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「先手を打つための肝は、引き出しの中身」Amazon、日産、メルカリを経て、ベルフェイス執行役員CHROとして矢野 駿 氏が目指す、スピード感のある事業のための人事とは

「勘と根性の営業をテクノロジーで解放し企業に新たなビジネス機会をもたらす」をミッションに掲げ、オンライン営業システム「bellFace」を展開するベルフェイス株式会社。同社の執行役員CHROとして活躍する矢野 駿(Shun Yano)氏のキャリア形成、企業選択の軸に迫ります。

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“ニューエリートをスタートアップへ誘うメディア” EVANGEをご覧の皆さん、こんにちは。for Startups, Inc. の東 晃希(Koki Azuma)と申します。

私たちが所属するfor Startups, Inc.では累計650名以上のCXO・経営幹部層のご支援を始めとして、多種多様なエリートをスタートアップへご支援した実績がございます。

EVANGEは、私たちがご支援させていただき、スタートアップで大活躍されている方に取材し、仕事の根源(軸と呼びます)をインタビューによって明らかにしていくメディアです。

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矢野 駿(Shun Yano)
デルジャパンに新卒で入社後、テクニカルサポートエンジニアを経て、新卒/中途採用を担当。2013年アマゾンジャパンに転職し、中途エンジニア採用、新卒採用、MBA採用など、採用に特化したSpecialistとして幅広い採用を担当。その後日産自動車を経て、2018年7月にメルカリに入社。全社の採用責任者や、HRBPの立ち上げ責任者など、幅広い人事業務を経験。2020年10月よりベルフェイスに参画、2021年10月より現職。

ベルフェイスの事業内容と役割

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-- まずはベルフェイスの事業内容について教えていただけますか?

営業まわりのDXを推進する「bellFace(ベルフェイス)」というサービスを提供しています。営業において、SFAを始めとした管理システムがありますが、実際に顧客と相対するラストワンマイルのDX化がまだまだ進んでいないのが現状です。

そこをオンライン化するだけではなくて、データ化してチームとしての営業活動を最大化していくことをミッションにしている会社がベルフェイスです。

よくオンライン商談のベルフェイスと言われますが、そこはあくまで最初の1歩であって、最終的な目的は、ラストワンマイルのセールスプラットフォームを作ることを目指して事業を推進している会社です。

-- その中での矢野さんの役割についても教えていただけますでしょうか

私は執行役員CHROとして、人事グループの統括をしています。採用から人事評価制度まわり、人事に関わるすべてを管掌させていただいています。

-- ありがとうございます。矢野さんは、外資系企業、日系大手企業、メガベンチャーと様々なフェーズの会社で人事をご経験されていらっしゃいますが、そもそも人事でのキャリアを考え始めたのはいつだったのですか?

人事としてのキャリアを考えたのは、新卒で入社したデル株式会社(以下、デル)で、25歳で人事に異動したときに、35歳までのキャリアプランをたてたタイミングですね。

会社という名前を外しても、個人でもプロフェッショナルとして生きていけるキャリアを築くためには、さまざまなフェーズの会社での人事を経験することが必要だと考えていました。

そのため、私の経歴は外資系、日系大手、ユニコーン、スタートアップとという一見すると一貫性のない、裏を返せば様々なバックグラウンドの会社を歩む形となっています。このようなキャリアを歩むことで、人事として幅広い知見を持ったプロフェッショナルに近づけるのでは、と考えプランを作りました。

ただ、本音をいうと、実際に当時描いたプランをこんなにも綺麗になぞれるとは思いませんでした(笑)。

食いっぱぐれないキャリアを築く。新卒就職活動時の強い想い

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-- 新卒の就職活動では、どのような軸で活動をされていたか教えてください。

大学時代は、正直なところあまり真面目な大学生活を送っておらず、いい学生ではなかったと自覚しています。そのため、自己評価もあまり高くなく、周りの友達がどんどん名だたる大手企業に就職が決まる中、自分はどうしようかと悩んでいました。

ただ、仮に会社が潰れても他の会社で生きていけるぐらいのスキルを身につけて、食いっぱぐれないキャリアを築こうと、当時強く考えていました。

-- なぜ「食いっぱぐれないキャリア」を意識し始めたのでしょうか?

父親の影響が大きいです。

小さい頃から父が国内外の色々な企業で働いていたのですが、専門性や語学力などを身につけて、1人のプロフェッショナルとして成り立っている父親の背中を見て、これから先は幅広いスキルや経験を積み、プロフェッショナルな人材になることが重要になると考え、「食いっぱぐれないキャリア」を意識しはじめました。

--  その1歩目が外資系企業であるデルジャパンであった。

実は大学を1年留年していて、友人から1年遅れの社会人スタートだったのです。

そうなった時に、より成果主義な環境で働いて、なんとかこの1年のギャップを埋めようと思ったのが、外資系企業に勤めようと思った最初のきっかけではあります。同時に成果主義な環境で鍛えられることで、食いっぱぐれないキャリアに1歩近づくのでは、と無知ながら思ったのです。

その中で「じゃあどうしようかな」と考えていた時に、みていたモニタがデル製だったのです(笑)。元々自作PCなども好きだったので、「あ、デルに挑戦してみよう」となりました。

エンジニアとしての楽しさと苦悩。人事にキャリアチェンジしたデル時代

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-- 新卒で入社されたデルでの日々はどうでしたか?

私は技術をとことん追求するタイプというよりも、その技術で何ができるかをお客様に伝え、満足していただくことに強いやりがいを感じていたこともあり、仕事は非常に面白く、性にあっていました。

ただし、エンジニアである以上、技術を深掘りしないといけないことを周りの優秀なエンジニアをみていて感じました。技術を深く掘り下げる知的好奇心と言う観点で、先輩エンジニアのようにすごいエンジニアになれるのかという葛藤があり、キャリアを悩みはじめました。

-- そのタイミングで人事から声がかかった。

まさにです。1年目に新卒採用の内定者説明会で先輩社員として会社説明を担当していたのですが、その説明内容がよかったのか、人事の方が気に入ってくれて、声をかけてくれました。

-- 人事に異動されていかがでしたか?

元々サポートエンジニアとして、会社の製品や技術でできることをお客様に説明することが好きだったので、魅力を伝える対象が「会社」に変わっただけで、とてもフィットしていたと思います。

また、当時は技術のわかる人事はあまりいなかったこともあり、エンジニアの新卒採用についてはかなり自由度高く色々なことをやらせてもらえて、人事としての経験を磨くことができました。

デルを卒業し、アマゾン、日産で得た経験

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-- その後、デルを卒業し、アマゾンへ入社されていますが、いかがでしたか?

アマゾンでは、まだ日本では規模の小さかったAWSの採用担当として入社したのですが、当時のAWSは採用のハードルが非常に高く、採用担当として本当に苦労しました。正直に言いますと、一番大変な時期でしたね(笑)。

どれだけ採用活動をしても、なかなか採用につながらない。その中でも1人で年間100人弱採用しないといけない状況でした。

-- どのように乗り越えたのですか?

採用につながりそうな施策を考え、試行錯誤しながらトライし続けていました。今でこそ当たり前ですが、採用ミートアップやオンラインの面接、ビズリーチやLinkedInでのダイレクトリクルーティングは、当時まだ行っている会社は多くなかったのですが、そういう施策をたくさん行っていました。

-- ストレッチな環境で、様々なノウハウが蓄積された環境だったのですね。その後、日産へご転職されますが、きっかけはなんだったのでしょうか。

アマゾンは外資系企業の中では日本でローカライズした施策を認めてくれる会社ではありましたが、シアトルのアマゾン本社に行った際に、ヘッドクォーターの意思決定に携わる憧れが芽生えました。自分が考えていたキャリアプランもあったため、日系のグローバル展開している企業に挑戦してみたいと思ったのがきっかけですね。

そんな中、元々大好きだった日産でのポジションが出てきたため、日産に入社しました。

-- 日産ではいかがでしたか?

人材に対する考え方は、いまだに日産が一番好きですね。製造業はかなり長期で人材戦略を考えていて、タレントマネジメントがしっかりとしていました。そのいろはを吸収できたとても貴重な機会でした。

-- どういうことでしょうか?

製造業の社員は30年、40年と長期的に勤務されるので、会社として従業員への機会提供が本当に色々とあります。外資でも、スタートアップにもなかなかない考え方で、平均勤続年数が長いという特徴が前提にはあったのですが、スペシャリストを育てるという観点で素晴らしい仕組みがそこにはありました。

人の流動性が高いスタートアップは多いと思いますが、人材への考え方で言うと、製造業でのノウハウは非常に参考になると思います。

人のための人事から事業のための人事へ。メルカリで仕事に向き合うスタンスが切り替わった

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-- その後、上場後の株式会社メルカリ(以下、メルカリ)へ入社されていますね。メルカリでのご経験によって「もっと経営に近い立場で仕事をしたい」という気持ちが強くなったと伺いました。どのようなご経験だったのでしょうか?

一番大きなきっかけは、メルカリ・メルペイの経営会議に参加させていただいていたことです。これまでも、HRBPや採用という役割で、経営の意思を踏まえて施策をおろしていくことはしていたものの、「経営会議で何が話されているのか?」に触れることは初めてでした。

-- 会社全体がどういう方向に進もうとしているのか、経営としては今何をリスクと考えているのかなど、会社経営のど真ん中に触れることができた。

まさにですね。この経験を経て、人のための人事から会社・事業のための人事に本当の意味で切り替えができるようになりました。

-- 詳細をお伺いできますか?

私の個人的な考えではありますが、なぜ人事があるのかというと、会社と事業の成長のためだと考えています。お客様により高い価値を提供して、企業価値、事業価値を伸ばせるような組織を作る、それが人事のあるべき姿だと思います。

そのため、従業員に正しく働いてもらう、気持ちよく働いてもらうことは、あくまでHowであって、それを最終目的にしてはいけないと考えています。

人事の抱えている課題に対する改善策は、組織を強くし、従業員のエンゲージメントを高め、生産性の高い組織を作ることであることが多いです。

しかし、売上が伸びていない、お客様から満足いただけていない会社は必ずしも良い会社とは言えない。より本質を捉えて、ビジネスを加速させることができるアクションをできるか否かが人事の価値につながると思います。

だからこそ、現在のベルフェイスでのチームメンバーにも「人のための人事ではなく、会社や事業のための人事」に対して、意識を高く持とうと強く伝えています。

そのようなことに、本質的に気づくことができたのが、メルカリ・メルペイでの経験でした。

1番カオスな環境へ。ベルフェイスを選択した理由

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-- メルペイで貴重な経験を積まれていた中で、ベルフェイスへご転職されていますが、きっかけはなんだったのですか?

メルペイでの経験から、私自身がより責任のある立場で、経営について人事の立場から喧々諤々とディスカッションしたいと強く思ったからです。

加えて、デル時代につくったキャリアプランとしても、そろそろ小さい会社にチャレンジするタイミングでもありましたので、転職活動をスタートしました。

-- いくつかの会社ともお話しをされていたと思いますが、最終的にベルフェイスを選んだ理由について教えてください。

1番カオスな環境だと思ったからです。
他の企業からも魅力的なオファーをいただいていました。ただ、一見難しいなかで成功するほうが楽しいと思ったのです。

ベルフェイスは、外から見て、「おそらくかなりカオスだろうな」という感覚がありましたが、人事が事業の成長において、重要なファクターになると感じ、ベルフェイスへの入社を決めました。

-- ベルフェイスの目指す世界にはどのような可能性を感じたのでしょうか?

元々テクニカルサポートでラストワンマイルのコミュニケーションもしていたので、そこがデジタル化されて、お客様に対して本当に最適なコミュニケーションが出来ているかを可視化することができたら、ゲームチェンジャーになれると思いました。

この領域は他社も取りにいけておらず、スキームとして非常に面白い領域だと感じたことと、またグローバルにも展開の可能性があるとも思ったのです。

他のSaaSですと、Domesticな部分を深掘りしないといけず、グローバルに展開しづらいプロダクトもあると思います。それに対し、「電話」という万国共通のツールを基幹にしている点でグローバル展開しやすいと感じたのも、入社の決め手になった点ですね。

矢野氏が目指す「食いっぱぐれない人事から、価値のある人事」

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-- 元々考えられていた「食いっぱぐれない人事キャリア」を歩まれてきたわけですが、振り返ってみるといかがですか?

デル時代につくったキャリアプランに沿っていけば、人事としては食いっぱぐれないと考えていましたが、ここまできてやっと人事の自分に少しだけ自信が出てきました(笑)。

そのため、これまで以上に多くのチャレンジができるようになったと思います。

-- どういうことでしょうか?

私は元々心配性というか、そんなにメンタル強い方ではないのですが(笑)、失敗したらどうしようであったり、もしこの会社で評価が悪くなったらどうしようとか不安がよぎると、大きなチャレンジはしづらくなってしまいます。

他方、自信があると目の前のチャンスに対して踏み出すスピードは早くなっていきます。

個人としてのスピード感を持った一歩を踏み出す際には、自分の経験や知見に裏付けされた自信が背中を押してくれるのではと思います。

-- キャリアを築くことは、自信をつけること。とも言えるわけですね。この先、矢野さんが目指していることについても教えていただけますか?

実はこの先のプランは作っていないのです。35歳までしかプランを作っていなかったのですが、今はシンプルに「価値のある人事になろう」と強く思っています。

人事は正解がなく、とても難しい分野ですが、ベルフェイスのCHROとして何を価値として発揮するのか、その難しさに日々悩みながらやっていることが、今すごい楽しいんです。

このベルフェイスのみんなで、まだみぬ山頂からの景色をみてみたい、と強く思っています。

矢野氏が目指すスピード感の早い人事組織と一緒に働きたい人物像

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-- 矢野さんが目指している人事組織について教えてください。

スピード感の早い人事組織をつくっていきたいと考えています。

先ほども話しましたが、人事は会社と事業を伸ばすためにあります。その中で、会社や事業の状況の変化を先読みし、柔軟に対応できる状況をあらかじめ作っておくことは非常に重要です。同様に、「状況が好転したからここを加速させたい」みたいなニーズが出てきた時に、すでにそれが完了している、あるいは実行に移せている状況を作ることがスピード感につながってきます。

そのため、一つの例ではありますが、先手を打つために「引き出しの中にモノを詰めよう」という話をメンバーにしています。

-- どういうことでしょうか?

例えば、日産やメルカリといった企業と同じような研修制度は時間やお金をかければ作れると思います。ただし、実際は現場の今のニーズに合っていない、またはお金やリソースが足りない、そういった背景から実行に移せないことも多々あると思います。

一方、その制度が必要になるタイミングはいつか来るかも知れない。だから、そのアイデアを種として「今」は展開せずに引き出しに閉まっておくのです。

引き出しにアイデアを詰めることが本質ではありませんが、良いアイデアを思いついたら、簡単でもいいので形にしてみて、展開可能か考える癖をつけることは重要です。

これを「引き出しの中に物を詰める」と言う形でメンバーに伝えています。

-- スピード感の早い人事組織は、引き出しの中身で決まるということですね。

状況が変化したことを検知してから設計していたら遅い。その状況を検知した瞬間に引き出しをあけて、「これをやろう」と動くことができたら、一歩早く動けます。

これがスピード感の早い人事の一つのありかただと考えています。

-- そのような組織を見据える中で、どのような方と一緒に働きたいですか?

カオスな環境が好きで、困難な環境を楽しめる、そしてそこで価値を出せる人と一緒に働きたいですね。

中島(ベルフェイス株式会社 代表取締役執行役員 CEO)のnoteでもありましたが、事業的には傾いた時期があり、再度上向きになってきているフェーズが今です。

どの企業にも言えると思いますが、特にベルフェイスではチームとしてだけでなく、従業員1人1人の力で色んなことを打開していくことが重要なフェーズです。

このようなことを言うと誤解を招くかもしれませんが、今のベルフェイスほど紆余曲折あった企業は多くはないかもしれません。

だからこそ、そういった環境を楽しめる人、そしてそこで価値を出せる人、違いを出せる人と一緒に働きたいです。

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東 晃希(Koki Azuma)
<経歴>
大学卒業後、新卒にて半導体、セキュリティ・ネットワーク、AIにおいて国内トップランナーである株式会社マクニカに入社。導体事業においてはアカウントセールスとして、大手企業を複数担当。並行して、新規事業立ち上げも担当。セールス組織・販売戦略の構築、特にエンタープライズ企業攻略を担い顧客基盤構築に貢献。さらには海外の優れたテクノロジーを有するスタートアップとのアライアンスにも従事。海外の優れたテクノロジーを有するベンチャー企業や世界的ベンダーをパートナーとし、ビジネスを行ってきた中で感じた米国、中国をはじめ世界と日本のギャップを感じ、日本からもグローバルに影響を与えるベンチャー企業をもっと生み出していきたいと思い、2020年11月にfor Startupsにジョイン。

<受賞歴>
・『iX HEADHUNTER AWARD 2021』ハイクラス転職人数部門 2位
パーソルキャリア運営ハイクラス転職サービス『iX転職』にて、2021年に最も活躍したヘッドハンターを表彰する『iX HEADHUNTER AWARD 2021』ハイクラス転職人数部門にて2,500人のヘッドハンターの中から2位を受賞

<インタビュー>
CxOの決定こそがフォースタの価値!ハイレイヤー支援にこだわり、注力し続ける理由。

<SNS>
Twitter : @_azu1122

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EVANGE - Director : Koki Azuma / Creative Director : Munechika Ishibashi / Writer&Editor : Koki Azuma / Photographer : Takumi Yano

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Produced by for Startups, Inc.

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