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"プロダクトの力で 行動を変え 社会を変える"をミッションに、行政サービスのデジタル変革を手掛ける株式会社グラファー(以下、グラファー)。同社の人事組織からコーポレート部門全般を管掌し、組織作りを担う執行役員VPoC(VP of Corporate)として牽引する羽生 和馬(Kazuma Hanyu)氏のキャリア形成、企業選択の軸に迫ります。
羽生 和馬(Kazuma Hanyu)
信州大学卒業後、組織人事コンサルティングを提供する株式会社トライアンフに新卒二期生として入社。その後、事業会社の人事を2社経験し、2014年にヤフーグループである株式会社GYAOに入社、2018年からは人事部長に就任。転籍を経てヤフー株式会社の事業部人事責任者として、組織開発施策の立ち上げやグループ会社の再編を推進。2021年5月にグラファーに参画し、人事領域全般を担当。2022年4月よりVP of Corporate執行役員に就任。
「プロダクトの力で 行動を変え 社会を変える」をミッションとして掲げ、行政サービスの体験そのものを刷新するプロダクトを提供することで行政サービスのデジタル化を推進しています。
コンセプトは人々が行政手続きに費やしている時間と手間を減らすこと、必要なサービスを必要な人に届けることです。スマートフォンからweb予約が取れる『Graffer窓口予約』や、スマートフォンで行政手続きを完結できる『Grafferスマート申請』、手続き案内サービスの『Graffer手続きガイド』などを提供しています。
元々、人事責任者として採用から人事企画までが管掌範囲でしたが、2022年4月にVPoCを拝命し、現在はコーポレート全般を管掌しています。経理・財務・経営企画・法務・総務・人事とそれぞれのプロフェッショナルが最もパフォーマンス高く機能するためのマネジメントを担っています。
小学3年生から始めた陸上競技に、とにかく打ち込んでいました。実は北京オリンピックメダリストの塚原直貴さんが地元の2歳後輩で、中高の頃から好敵手として意識する相手でした。特に高校時代は私も全国大会に出場することがあり、競い合う中で「負けたくない」と燃えていて、気付けば大学4年生まで陸上を続けていました。
仲が良い関係で彼の変化を見てきたことで「同じ人間だから自分も努力すればできるはずだ」と奮い立たされていました。実際、高校時代には私の専門種目では彼よりも速かった時期もあり、追い越し、追い起こされてを繰り返す中で、自分の努力基準も高まっていたと思います。
学生時代はとにかく陸上に熱中していて、辞めるに辞められませんでしたね。大学を卒業して陸上を引退してからも、30歳を超えるまで世界を舞台に第一線で戦っていた塚原さんは私にとって大きな存在です。そのような時代があったので、私は今でもプライベートで走っています(笑)。
大学卒業後の進路を決めるとき、陸上を職にできない壁にぶつかり、すごく悔しい思いをしました。そこで、陸上と同じくらい熱量を込められるものを探してみようと考え、競技生活を通して学んだことを思い返していました。その時に、知人の誘いで参加した強豪校の合宿で見た光景が蘇りました。全国一位という目標を選手もマネジャーも全員が一丸となって目指していて、組織風土こそが強さの源泉だと感じたのです。
強豪校が強豪たる所以は、チームの風土が個人のパフォーマンスに直結していることにあると知り、陸上を通じて人と組織に関心を持つようになりました。これなら陸上と同じように熱量を込められると思い、組織人事のキャリアを目指すことに決めました。
先ほどお伝えした背景から、組織人事コンサルティングの会社を探していましたが、当時は新卒採用をやっている会社はとても少なく、選択肢が限られていました。人材業界はリクルート出身者が創業した会社が多い中、ビジョナリーカンパニーにも取りあげられているヒューレットパッカード出身の日本法人元人事部長が創業したトライアンフに関心を持ち、新卒2期生として入社しました。
最終面接で「HP Way(ヒューレット・パッカード社の7つの目的)」の話と、それをもとにどういう会社を作っていきたいかというビジョンの部分をきちんとお話しいただき、面白い会社だなと思ったことを覚えています。
振り返ると、今も大事にしている社会人としての基礎が築かれたのが、トライアンフでの経験でした。
例えば、顧客との向き合い方であったり、常に勉強し続けるスタンスの持ち方などです。特に、社長がふらっと立ち寄って「お客さんの業績どう?」と問われた時に答えられなかったことで、自分の視点の甘さに気付かされたことを覚えています。そこから、「組織人事コンサルだから」と組織のことだけをやっていれば良いという姿勢では駄目で、クライアントの経営状況を把握し、自分たちが提供している人事コンサルが、お客様の事業に貢献できているか?という視点を常に持っておかなければならないことを学びました。
この体験を通じて、事業や経営状況に対するアンテナが強くなったと思います。こういった一つ一つの学びが今の土台になっているので、とても感謝しています。
採用・給与・組織の領域に一通り携わりながら、自社の新卒採用にも関わったことがきっかけで、事業会社で自社成長にコミットしたい思いが強くなりました。外部からではなく当事者として組織を作っていく決心をし、転職を決めましたね。
その後転職した2社では、それぞれ3年弱所属しましたが、正直、自分の中ではやりきれなかったと悔しい思いがあります。1社目は創業社長に惹かれて、2社目は成長性を求めてベンチャー企業へ転職をしましたが、様々な要因が複合的に重なり、やりきることができず。自分の力不足を感じる経験となりました。
それまでが2〜3年での転職を繰り返したので、自分自身に対してモヤモヤした気持ちがありました。何も成し遂げることができなかったなと。ただ、それでも組織人事のキャリアから他領域へキャリアチェンジしようと思ったことは一度もなく、だからこそ、GYAOでは自分自身が納得できる結果を出す覚悟を強く持っていました。
GYAOは事業環境と会社の変化も早くて面白かったですね。その中で、特に印象的だったエピソードが、自分が採用で携わった新卒社員たちが、4〜5年目にマネジメント側に成長して、次の新卒採用に携わるなど、育成を通じた組織のサイクルを目の当たりにしたことです。その時に、人事として長い時間軸で社内の仲間たちと組織を創っていくことの醍醐味を味わいました。
当時、ヤフーグループ内でメディア事業における映像事業の推進体制の見直しがあり、私は株式会社GYAOに所属していた総勢150人の転籍対応に携わりました。
自分は人事として、優秀な人材の採用、再現性ある育成の仕組み、その結果良いコンディションの組織を作ることに貢献できていたと思っており、まさにここから事業面でユニットエコノミクスを作りに行こうというタイミングだったため、この事業変化に伴う体制の見直しには志半ば感がありました。組織はうまく行っていた自負がありましたが、それは自己満足で結局事業とセットだったということを痛感する出来事でした。
そうですね。新卒のキャリアから経営に対するアンテナは一貫して磨かれています。特に視座が変わったきっかけは、ヤフーで田中 祐介さん(現Z Entertainment株式会社 取締役 Chief Business Officer。株式会社GYAO代表取締役社長)に出会ったことです。
当時、田中さんはヤフーの役員としてGYAOの社長に就任され、同タイミングで私は人事責任者を拝命しました。このタイミングで事業方針が転換され、組織体制も大きく変わることになりましたが、その中で戦略実現のために最適な組織設計をすること、全社に戦略を浸透させるための施策を企画、推進する役割に私を抜擢してくださり、事業と組織をセットで捉えて、経営を動かしていくための視点を学ぶ機会になりました。そこで、人事責任者としての視座が高まりましたね。
また、4社で異なった経営状況を経験したことで、経営に対する当事者意識を持つほどに、会社の成長を通じて機会を増やしていくことが、最大の人材開発・キャリア開発なのだと考えるようになりました。
当時は、ヤフーの中で新しい挑戦を考えていたこともあり明確に転職するとは決めていませんでしたが、ちょうど節目のタイミングであったこともあり、外の機会を見てみようと思っていました。そんな中、町野さんから、組織が急成長しているフェーズにありながらも専任の人事がおらず、またヤフーと同規模の社会課題にアプローチしているスタートアップとしてグラファーを紹介されました。
実際に当時のCOOと話をする中で、組織拡大を見据えて取り組みたい人事課題があるものの、専任がおらず手をつけられていないということを聞き、自分が貢献できるのではと感じたことと、スタートアップならではの一点突破で日本の行政という大きな社会課題の解決に挑戦できることに魅力を感じ惹かれました。
GYAOでは組織人事領域で自分が納得できることをやり遂げられた感覚があり、転籍したヤフーでも売上の半分を担う2,000人規模の組織で人事責任者を任せていただきました。また、ヤフー社内でも先進的な取り組みを仕掛ける経験ができ、これらの経験を活かしていきたいと考えていた中で、社会課題の大きさと、それを解決することによるインパクト、1人目の人事として0から組織を立ち上げられること、CEOの石井との会話、これら全ての掛け算によって、新しい挑戦をすることを決意しました。
石井との面接では、個を理解しようと価値観を深ぼりする会話が印象的で、人を重視する経営スタイルを感じられたことも大きかったですね。
実際にスタートアップに挑戦したことで、常に事業や組織をより良くするために前に進み続けなければならず、そしてそれは他の誰かではなく自分がポジションをとって進めなければ何も変わらないということに改めて気づきました。
スタートアップならではのハードシングスも経験し、想定したよりも時間がかかりましたが、経営と共にバリューの策定や経営合宿やマネジメント研修などの様々な施策を講じることで、組織として強くなってきていると感じています。
自分の中で拘っている理想像はありません。ただ今年の4月から執行役員となりましたが、その際に石井から「〇〇ができるようになったら経営者になれるわけではない。ノウハウ・人脈・持てるものを全て使って結果を出す人が経営者だ」とアドバイスを受けたことがターニングポイントになっています。
それまでの自分のキャリアは、「〇〇の経験を積んで次はこの役割をやる」といった階段式の発想によって積み上げてきたものでしたが、今は何をするかではなく、結果にこだわり、事業と組織の両輪から会社を成長させることに責任を持つことを意識しています。
行政領域が抱える課題を解決していきながら、更に広い社会課題を解決し続ける会社をつくりたいと考えています。「プロダクトの力で 行動を変え 社会を変える」をミッションに掲げていますが、我々の目指す価値提供は行政領域にとどまるものではありません。より多くの人々の課題を解決しうるプロダクトを、今後も様々な形で届けていきたいと考えています。
グラファーがより多くの社会課題を解決する会社に成長していくことで、グラファーに集まっているメンバーもより多くの成長機会に恵まれていく、そんな事業と組織成長のサイクルをグラファーで実現できたらと考えています。
私たちが掲げているミッションは壮大だからこそ、短期的な結果だけで成し遂げら得ることではありません。長い時間軸で共に歩んでいけるように、ミッションやバリューに共感する方に関心を持っていただけると嬉しいです。事業は色々な変数がある中で常に変化していくので、その中でも自分がやりたいことを追求しながら、より良い社会を実現するための変化を起こしていける方と一緒に働きたいと思います。
今、私たちが取り組んでいる行政領域は、誰もそのサービスの完成形を見たことがない領域です。このような特性をもった領域に取り組んでいるからこそ、グラファーのカルチャーは、トップダウンで「〇〇をしてほしい」というものではなく、個々が自由な発想で「自分たちが何ができるのか?」を考えて実行することを重視しています。変化を楽しみながら、より良い日本を未来をつくっていくことにチャレンジしたいと思える方とぜひご一緒したいですね。
EVANGE - Director : Koki Azuma / Creative Director : Munechika Ishibashi / Writer : Tomotsune Amuro / Editor:Hanako Yasumatsu / PR : Megumi Miyamoto / Photographer : Hideaki Ichikawa