずだと、大学生ながらに思っていました。

-- エンジニアのインターンを受けてみて、いかがでしたか?

エンジニアとしてのインターン参加は想定外でしたが、やってみたら学びも多くて楽しかったのを覚えています。インターン時代は、プログラミング言語であるPHPを学びながら、ソーシャルゲームの開発に携わっていました。夢中でインターンを続けていたら、大学4年生になる前に、先方から「社員にならないか」と提案いただき、そのまま新卒で入社することに決めました。

-- 新卒入社後は、ソーシャルゲーム開発部署から全社のインフラを管理するシステム本部に移られますが、きっかけを教えてください。

ソーシャルゲームの開発をしていくうちに、インフラ面に興味を持ちました。今までは、言われるがままにサーバーにログインしてコードを書いていましたが、その基盤を誰がどう構築しているのかが気になるようになっていました。

人事に話を聞いてみると、システム本部が社内のインフラ全般を担っていることが分かり、そこでの仕組みや技術を学びたくて、大学卒業後はシステム本部に移りました。

VOYAGEでの挑戦の日々。その挑戦を支えた田島氏のスタンスとは

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-- システム本部に異動後も、多くのチャレンジをされたと伺っていますが、どのようなチャレンジだったのでしょうか?

とにかく、新たな領域にどんどん手を伸ばしてチャレンジを重ねていきました。毎日が刺激的で、常に新しいインプットを繰り返す状態でしたね。

具体的に言うと、まず3年で、アプリケーションと周辺領域であるインフラ部分の構築ができるようになりました。さらに5年かけて、複数にまたがるサービスを管理するための、インフラの作り方を一定習得できました。オンプレミス(サーバーやネットワーク機器)で稼働しているシステムを、徐々にクラウドのAWSに移行していく大型プロジェクトをリードできたのも貴重な経験です。

そして、会社を辞める7年目のタイミングでは、ユーザー向けサービスのインフラ以外、例えば社内の情報システム部門の担当や、セキュリティ部門の立ち上げも経験しました。これで、会社を立ち上げる際に必要なシステムの構築方法をひと通り経験できたと思いましたし、インターン時代からは考えられないくらいの幅広いスキルを身につけられたと思います。

-- 本当に広範囲にまたがる経験を得られた環境だったのですね。

そうですね。VOYAGE GROUPは、自分のやりたいことを何でも経験させてくれる環境だったので、新卒でそのような環境に身を置けたことはとても良かったです。

-- とはいえ、新しい領域にチャレンジするにあたり、新たな知識を目まぐるしくインプットしていくことは大変だったのではないですか?

大変という感覚はなかったですね。今もですが、エンジニアとして何かを学ぶときに、それを苦しいとか辛いと思ったことはありません。ゲーム感覚で、ひとつずつクリアしていくようなイメージで取り組めています。

ただ、知らないことが多くて「悔しい」とは感じていたので、その気持ちをバネに新たな知識を貪欲に吸収していきました。振り返ればその悔しさは、日々の挑戦の原動力になっていたのかもしれません。

フォースタートアップスと出会いFinatextを知る。次なる挑戦の場として選んだFinatextでの日々とは

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-- あらゆる経験を積めたVOYAGE GROUPから、転職しようと思ったきっかけを教えてください。

冒頭で、一社にとどまるのはリスキーだと話しましたが、結果VOYAGE GROUPには7年ほど在籍しており、当初の想定よりも長くなりました。経過年数で自然と転職を考えるようになったのと、VOYAGE GROUPでシステム構築をひと通り経験できたのも、転職を後押しする要素になりました。

-- 次なるステップとしてどんな転職先を考えていましたか?

面白そうという単純な理由ですが、次の転職先はフィンテック企業で探していました。

たまたま、私が前職を辞めるのと同じタイミングで、一緒に働いていた先輩も転職するというので話を聞いてみたら、エージェントが良い会社を紹介してくれたと言うんです。名前を尋ねたら、フォースタートアップス(以下、フォースタ)さんだったんです。

さらに、話を聞いたその日にメールを開くと、なんとフォースタさんからメッセージが届いていました。当初、エージェントは使わずに自分で探した企業だけに応募する予定でしたが、フォースタさんはエージェントではなく、ヒューマンキャピタリストとしてスタートアップの成長支援をしているそうなので、話を聞かせていただくことにしました。

-- そんな経緯があったのですね!そして、当社の村上 修一(シニアヒューマンキャピタリスト)がFinatextをご紹介したと。

そうなんです。紹介されたときはFinatextの存在を知りませんでしたが、選考を通して、展開している事業内容に惹かれていきました。

また、ほとんどのフィンテック企業が、シングルプロダクトの傾向であるのに対して、Finatextはマルチプロダクト体制だったことも、前職との親和性を感じたポイントでした。VOYAGE GROUPでも、マルチプロダクトのインフラ構築に携わっていたので、引き続きそのノウハウを活かせそうだと思ったのと、AWSなどのモダンな技術も積極的に取り入れてると聞いて魅力に感じ、入社を決めました。

-- Finatextに入社後の印象はいかがでしたか?

予想はしてたものの、カオスだと感じたのが第一印象です。前職では、ある程度インフラが整った状態で構築に携わっていましたが、Finatextはまだ整っていない基盤や仕組みがたくさんある状態でした。しかし、ネガティブには捉えず「この環境をより良く整えていこう」と意気込んでいましたね。

ちなみに、私の掲げる「安定志向」にはフィットした会社だと思います。成長を遂げられる厳しい環境に引き続き身を置けたことは良かったです。

-- 入社した時の印象的なエピソードはありますか?

入社直後に、リリースしていた証券サービスに大きなトラブルが起きました。ポストモーテム(再発防止のための議論や事後検証)のファシリテーターに立候補したのは、ひとつ成長につながった経験です。

ファシリテートを通して、システムの理解が一段と深くなったことと、金融システムの障害が与えるインパクトの大きさを肌で感じられたのが良かったです。また、エンジニアやビジネスメンバーの議論をまとめるうちに、金融システムだからこそ注意を払うべきポイントや、対応に当たるうえでの温度感を、入社後早い段階で掴めたと思います。

取締役CTO/CISOに就任。田島氏の目指すCTO像とは

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-- そんな中、2022年の6月に取締役CTO/CISOに就任されましたが、田島さんが理想として掲げるCTO像はありますか?

前職のCTOは視野が広く、視点も鋭い人でした。その仕事ぶりを間近で見ていた影響もあり、いつかはその人を超えられるような存在になりたいと思っています。

-- 具体的にどんな方だったのでしょうか?

私が出したひとつの結論に対して、別の観点での影響を示唆し、新たな可能性を導いてくれる人でした。

前職で、あるサービスをオンプレミスからAWSに移行するプロジェクトのリードをしていた時の話です。

移行にあたり、費用対効果に不安を覚える場面がありました。そこでCTOに、費用対効果の面からこの移行はやめたほうが良いのではと相談したら「費用面でマイナスでも、この大きなプロジェクトをやり遂げる・変化に対応できるという成功体験がチームにとってプラスに働くから、続けたほうがいい」と言われたんです。

目先の費用対効果にとらわれない視点は私には無かったですし、それを即答できるCTOの考えの深さに圧倒されました。このような経験から、短絡的に結論を出さず、物事をあらゆる角度で深く考えることの大切さを、身を持って感じました。

-- 前職のCTOは、田島さんに大きな影響を与えてくれたのですね。ちなみに、取締役に就任したことで何か変化したことはありますか?

正直なところ、やることは以前と変わっていません。就任する前から、エンジニアの枠組みにとらわれず、組織構造の見直しや評価制度の再設計など、経営視点で必要な業務を幅広く行ってきました。取締役となり、それが名実ともにやるべきことになっただけだと捉えています。

全員がCTOの意識をもつフルサイクルエンジニア体制とは

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-- 田島さんがこれからFinatextで実現したいことについて教えてください。

“全員がCTO”である意識を持ったうえで、ポジションに関わらず、皆があらゆる領域で何でもできるような「フルサイクルエンジニア体制」を作りたいと考えています。

-- まず、全員がCTOである意識を持つとは、どういうことでしょうか?

「一人ひとりがCTOである自覚を持ち、システムを担う責任を感じながら開発に当たる」というスタンスです。

そう考えるに至ったきっかけは、以前社内でCTOを立てるか否かを議論していた場面に遡ります。議論の最中にあるメンバーが「全員がCTOだと思いながら働けば良い」と発言したのですが、私はその言葉にすごく共感したんです。このスタンスをぜひ、全社で実践したいと思いました。

とはいえ、会社の規模が徐々に拡大するにつれ、CTOがいないと意思統一をはかれなかったり、意思決定が遅れてしまう場面も出てきました。全体の意思統一をする人を置いたほうが、円滑に組織が動くと考えたため、今回CTOを引き受けました。

実際今も、皆が強い責任感を持って仕事に当たっているので、この状態を維持できるよう引き続き働きかけていきます。


-- そのスタンスはとても素敵ですね。フルサイクルエンジニア体制とは、具体的にどのような体制ですか?

例えば、ポジションがサーバーサイドであっても、フロントエンドやインフラにも着手できるような、広いスキルを兼ね備えたエンジニアが集結したような体制を指します。

あらゆる領域の知識と経験を兼ね備えていれば、社内ではもちろん、外の会社でも通用するはずです。実際、スタートアップのCTOも特定の領域しか携われない人はいないと思いますし、やはり何でもできる人の方が活躍の場は広いと思います。そんなメンバーが多く育っていく体制を整えていきたいです。

-- フルサイクルエンジニア体制を実現するために、どのような人と一緒に働きたいですか?

自ら学習する意欲のある人、そしてカオスな状況を楽しめる人と共に働きたいです。

フルサイクルエンジニアになるには、あらゆることを前向きに学ぶ姿勢は必須ですが、幅広いスキルを身につければ、どんな環境でもきっと生き延びられます。また、その過程で多くのカオスな場面に直面するでしょうが、その状況すら楽しめる人がFinatextにはマッチすると思いますね。

今いるメンバーは学びに対してすごく貪欲で、私自身も刺激を受けています。担当領域に関わらず、分からないことを自ら学び取るスタンスと、知的好奇心を持った人と切磋琢磨しながら、共に強い組織を創り上げていきたいです。

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安松 花子(Hanako Yasumatsu)
奈良高専専攻科を卒業後、技術職として製薬会社に入社。約3年間の工場勤務を通して、多様な働き方を実現したくウェブライターに転身。美容・ビジネス系など複数メディアの立ち上げ並びに運営、執筆を担当。その後、SaaS系スタートアップにジョインし、コンテンツ作成及びマーケティングを担当。偶然のきっかけから、自らの意思で日本の社会課題を解決しようと奮闘するヒューマンキャピタリストに出会い、フォースタートアップへの入社を決意。現在はシード期からプレIPO期までのスタートアップへの採用支援を行いながら、オウンドメディア「EVANGE」の執筆編集を担当。

<インタビュー>
「『ヒューマンキャピタリスト』との出会い。その魅力を発信したい」https://www.wantedly.com/companies/forstartups/post_articles/420501
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EVANGE - Director : Koki Azuma / Creative Director : Munechika Ishibashi / Writer : Yuko Kondo / Editor : Hanako Yasumatsu / Photographer : Shota Matsushima

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