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「想いの乗ったお金の流れを増やす」をミッションに掲げ、クラウドファンディング事業と寄付・補助金マッチング事業を展開するREADYFOR株式会社。執行役員でありファンドレイジング事業本部 副本部長として事業拡大を目指す林田 翔太(Shota Hayashida)氏のキャリア形成、企業選択の軸に迫ります。
林田 翔太(Shota Hayashida)
デロイトトーマツコンサルティング合同会社に新卒入社後、ハイテク企業を中心としたBDD・事業戦略・業務改革・RPA導入、中央省庁の調査提言、NPOの戦略立案等の様々なプロジェクトに従事。2019年11月、資本主義のアップデートを志し、READYFOR株式会社に参画。経営企画、マーケティング部長、PF事業企画室長、事業企画部長を経て、2022年4月より現職。
READYFORは「想いの乗ったお金の流れを増やす」というミッションのもと、クラウドファンディング事業と寄付・補助金サポート事業を運営しています。
「想いの乗ったお金の流れ」の言葉の解像度を少し上げると、経済的リターンがマーケットレート(≒経済合理性がある水準)より低くとも流れるお金を指します。つまり、経済合理性だけでは流れない=誰かが想いを乗せて流していると解釈できるお金の流れです。そのような「想い」の乗ったお金の流れを増やしていくために、これまでクラウドファンディング事業を展開してきました。
また、最近では個人の方からの寄付以外にも、団体からの寄付や補助・助成金などもターゲットとして広げ、寄付・補助金サポート事業も展開しています。例えば、遺贈寄付・生前寄付を検討している人と社会的団体とのマッチング・包括的サポートを提供する「遺贈寄付サポートサービス」や、基金・寄付・補助金の事務局運営や助成団体の事業伴走をサポートする「基金・寄付・補助金 企画運営サービス」がこれに当てはまります。
これもどういった意図でお金の流れを作りたいのか、どのような想いが乗せられたお金なのかという点にフォーカスしています。
現在は、ファンドレイジング事業本部の副本部長を担当しています。本部長の樋浦と2人体制で、クラウドファンディングを中心としたファンドレイジング事業の成長にコミットしており、現在は、実行者様に伴走支援を行うキュレーター、カスタマーサクセスチームのメンバーと密に連携しながら事業を推進しております。
就職活動が始まる時期に、瀧本哲史さんの著書『僕は君たちに武器を配りたい』を読んだことがきっかけです。
私は学生時代からずっと野球に打ち込んできたので、野球の世界が自分の世界そのものだったのですが、『僕は君たちに武器を配りたい』を読んだときに、私のみている世界はとても小さなものだったと気が付きました。
そこから漠然と未来への危機感を持つようになりましたが、就職活動の時期になってもやりたいことは見つからず、いつか自分のやりたいことが見つかったときに、戦えるスキルを身に付けたいと思い、最終的にコンサルティング会社を選びました。
運動部のわりには読んでいたほうかもしれません。学ぶことが好きだったので、特に野球に関する本はたくさん読んでいました。あとは中学生の頃から、なんとなく生きづらさを感じていて「生きるって何だろう」ということを漠然と考えることも多く、本にその答えを探しにいくこともありました。
自分にとって安心安全な居場所を作ることに必死になり、周囲の輪に入れないと終わりだという無意識な思いから、どんどん友達に合わせていくようになりました。そのうち自由に振る舞うことが難しくなり、結果的にどんどん生きづらさを感じていったのが中学生くらいの時でした。
そうですね。続けていた理由は、もちろん野球そのものが純粋に楽しかったのもありますが、アイデンティティクライシスを起こさないための居場所という側面もありました。野球で何かを頑張っているという肩書きやラベルがあることに安心していたのだと思います。
いろんな葛藤がありながらも野球にはかなり打ち込んでいたので、社会人になってからも志をたてたいという気持ちがありました。また、志を持って努力している人を応援・サポートすることが好きだったので、当時の自分の役割がコンサルに重なるものがあると感じたことも影響しているかもしれません。
すごくリーダーシップがあるタイプではなかったのですが、考えることが好きで、戦略を考えながらチームをサポートするようになった時期がありました。例えば、教授に頼み込んで動作解析をしながら自分のフォームを見直したり、練習時のメンバーの投球データを見て試合に出るメンバーを決めたり。
育成の観点では、ピッチャー陣をどう育てるかや、投手陣の課題を分析してクリアしないと試合に登板できない基準を作るなど、チーム全体の最適化に取り組んでいました。ちょうどその時期と就職活動が重なって、コンサルティングの世界やロジカルシンキングを知り、これは野球にも活かせそうだという意識が強くなったことも合間って、自然とコンサルという選択肢に繋がったように思います。
すごく良い経験をさせてもらいました。私のように学生時代ずっとスポーツに打ち込んでいた同期は自分以外に1人しかおらず、周りには頭の良い優秀な同期ばかりでした。最初は劣等感もありましたが、一方でよく採用してくれたなという気持ちもあったので、とにかく必死に目の前の業務に向き合っていました。
「絶対に期待値を超えたい」という強い意思でしょうか。周囲の期待に応えたいという気持ちがすごく大きかったです。あとは、周囲の人が不快な状態のまま放っておくことが嫌な自分の特性も関係していると思います。
例えば、自分がバリューを出せないとその分上司がその仕事を巻き取る必要があったり、お客様に満足いただけないとお客様が払った金額を自分が無駄にしたことになってしまう、そういうことが起きてはいけないという気持ちが強かったので、とにかく結果が出るまでやり続けました。
最初の数年は全くバリューを出せている実感はありませんでしたが、3〜4年経った頃から、与えられる役割と自分の実力の乖離が埋まってきたように感じていましたね。
理由は2つあります。1つは、コンサルタントとしての今後のキャリアを思い描けなかったことです。向き合う課題の難易度は高く、本当に周囲が優秀な人ばかりで、エキサイティングで成長機会に事欠かない環境でした。一方で、そんな環境で活躍し続ける先輩達のように自分がなっていけるイメージがどうしても沸かなかったというのもまた事実でした。コンサルタントとしての成長を支援してくれる会社ではあったので、ある種、自分の可能性を自分自身が信じきれなかったのかもしれません。
もう一つは、資本主義的な成長の加速を支援することに疑問を持ち始めていたことがあります。もちろん、企業もSDGs/CSV/サステナビリティといったテーマに向き合いはじめた時期だったため、私自身も関連テーマのプロジェクトを担当したこともあり、非常に面白く、社会的な価値も感じていました。一方で、株主資本の元にあるクライアントの成長支援という文脈から抜け出すことは難しく、その外側にもやるべきことはあるのではないかと直感的に感じていました。
転職を考え始めた頃は、キャリアアップしたいという思いもありましたが、よくよく考えると、キャリアアップの手段として、やりたい気持ちがない仕事を選ぶのは違うという風に感じ始めました。
また、当時コンサルにいて大企業のクライアントと仕事をしていると、全人格的に仕事をしている人が自分も含めて少ないとも感じていました。プロフェッショナルとしてのペルソナ(仮面)を被って仕事の場に出ていき、ペルソナ同士で仕事をする。そんな状態に違和感を感じていたので、自分の価値観ややりたいことをそのまま体現する生き方をしたいと、どこかで思っていました。もちろん、どんな環境であってもどんな在り方を選ぶかはその人次第であり、私がペルソナだと認識していたものもペルソナだったのかはわかりません。ただ、当時の私にとって、それを体現している人たちがまさに「スタートアップ」だったのです。
最初にREADYFORの話を聞いた時は「クラウドファンディングって聞いたことあるな」くらいの認知だったのですが、樋浦(READYFOR株式会社代表取締役COO 樋浦 直樹氏)との面接の中で「資本主義では流れづらい領域にお金の流れをつくろうとしている」「資本主義では解決できない課題を解決しようとしている」という話を聞いた時に、コンサル時代に考えていた、資本主義が抱える構造的な問題意識を思い出しました。
当時は他にも検討している選択肢があって、即決というわけではなかったのですが、ミッションやビジョンに真摯に向き合っている優秀で良い仲間がたくさんいたことが、決め手の1つになりました。
やはりビジョンやミッションに真っ直ぐ向き合う優秀な仲間がたくさんいる点は、入社前の認識と変わらなかったです。
良い意味でのギャップでいうと人事制度が整っていたり、代表の米良(READYFOR株式会社代表取締役CEO 米良 はるか氏)と樋浦の想いや特性が会社にしっかり浸透している点です。米良の特性である「情熱」と樋浦の特性である「論理性」がうまい具合に調和して、良い形で混ざり合っている会社になっています。
そうですね。特に、米良と樋浦はペルソナを被れないタイプの人間で、取り繕ったり本音を隠したりすることが逆にできない人たちなのです(笑)。”その人100%”として全人格的に仕事に取り組んでいる二人だといつも感じています。
また、米良や樋浦をはじめ他のメンバーも、キャリアの手段としてREADYFORにいるのではなく、本当の意味でミッション・ビジョンに共感してここを選んでいる人が多いので、自然とペルソナ度合いが低い人たちが集まっている印象です。そんな周囲に影響されて、私自身も自分のペルソナが外れていっている感覚はあります。それでもまだ、メンバーからは「もっと素を出したほうがいいですよ」と言われることもありますが(笑)。
以前、樋浦が「READYFORで働くことと、生きてることってイコールなんだよ」って言ってたのですが、今はその感覚に近いと思います。特にスタートアップには、自分のありたい姿や叶えたいことを全力で伝えて、思いの近い仲間を集めて、全力で前に進もうとする。本当の意味で自分の人生を生きている人たちがいる世界だと感じています。
そんな仲間に囲まれて、私自身も働くことと生きることが密接に繋がり、価値を感じるものを探求しながら、日々目の前のことに向き合うことができています。
資本主義社会で生まれる課題を解決する道筋はクラウドファンディング以外にもたくさんあると思っています。その道筋をできるだけたくさん描き、社会に推し進めることを続けていきたいです。
私個人としては、「自分らしく生きられない社会」を作り上げているボトルネックがまさに資本主義社会で生まれる課題にあると思ってREADYFORにきたので、これを解消していくためにはどうすればいいのか、もっと解像度をあげて考えていきたいです。
まずはビジョン・ミッションへ深く共感してくださる方と働きたいです。そして、一件一件のプロジェクト、実行者様の想いとその想いに共感する支援者様をつないでいくこと、その先にある社会全体を意識しながら働ける人には向いている会社だと感じます。自分なりの理想の社会像を持ちながら、理想と現実の乖離を生んでいる構造的なボトルネックを想像し、どうすればよいのかを一緒に考え続けることができる人はぜひご一緒したいです。
EVANGE - Director : Koki Azuma / Creative Director : Munechika Ishibashi / Writer:Tomoda / Editor : Hanako Yasumatsu / Photographer : Takumi Yano