「高い熱量とチャレンジの多さ」外資ITコンサルを20年経験したエクサウィザーズ執行役員 福田 政史氏から見る、スタートアップならではの事業創り

2025-02-05

EVANGEをご覧の皆さん、こんにちは。フォースタートアップスのEVANGE運営チームです。私たちが所属するフォースタートアップスでは累計1,500名以上のCXO・経営幹部層の起業や転職のご支援*をはじめとして、多種多様なビジネスパーソンを急成長スタートアップへご支援しています。EVANGEは、私たちがご支援させていただき、スタートアップで大活躍されている方に取材し、仕事の根源(軸と呼びます)をインタビューによって明らかにしていくメディアです。

*2024年9月30日時点
目次
    福田 政史(Masafumi Fukuda)
    株式会社エクサウィザーズ 執行役員・AIプラットフォーム事業統括部 exaBaseプロフェッショナルサービス部 部長
    新卒でドイツのERP大手SAP社に入社し、ITコンサルタントとして20年の経験を積む。データベースやOSなどのインフラレイヤーから、アプリケーション、ロジスティックス、会計のコンサルタントチームのマネージャーやプロジェクトマネージャーなど、様々な役割を担当。
    現在はエクサウィザーズで執行役員を務めるとともに、部長としてexaBaseプロフェッショナルサービス部を率いる。

    エクサウィザーズでの福田さんの役割

    福田さんの現在の役割を教えてください。

    お客様からご要件をお伺いしてAIのアプリケーションをプロジェクトベースで設計・実装する「exaBaseプロフェッショナルサービス部門」の責任者をしています。

    もう1つの役割として、「exaBase Studio」というAIアプリケーションを開発するためのプラットフォーム製品の事業開発もリードしており、exaBase Studio を用いて、個社ニーズに柔軟に応えるカスタムAIアプリケーションを爆速に提供する事業を管掌する執行役員も務めています。

    ビジネスパーソンとしての転換点

    ビジネスパーソンとしての転換点についてお聞かせください。

    大きく2つあります。1つ目は、教授と衝突して大学院を辞めた経験です。辞めた後は何もすることが無く実家にいて、毎日母と山登りをしていました。その時に働かず、勉強をしていない時間ってこんなに達成感がないんだと気づき仕事をしている方が良いなと思ったことが1つの転換点だったかもしれません。

    そこで、就職活動を始めることにしましたが、その頃にはほとんど募集が締め切られていて、募集していたのは外資系が数社のみで、ご縁があり前職のSAPの日本法人に入社いたしました。

    もう1つの転換点は、前職のSAPに入ってからの出来事です。30歳くらいまでは国内のプロジェクトメインで業務をしていましたが、外資系の会社に入ったからには国内だけに留まっているのはもったいないと思っていました。そこから海外に行くようになり、1年間のうち7割か8割ほどドイツやアメリカにいました。日本、ドイツ、アメリカを1ヶ月半おきぐらいに移動する生活を3、4年続けていたのですが、非常に視野も広がりましたし、語学力もぐんと上がりました。

    海外に出たことで、日本のことも海外のこともフラットに見られるようになりました。元々は海外に行く怖さを感じていましたが、仕事をやりきり表彰していただくこともあり充実していました。

    「働かず、勉強をしていない時間は達成感がない」という気づきはどのように得たのでしょうか。

    茨城の田舎で育ち、中学までは近所の公立に通っていましたが、高校は進学校に行かねばと思い片道1時間半ほどかけて水戸まで通学していました。大学受験もひたすら教科書だけで勉強していました。親類に大学に行った人がいなかったので、大学に行くということが当たり前の環境ではなかったんです。

    これで国立大学に落ちたら即就職だというプレッシャーがありました。そうなると、大学院を辞めたということに厳しく言われそうな気がしますが、理由を聞いて意外と黙って見守ってくれていました。黙っていられることで「本気で自分で考えて動かなくては」と思い、就職活動を考えたんですよね。

    SAP在籍時代の海外と日本の往復は、肉体的にも精神的にもハードなご経験だったと思います。どのようにして乗り越えることが出来たのでしょうか。

    私はすごく人に恵まれているのだと思います。海外でのプロジェクトも私1人だけではなくて何人か日本から来ていましたし、海外でのメンバーもとても優秀で、お客様も理解がある方でした。過酷な状況でもやりきれたのは、周りの方の力があったからこそです。これは後からのお話につながりますが、エクサウィザーズでも人に恵まれていて、周りが信頼出来るから背中が預けられる、「このメンバーで上手くいかなかったらしょうがないか」ぐらいに思えていることがありがたいですね。

    エクサウィザーズとの出会い

    SAPでも新しい領域を担当していた中で、なぜ転職を検討したのでしょうか。

    希望していたITコンサルタントのロールをSAPの中で一通りやれたということが1つの理由です。

    SAPの中でさらに何かをやりたいなと思ったら、ドイツの本部に行ってヨーロッパでITコンサルタントを続けるとか、アメリカに行くというオプションもあったのですが、家族の事情で海外に長期に行くということは出来なかったんですね。そこで外に目を向けてみようかと思い始めたことがきっかけです。

    エクサウィザーズに入社を決めた理由はどんなことですか。

    「exaBase Studio」というAIのサービスやアプリケーションを開発するためのプロダクトを持っていたからです。AI関連はプロジェクトベースだと人数で成長にキャップがかかると思うんですね。エクサウィザーズは他の会社とは違うビジネスを実行している点が魅力的だなと思いました。

    フォースタートアップスの吉野さんが「exaBase Studio」の話を持ってきてくれなかったら、エクサウィザーズに決めていなかったと思います。先にいただいていた外資系とも悩みましたが、エクサウィザーズのプロダクトの将来性に期待をして投資する意思決定をしました。

    外資ではなく、エクサウィザーズだから実現出来るだろうと確信したことは、取締役の坂根の存在が大きいです。坂根は「exaBase Studio」の開発をリードしており、細部まで解像度が高く、そのメンバーが取締役をしているのであれば良いプロダクト・事業を創ることができるだろうと思いました。

    初のスタートアップへの転職だと思いますが、入社後に感じたギャップはありましたか。

    スタートアップに行く=一定ハードワークだろうということは考えていたのでギャップはないのですが、会社規模が大きいからこそ、よりスタートアップ的なマインドセットを持つ必要があると感じています。そこは私が執行役員として育んでいく必要があると感じています。

    入社してから最もハードだったことはどんなことでしょうか。

    「exaBase Studio」の立ち上げ期です。私が入社した当初はまだビジネスとして売り上げが全くない状態で、最初のお客さんを得て、「exaBase Studio」自体がビジネスとして成立するということを社内外にも示していく時期でした。

    私もまだプロダクトを理解しきれてないかつ、プロダクトもまだ足りない部分がある中で、ビジネスとしてお金をいただきながらプロダクトの価値を示し、継続的に使っていただく必要がありました。そうしないと私が入社した年でビジネス自体が終わってしまうかもしれず、一つの分岐点であり、大変だったなと今振り返っても思います。

    第一生命保険株式会社様が最初のお客様で理解を示していただきました。「exaBase Studio」の開発チームも非常に頑張ってくれ、私の要求を受け入れてくれて大変感謝しています。事業開発サイドが無茶な要求をしてしまったことで開発チームにも大きな負荷をかけてしまいましたが「一社目がとても重要だ」と言い続けていたので、それに応えてくれました。

    そうすると、二社目、三社目が継続できます。継続でも新規でも契約が決まった時はすごく楽しいですね。「exaBase Studio」はエクサウィザーズの中でも新規事業なので、この事業をうまく立ち上げてビジネスの柱にしていくことが私のミッションだと思っていますし、プロジェクトごとに一つのスタートアップを作っていくような感覚があります。

    これからの挑戦

    エクサウィザーズでこれから実現したいことは何ですか。

    生成AIなど様々な技術が出てくる中で、今のお客様はAIだけでは満足できず、AIをベースにしたアプリケーションやサービスがあってはじめて満足するような世界に移行しているなと思っています。

    エクサウィザーズもAIの部品を提供する会社から、AIベースのアプリケーションやサービスを提供出来る会社にトランスフォームしていく必要があると思っています。そうすることで我々が得意としていたAIという技術をお客様に価値として直接届けられるようになり、会社のミッションである「AIで社会課題を解決する」ことにも直結します。

    その1つのプラットフォームとして、「exaBase Studio」があります。このプラットフォームの推進を加速するために、プロジェクトを円滑に遂行できる人材を育成し、メソドロジーを確立していくことも私のミッションだと考えています。

    AI領域の中での、エクサウィザーズの魅力はどのようなことでしょうか。

    上場スタートアップですが取引先には大規模企業も多く、お客様の業務を真に「AI化」することができたらマーケットとしても社会としてもかなり大きいインパクトが与えられると思います。

    これまでのメンバーが長年かけて積み上げてきた信頼の賜物だと思いますが、その信頼をベースにして、お客様との関係を深めコアな業務のAI化を進めることが出来ることは他の企業にない強みなのかなと自負しています。

    加えて、一気通貫でAIによる課題解決が出来ることも魅力です。まだ体系化されていないですが、作ったプロダクトの運用支援が可能になると、上流から下流まで一気にAIの支援が出来るようになります。スタートアップの規模で上流から下流までやり切れ、様々なインダストリーとお付き合いのある会社はなかなかないと思いますので、実現すれば会社のレベルが上がるだろうと感じています。

    「exaBase Studio」というプロダクトでどんな課題を解決出来るのでしょうか。

    現状大企業のAI導入はうまくいっていない事が多いと思います。それはなぜかというと、AI自体の進化が早い事に加え、AIが入っているITの仕組みとAIが入っていないITの仕組みが大きく異なる事に気付いていないからだと考えています。

    AIアプリケーション開発では、プロジェクトの進め方も、運用フェーズに入ってからの”勘どころ”も異なります。「exaBase Studio」というAIアプリケーションの開発プラットフォームで、AIの最新技術をタイムリーに提供し、AIアプリケーションの開発や運用の勘どころを抑えた機能を提供することで、これまでAI化が進まなかった課題を解決していきたいと考えています。

    また、exaBase Studio上には、これまで弊社がプロジェクトで培った知見やエクサウィザーズの技術力が詰まったテンプレートアプリをご用意しています。それらを各社にご利用頂き、フィードバックを受けて、exaBase Studio上のAIアプリケーションをさらに進化させていく。exaBase Studio をたくさんのお客様やパートナー様にご利用頂けるほど、高品質なAIアプリケーションを豊富に提供できるようになり、お客様にAIをタイムリーかつ低コストで活用頂けるようになる世界を目指しています。

    キャリアの価値観

    福田さんがキャリア形成で大事にしていることを教えてください。

    ロジックではなく直感を大事にしています。経験しないと後悔するだろうなという気持ちを大切にしており、エクサウィザーズに入社する時も条件面で他を選んでしまったら、後悔していた気がします。その選択が面白そうかどうか、最後は自分の心の声に従っています。

    執行役員に就任した覚悟についてもお聞き出来ますでしょうか。

    私は「exaBase Studio」という事業開発のロールで入社しているため、「exaBase Studio」をどう拡大していくかということをずっと考えています。その中で、執行役員に就任することはプラスだなと思いました。出世したいという考えは全くありませんでしたが、就任してからは、視点が1個上がるので、この組織をどう変えていくか、どうトランスフォームしていくかを考えています。

    スタートアップに興味がある人へ

    エクサウィザーズのように上場したスタートアップで働くことの良さは何だと思いますか。

    上場した会社として、売り上げも伸ばしながら利益を出し、会社としてレベルを上げようとしている途中です。AIという需要が多い中で様々なチャレンジがある会社であり、その環境での学びの量は半端なく多い気がしています。

    最近は新しいメンバーも増え、新卒入社の方も増えています。みんなとても優秀で、私が逆に教えられていることばかりです。代表取締役の春田も多角的なマーケットの捉え方や事業の伸ばし方について素晴らしい考えを持っていますし、先ほどもお話した坂根も経営しながら解像度の高い技術レベルを持っているというとても稀有なメンバーであったりとタレントも豊富に在籍しています。

    最後にこれからスタートアップに挑戦する人へメッセージをお願いします。

    スタートアップなのかスタートアップじゃないのかに関わらず、人生は一回しかないので、結局自分が楽しめないと後悔すると思っています。経済面も重要ですけれど、それだけを重視してつまらない仕事を続けるのも辛いですよね。それが一般的な日本の企業なのか、外資系なのか、スタートアップなのかということはあまり関係なくて、私はたまたまエクサウィザーズというスタートアップの会社で面白そうなプロダクトを知り、それは自分の琴線に触れたので今ここにいるのだと思います。

    スタートアップは大企業よりも解決すべき課題が明確であることが多いと思っていて、自分がやりたいことと入社してからのギャップやズレは少ないかもしれないですね。そこはスタートアップの良さかもしれません。熱量が高いメンバーに囲まれて働けるため、自分の興味・関心がある分野へ深くアプローチしていきたい、そんな働き方に興味がある方は向いているのではないかと思います。

    編集後記

    私が初めて福田さんとお会いしたのは2022年11月です。お会いした当初は外資系ITベンダー1社経験、ご経験もエンジニアリングからグローバルプロジェクトマネジメント、コンサルタントなど多岐に渡りご活躍されている中で、ネクストキャリアの選択肢の一つとしてスタートアップを視野に入れられていることが非常に印象的でした。

    よりスピード感のある環境を求められている成長意欲と最新のテクノロジーへの興味関心からくる強い知的好奇心。この2つを満たす次のチャレンジに資するご提案が出来るかが私のミッションである中で、エクサウィザーズ社とお引き合わせしご縁を結ぶことが出来ました。

    エクサウィザーズ社へご入社されてからは、次の事業の柱となる「exaBase Studio」の立ち上げに従事され、入社から1年間で執行役員に就任されています。
    今回のインタビューでは福田さんの仕事に対する価値観をお伺いし、今後も同社の事業成長をリードされ、「exabase Studio」というAIサービス開発環境上でいつでも最新技術が利用できる未来が実現し、これまでAI化が進まなかった領域への社会実装が進み、世の中を大きく変える可能性を感じました。

    もちろんスタートアップというこれまでとは大きく異なる環境への挑戦を選択する裏側には葛藤もあったと感じています。本インタビューをきっかけに挑戦を志す方が一人でも多く増えれば嬉しく存じます

    福田氏をご支援したヒューマンキャピタリスト

    吉野 幸長(Yukinaga Yoshino)
    マネージャー / シニアヒューマンキャピタリスト
    フォースタートアップス株式会社 タレントエージェンシー本部
    高等専門学校から神戸大学へ編入学。卒業後、2021年に新卒一期生としてフォースタートアップス株式会社へ入社。入社から一貫してヒューマンキャピタリストとして活動。オンボード卒業時に新卒MVPを受賞、年間売上トップを記録し、一期生最速でシニアヒューマンキャピタリストへ昇格。
    顧客へのHR支援のみならず社内組織にも興味を持ち、2022年より新卒・中途のオンボーディング、組織横断営業力強化プロジェクトに従事。
    2024年6月よりマネージャーに就任。プレイヤーとしてのハイレイヤー支援と組織マネジメントの両輪でスタートアップの課題解決に取り組む。
    https://www.linkedin.com/in/yukinaga-yoshino-a88767224/
    EVANGE - Director : Kana Hayashi / Creative Director : Munechika Ishibashi / Interviewer : Yukinaga Yoshino / Writer : Kozue Nakamura / Editor:Daisuke Ito/Seina Goto / Assistant Director : Makiha Orii / Photographer : Saki Yudai
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