EVANGEをご覧の皆さん、こんにちは。フォースタートアップスのEVANGE運営チームです。私たちが所属するフォースタートアップスでは累計1,800名以上のCXO・経営幹部層の起業や転職のご支援*をはじめとして、多種多様なビジネスパーソンを急成長スタートアップへご支援しています。EVANGEは、私たちがご支援させていただき、スタートアップで大活躍されている方に取材し、仕事の根源(軸と呼びます)をインタビューによって明らかにしていくメディアです。
タクシーメディアの可能性を追求し、広告の枠を超えて「乗車体験そのものを変える」という新たな価値を創造するーー。
株式会社IRIS*でTaxi Media統括責任者としてご活躍されている明石 圭祐氏。日本を代表するメディアを立ち上げてきた経験やそこで味わった悔しさ、そしてスタートアップに飛び込んだ経緯について詳しくお話を伺いました。
今後どんな変革に取り組んでいくのか。明石さんの情熱に迫ります。
*2016年6月、株式会社Mobility Technologies(旧・JapanTaxi株式会社、現GO株式会社)と、インターネット広告技術企業として国内初のDSPベンターとなった株式会社フリークアウト・ホールディングスの合弁会社として設立
明石 圭祐(Keisuke Akashi)
株式会社IRIS 取締役 執行役員 Taxi Media統括責任者USENに新卒入社し、GyaO事業本部にて広告営業に従事、GyaO事業のヤフーへの売却に伴い、一時的に楽天でECコンサルタントをしたのちに、ヤフー傘下のGYAO!に出戻り。広告営業、ソフトバンク出向、人事、コンテンツプロモーション、コンテンツ制作&調達、ヤフーTOP動画PJ、LINE VOOMなど様々な業務を経験。GYAO!サービス終了に伴い、IRISに転職し、タクシーサイネージメディア『TOKYO PRIME』の価値向上に邁進。2024年12月より同社取締役 執行役員 Taxi Media統括責任者
Taxi Media統括責任者として、タクシーにまつわるメディアの企画立案から運営まで、幅広く担当しています。具体的には、タクシーの車内サイネージ『TOKYO PRIME』でどのようなコンテンツを配信するか、どのような広告商品であればクライアント企業に効果的に活用していただけるかなどを企画し、その運営を行っています。また、タクシーのラッピング広告についても、ご要望に応じてタクシー会社と調整し、掲載まで進める役割を担っています。
IRISのメイン事業は、タクシー車内に設置されたタブレットでの広告配信です。
私たちは、このタブレットが単なる広告媒体ではなく、「乗車体験を向上させるための重要なツール」だと考えています。広告を表示するだけでなく、ユーザーにとって有益な情報やエンターテイメントコンテンツを提供することで、タクシー乗車そのものをより快適で楽しいものにしたいと思っています。それが最終的には広告が集まってくるメディアになると考えています。
また、IRISではタクシーメディア事業だけでなく、ゴルフカートのメディア事業や、タクシーの車体ラッピング広告など、モビリティ領域における広告事業を多角的に展開しています。
はい。GYAO!やテレビのように、コンテンツの面白さが直接メディアの成長に繋がるわけではないからです。タクシーの台数は限られていますし、どんなに面白いコンテンツを作っても、メディアの規模が劇的に拡大するわけではありません。
でも、今はその制約の中でできることを見つけるのが面白いと感じています。限られたリソースの中で、今いるお客様に最大限に喜んでもらい、その喜びとマネタイズを両立させる方法を考えるのが、非常にやりがいのある仕事です。
大きな転換期は二つあります。
一つ目は、関西出身の私が東京に出てきたことです。新卒で入社したUSENという会社で、半年間の研修後、東京に配属されたのですが、もし大阪に留まっていたら今の自分はなかっただろうと思います。東京という刺激的な環境に身を置いたことで、成長のスピードが格段に上がりました。
二つ目は、GYAO!に異動したことです。USEN時代は、店舗に「USEN放送はいりませんか?」と営業する仕事をしていましたが、GYAO!では様々なメディアを扱う部署に配属され、広告やコンテンツの面白さに目覚めました。
USENでは、文字通り「足で稼ぐ」営業をしていました。お店を一軒一軒訪問し、USEN放送の契約を取るのが仕事です。当時、成績優秀者はGYAO!やギャガといったエンタメ部門に異動できるという傾向があり、みんな必死でしたね。私も関西エリアで1位になることができましたが、その過程で「真面目に誠実にやることが一番大切だ」ということを学びました。
GYAO!に異動してからは、毎日がターニングポイントで。とにかく「自分の給料の3倍の利益を上げろ」と言われ、達成できなければ厳しく叱責される環境でした。そこで、「会社に食わせてもらっている」のではなく、「会社を食わせていく」という意識が芽生え、ビジネスに対する責任感が格段に高まりました。
当時、USENは個人向けの光ファイバー事業も展開していました。そこで、光ファイバーの新規契約者向けに、オンラインゲームのチラシとインストールCDをセットで配布することを提案しました。さらに、その梱包作業を請け負うことで、新たな収益源を生み出しました。
誰もやったことのないことをやるのは面白いし、それがビジネスに繋がった時は本当に嬉しかったですね。
GYAOから一度楽天に転職し、出戻った後には「サービス終了」という悔しさも味わいました。
GYAOがなくなったとき僕は部長だったんですが、それでも終了するまでそんなに時間がない中でサービス終了の告知を受けました。その意思決定には当然関与できていないですし、「延命」に対しても力を発揮できなかった、影響力がなかったんです。
だから悔しさが大きくて「もし自分が社長だったらどうしていたんだろう」「なんでなくなってしまったんだろう」と考えてしまって。
そうなった時に、やはり自分を経営というレイヤーに持っていき、同じ悔しさを味わわないように経営目線で動ける人材にならないと、と強く思いました。
会社の規模感も含めて経営レイヤーを目指せるのではないかという観点とともに、やっぱりGOの存在が大きいです。「移動で人を幸せに。」という大きなミッションの中で移動自体はもちろん便利にはなっていくんですが、「楽しい」までいこうと思うと、もしかしたら自分がやってきたメディアとかコンテンツが必要になって来るのではないかと。
また、タクシーアプリ『GO』は今、日本を代表するサービスになりつつあり、人々の生活を変えるサービスだと信じているので、そこに関わっていくことで、誇りを持って生きていけると思ったためです。
一言で言うと、「当事者意識が高い人」ですね。自分の担当範囲だけでなく、周りのことにも気を配り、積極的に関わってくれる人と一緒に働きたいです。「これは自分の仕事じゃない」ではなく、「何かできることはないか」と常に考えてくれるような人が理想です。
スタートアップには本当にたくさんのチャンスがあります。自分のやったことがダイレクトに成果に繋がるし、無駄な縛りやしがらみも少ない。チャレンジしたい人にとっては最高の環境です。ぜひ、会社に食わせてもらうのではなく、「会社を食わせていく」気持ちで飛び込んでみてください。
きっと、想像以上の成長を遂げられるはずです。
明石さんと出会ったのは2023年1月になるのでまだ2年くらいのお付き合いになるのですが、すでにスタートアップを一緒に盛り上げていく大事な仲間の一人です。
出会った時はGYAOのサービス終了に伴ってご自身のキャリアを見直しているタイミングでした。当時は現職で一定やりきった側面もあり、明確に「これがやりたい」といったお話にはなりませんでした。
ただお話していると「自分が自信を持って誠実に取り組めることが大事」といった琴線に触れることができました。
加えてGYAOがグロースしていくタイミングと終了せざるを得ないタイミングの両方をご経験されているからこそ「もう一度挑戦してみたい気持ちもある」というお話を聞けた時は明石さんの中でまだ矛先が決まっていない情熱が眠っているのだと感じました。
その情熱に応えられるご提案がGOでした。ユニコーン期待のかかっている企業とその中でのIRISの立ち位置、IRISがどういう存在になっていくのかというお話をしていく中でビジョンから共感していただくことができ、ジョインいただくに至りました。
入社から1年足らずで取締役に就任されるほどの成果と信頼を獲得されるスピード感に私も刺激をいただきました。スタートアップはそれだけ変化の激しい環境であると再認識する機会になりました。
本インタビューを通して新しい挑戦に心が動いた人が1人でも多く増えることを信じています。
平田将也
フォースタートアップス株式会社
タレントエージェンシー本部 マネージャー シニアヒューマンキャピタリスト
神奈川大学理学部卒。人材総合事業を手掛けるネオキャリアに入社。新卒採用支援事業にてソリューション営業に従事。2020年にフォースタートアップスに入社。2022年4月にシニアヒューマンキャピタリストへ昇格、2023年3月よりタレントエージェンシー本部マネージャー。急拡大する組織の採用コンサルティング支援実績あり。CxO支援、執行役員・本部長等の支援実績あり。
EVANGE - Director : Makiha Orii / Creative Director : Munechika Ishibashi / Interviewer : Junya Kawamura / Editor・Writer : Seina Goto / Photographer : Shota Matsushima