「挑戦したいに勝る理由なし」40代でスタートアップに飛び込んだLabBase 執行役員CFO 後藤 洋平 氏の覚悟に迫る

2022-11-08

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*2024年9月30日時点

「研究の力を、人類の力に。」をパーパスに掲げ、優秀な理系学生に直接アプローチできるスカウトサービスなど、研究領域に根ざしたサービスを複数展開する株式会社LabBase(以下、LabBase)。同社の執行役員CFOとして活躍する後藤 洋平(Yohei Goto)氏のキャリア形成、企業選択の軸に迫ります。

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後藤 洋平(Yohei Goto)
早稲田大学大学院理工学研究科修了後、2005年に日興シティグループ証券株式会社(現シティグループ証券)に入社し投資銀行業務に従事。2012年に三菱商事株式会社へ転職し、国内外の事業投資業務を経験した後、政府系ファンド等にて投資業務やバリューアップ業務に従事し、2021年7月に株式会社POL(現LabBase)に入社。2022年2月より執行役員CFOに就任。経営管理、業務管理、PX(People Experience)を管掌。

目次

  1. 「研究の力を、人類の力に。」LabBaseの事業内容とは
  2. 大学時代、素敵な大人との出会いがキャリアの原点に。
  3. 大学院時代のインターンを通じ、CFOへの道を知る
  4. 夢を実現するために必要なステップを考え続ける
  5. ふとした声かけをきっかけに、諦めかけていたCFOへの熱が再燃
  6. 不確実な世界に悩みながらも最後は人を信頼し、飛び込む
  7. パーパスのもと集う仲間と共に。後藤CFOの次なる挑戦とは

「研究の力を、人類の力に。」LabBaseの事業内容とは

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まずは、LabBaseの事業内容そして後藤さんの役割について教えてください。

LabBaseは研究や研究者を支援するための”研究エンパワープラットフォーム”の事業を展開しています。

学生がデータベース上に自分の研究内容やスキルを書きこむだけで、企業からのスカウトを受けられるという理系に特化したダイレクトリクルーティング型の就活サービスである『LabBase就職』は、2022年10月時点で、累計登録学生数5万人、利用企業数600社を突破し、 2017年2月のサービス開始から約5年で日本最大級のシェアを誇る理系学生の採用サービスとなっています。

私はその中でCFOとして入社し、コーポレート部門のマネジメント、経営基盤の整備、資本政策に関する業務に加えて、経営陣として会社全体のアップデートと推進も担っています。

大学時代、素敵な大人との出会いがキャリアの原点に。

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現在CFOとしてご活躍の後藤さんですが、ビジネスパーソンとしての原点を教えてください。

大学時代に石油工学を専攻し、指導教授の視点に影響を受けたことがビジネスパーソンとしての私を形成する原点となりました。石油工学は理系の研究室ではありますが、ファイナンスやエコノミクスとも密接に関わる領域でした。経営やプロジェクトを数字で見る機会が多く、自ずと数字の面から会社を支えられる仕事に就こうと考えました。

また、教授は米国オイルメジャーで活躍された方で、ビジネス視点を持ち、自分たちの研究と産業がどのように繋がっているか、そして研究を通して社会への価値還元がどのようにできるかをいつも説いてくださって、私たち学生を以前所属していた米国の石油会社に連れて行ってくださるなど、後進育成にも非常に熱心な方でした。その影響で私も社会貢献や知見を次世代へ還元したいとの想いを持つようになりました。

その後「CFO」のキャリアを知ったきっかけは何でしょうか?

大企業の経営再建の裏側にCFOが存在したとニュースで知ったのがきっかけです。大学時代研究に励んでいた時、倒産寸前の大企業を立て直すため、CEOとして招聘された方が見事に同社をV字回復させたと巷を賑わせていました。その裏側で活躍したのが実はCFOだと知り、数字の面で会社の経営を支える役割として「CFO」を目指すようになりました。

大学院時代のインターンを通じ、CFOへの道を知る

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その後、新卒では日興シティグループ証券株式会社(以下、日興シティグループ)に就職していますが、投資銀行を選んだ背景を教えてください。

大学院時代、トヨタ自動車株式会社(以下、トヨタ)でのインターンシップがきっかけです。CFOへのステップとして、経理・財務系のインターンシップを探していた中で出会った会社がトヨタで、その時お世話になった金融出身の上司二人から、金融業を勧められました。二人に「会社の経営に数字から携わりたい」とキャリア相談をしたところ、「数字で経営を語ることを生業にしている会社に行くべきだ」とアドバイスを受けて、その選択肢に気づきました。

それまでは、CFOになるには事業会社の財務部に入りキャリアを積むくらいしか選択肢が無いと思っていましたが、彼らの後押しもあり、新卒で投資銀行に行こうと決意したのです。

投資銀行の中で、日興シティグループを選んだ理由はあったのでしょうか?

業界でのポジショニングと新卒を大事にする企業文化が魅力的でしたが、特に後者に惹かれました。当時の日興シティグループは業界では珍しく、新卒特有の文化と暖かさがあり、新卒からシニアまで幅広く会社が目をかけるカルチャーがあります。

学生時代に投資銀行の内定者同士で集まる場があったのですが、日興シティグループの内定者は投資銀行でありがちなギラギラ感がなく、他社とは雰囲気が違いましたね。

投資銀行は年収を重視される方もいますが、後藤さんは人を大事にする性格だからこそ日興シティグループがマッチしたのですね。

そうですね。当時の同期やお世話になった先輩方とは今でもご飯にいく仲です。本当に素敵な同期や先輩方に恵まれた結果、今の自分がいると思っています。

夢を実現するために必要なステップを考え続ける

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その後、三菱商事に転職されていますね。なぜこの選択に至ったのでしょうか?

資金調達業務やM&Aなどコーポレートファイナンスの側面からCFOの素養を培うために必要な経験を、その環境ではやり切ったと感じたのが転職のきっかけです。アドバイザーという立場ではなく、発行体、即ち当事者として取り組む機会とタイミングを探していました。

転職先の三菱商事で得た経験を教えてください。

事業会社での経営管理体制や意思決定プロセスを知ることができ、非常に学びの多い機会でした。投資銀行では垣間見ることはなかったため、外部の立場ではなく実際に企業内部で具体的なプロセスや事業そのものに触れることが出来たことが大きかったです。

そこから、どのように次のステップを考えて転職を検討されたのでしょうか?

日本の大企業ではよくあることかもしれませんが、商社パーソンとしてローテーションを繰り返しながら成長していくことが求められていましたので、狙うべき経験を取りづらくなっていったことが理由です。例えば、本社で勤務すること、事業投資先に出向すること、海外支店で勤務することではそれぞれ経営視点も異なりますし、その機会を自分で選択しづらいと感じていました。

ローテーションが成立する人材育成の仕組みは素晴らしいと思う一方で、私個人にとっては自分で自分のキャリアを選択できないことに違和感を覚えていました。その違和感から次のステップを考えるようになりました。

ふとした声かけをきっかけに、諦めかけていたCFOへの熱が再燃

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その後、政府系ファンドに転職されています。なぜこの選択肢を選んだのでしょうか?

政府系ファンドは資金だけでなく、ハンズオン支援を通じて企業を立て直す役割を果たします。自分のキャリアが活かせる金融のアプローチを軸として、経営にも携わることに魅力を感じて転職しました。

当時もCFOになりたい気持ちは変わらず強かったのでしょうか?

既に30代半ばに差しかかり、実はCFOになることが夢物語に思える瞬間もあったので、このまま一定の挑戦と安定の上手いバランスを求めても良いのではと考えたこともあります。ただ、やはりどこかでCFOの夢を諦めきれませんでした。だからこそ、そのモヤモヤを払うために商社から飛び出すことを決意しました。

その後にCFOを目指した転職活動をされていますが、CFOへの想いが再燃した出来事を教えてください。

仕事において関わりのあったスタートアップの起業家から「うちにCFOとしてどうですか」と声をかけられたことがきっかけです。その時は次のプロジェクトが始まっていたのでお断りしたのですが、自分もCFOとして多少は期待される知見を持つことが出来たのだと実感し、大学時代からの想いが蘇り、転職する大きなきっかけとなりました。

不確実な世界に悩みながらも最後は人を信頼し、飛び込む

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当時はどのような転職活動をされていましたか?

ほぼスタートアップに絞った転職活動を進めていました。LabBaseに転職するまで不勉強ながらスタートアップの世界をほとんど知らず、リスクが測りえないほど不確実性の高い領域だと思っていました。一方で不確実性が高い分、やりがいや面白さもあると思いスタートアップに絞った転職活動をしていました。

投資銀行、大手企業からスタートアップへの挑戦はリスクが高いと、避ける方も大勢いらっしゃいます。後藤さんはなぜ一歩踏み出せたのでしょうか?

やはり、大学時代から憧れていた「CFOになりたい」。その思いが何より一番大きかったです。これまで紆余曲折ありましたが、やっと目の前でCFOになれるチャンスがある。それならばこのチャンスをものにしたい。その一心でスタートアップに絞った転職活動をしていました。

また生々しい話、近年のスタートアップ界隈では給与事情が上向きつつあることに加え、私の場合には幸いにも堅実な生活をしていたことで、いざ挑戦したいと思った時にすっと一歩踏み出せました。

その折に弊社ヒューマンキャピタリストから紹介されたのが、LabBaseだったのですね。当初からLabBaseに行く意思は固かったのでしょうか?

LabBaseだけではなく、不確実性の高いスタートアップに自分の人生を投じることは大きな決断ですので、安易には考えられませんでした。事実、当時は承諾期限も迫る中でどの選択肢が正解か判断できるほどの材料を集めることが出来ず、一度はLabBaseを含めてオファーを辞退しています。

LabBaseへの意思決定で悩まれたポイントを教えてください。

まず私が理系学生だったこともあり、ミッションやビジョンへ(パーパスの制定は2022年9月のため、選考時はミッション・ビジョンが明文化されていました)の共感は強かったです。ただ経営者としてジョインする以上、経営陣との価値観の一致も大事にしたいポイントでした。もちろん、加茂(LabBase 代表取締役CEO)は、会食をセッティングするなどお互いが理解できるよう尽くしてくれました。ただ、どうしても選考の一環である以上気を張ってしまい、彼自身の価値観まで深く理解できず、すぐ意思決定するには至りませんでした。

最終的にはLabBaseに入社されていますが、そのストーリーを教えてください。

辞退した後、空いた時間を使い大きく二つのことに取り組みました。一つはCFOとして既に活躍している先輩に話を聞くこと。そして、もう一つが私をよく知る友人に相談すること。最終的な決め手として、二つ目の選択肢が大きく影響しています。

奇遇にも、加茂がボランティア活動などでご一緒し尊敬している方が日興シティグループ時代の私の同期だったのです。加茂と私の双方をよく理解している友人にLabBaseや加茂が目指している世界感はきっと私にフィットするだろうと言われ、それなら価値観も間違いなく合うだろうと思いました。そこから、LabBaseのミッション、ビジョンへの共感を持てていることを思い返し、挑戦するならLabBaseだと踏み切ることができました。

パーパスのもと集う仲間と共に。後藤CFOの次なる挑戦とは

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志してから約20年の時を経て、晴れてCFOになったわけですが、CFOとして理想像があれば教えてください。

これはCFOとして大先輩である成松さん(LabBase 社外取締役)から教わったことでもあるのですが、まず第一に兵站を絶対切らさないこと。会社や各事業部で必要なリソースを適切なタイミングで提供出来るようにすること。会社が倒れないことは当然のこととして、非連続に成長し続けるためには、この大前提を外してはならないと思います。

また、パーパスの実現と株式価値の向上。この両立を社内の誰よりも考え抜くことが大事だと思います。言い換えるとfor the companyの精神で、他の経営陣とは違う視点で”言うべきことは言う”ことがCFOの責務であると思います。

これまでのお話を伺い、後藤さんはキャリアを通して挑戦を続けていらっしゃると思います。今後、LabBaseのCFOとしてどのような挑戦をされますか?

複数事業に耐えられる強固な経営基盤を作ることです。LabBaseはバーティカルな研究領域で複数の事業群を創り、その結果としてパーパスを実現することを目指しています。そのためには、複数事業を作りうるだけの強い経営基盤が欠かせません。例えばリソースマネジメントだったり、M&Aだったり、資金調達だったり時々によって手段は異なりますが、最適な方法で基盤を整えるのが私が担う大きなミッションです。

加えて研究者の価値を最大化する文脈で、私のキャリアを活かし研究領域 × ファイナンスの事業も作れるのではと思っています。

後藤さん自身の挑戦のため、さらにその先、LabBaseの為にどのような方に入社して欲しいですか?

やはり、パーパスに共感できる方。これに尽きます。LabBaseはこれまで無かった市場や事業群を創っている最中です。その分不確実性が高いため大変なことも多い。一方で、LabBaseは常にパーパスに立ち戻る会社です。そのため、パーパスに共感出来る方であれば苦楽を共にできるかなと思いますね。

EVANGE - Director : Koki Azuma / Creative Director : Munechika Ishibashi / Writer : Shota Nakamura / Editor:Hanako Yasumatsu, Tomotsune Amuro, Yukiko Ishii / PR : Megumi Miyamoto / Photographer : Hideaki Ichikawa
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