EVANGEをご覧の皆さん、こんにちは。フォースタートアップスのEVANGE運営チームです。私たちが所属するフォースタートアップスでは累計1,500名以上のCXO・経営幹部層の起業や転職のご支援*をはじめとして、多種多様なビジネスパーソンを急成長スタートアップへご支援しています。EVANGEは、私たちがご支援させていただき、スタートアップで大活躍されている方に取材し、仕事の根源(軸と呼びます)をインタビューによって明らかにしていくメディアです。
一枝 悟史(Ichieda Satoshi)
株式会社unerry リテール・メディア事業開発 SVP
株式会社電通でテレビを中心にマスメディアのプランニングを経験。在職中、株式会社プレゼントキャスト(現:株式会社TVer)に出向しプロダクト開発やアライアンスなどを推進。2020年10月よりunerryに参画しメディア開発やアライアンスを推進。現在、リテール・メディア事業開発領域のSeniorVPとして牽引。
「心地よい未来を、データと作る。」をミッションに、リアルとデジタルのデータを融合するサービスを運営しています。リアルとデジタルでビジネスを展開するお客様に、データを通じた分析や広告ソリューションを提供する会社です。私は、その中でもリテール&メディア事業とアドテクノロジーの領域を担当しています。
もともと小さい頃からテレビで番組を見ることが好きで、気付いた時には、編成表が自分で書けるようになるほどテレビを見ていたこともありました。自分はテレビの仕事がしたいのだなと思い、電通という会社に入社しました。
メディアや広告は、「時代を映しているアルバム」のような存在です。たとえば、自分が生まれた日の新聞を見てみると、その時代の雰囲気を一番表しているのは、「広告の写真」だということに気づきました。テレビも同じく、同世代で昔観ていた番組の話で盛り上がることがあると思うのですが、メディアは、世の中の思い出作りの側面もあるなと感じています。
電通には長い歴史と、メディアとのつながりがあって、あらゆるデータ・仕組み・インフラが整っていたので、はじめから仕事に没頭することができ、思った以上に面白かったです。全国津々浦々にローカル放送局の友達がいるというのは、電通でテレビの仕事をしていなかったら経験出来なかったことだと思います。
一方で、目の前のコンテンツや日々のアイデア出しに追われて、「世の中に影響力を与えている」ということを忘れてしまう状況も多かった。特に大きい会社だとルールに縛られていく文化というか雰囲気があるのだなというのも感じていました。
TVer(ティーバー)を運営する株式会社プレゼントキャスト(現:株式会社TVer)に出向したことが大きなきっかけだと思います。
「テレビの未来を作る」という仕事を様々なステークホルダー、様々なバックグラウンドの方がいる場で出来たことが僕の中では非常に大きな転換点でした。それまではテレビという既存のエコシステムの中で、その分野にどれだけ詳しくなり、今後いかに良くするかということを10年やってきていました。しかし、TVerで初めて、自分自身がテレビの未来を作るための仕事ができた気がしました。
刺激的な出向を終えて4年ぶりに帰任した際には、事業推進のスピードに対する課題感や個人としての成長に必要な刺激の不足感を感じ始めていました。
あるかないかで言うと、思い返せば不安は絶対にあったと思います。ただ、TVerも出向当時は25人くらいの会社だったので、スタートアップに行っても、やっていけるだろうという自負もありました。
その後、入ってみて気づくのですが、思った以上になにもないのがスタートアップなんだと実感しました。でもそれが自分にとってはワクワクする新しい挑戦でもあったので、この道を選択して良かったなと振り返っています。
コロナ禍を機に外にどんな機会があるのか探し始めました。そのときにフォースタートアップスさんにご紹介いただいたうちの一社がunerryでした。
誰もが知っているグローバルな会社よりも、「人流データを使って世の中を良くする」という、ユニークな事業をしていたunerryに興味が湧きました。
ネットなどでも調べてみると、unerryのサイトに「生活UX(体験)を心地よくする」というキーワードを見つけました。
自分が大好きなテレビの仕事をしていながらも、テレビCMを見た人が、実際にお店に行っているんだろうか?実際に商品を購入しているのか?がわからなかった。これが、自分の中にあるモヤモヤだったんだとそのときに気づきました。
ただ、unerryが持っている「人流データ」があれば、テレビCMと生活がデータで繋がる「生活UX×データ×(自分のやりたい)テレビ」という掛け合わせで、そのモヤモヤを解消出来るのではないかと考えました。自分のやりたいことが自然に浮かんできたんです。
テレビを見ている方が自分でも気付いていない影響を可視化することで、「このコンテンツを見ればもっと楽しい経験が出来る」というレコメンドが可能になり、コンテンツとデータを繋ぐ新しいメディアの概念を作りたいということが僕の中の大きなテーマとなりました。
unerryは「人流データを使って世の中を良くする」というモットーで事業を運営していますが、その行間にはいくらでも余白があり、自由にその余白を埋めて良いという後押しをしてくれました。
挑戦できる「余白」の部分が一番魅力的だと感じています。「次はどの余白を埋めに行こうか」と、常に考えることで挑戦出来ますし、全員が自らが余白を埋めに行くという意識を持っているから様々なことが実現出来るのだと思います。
unerryの経営陣や社員がそれを体現しているのが、選考中に魅力に感じていたポイントです。最初に内山さん(代表取締役社長CEO 内山 英俊 )にお会いしたのですが、僕が一方的に話している時間がほとんどだった記憶があります。
その熱を受け止めていただきつつ、「だったら一緒にこういうことが出来るよ」、とか「君はこういった仕事に向いていると思う」ということを話してもらって、5分後くらいには「入社しよう」と決めていました。
他の経営陣にお会いしてもそうでした。「やりたいことをお好きにどうぞ」という空気感が面白いなと思って、その印象は今もあまり変わっていないです。
これまでメディアを中心にunerryとのパートナーシップを技術的に、あるいはビジネス的に繋ぐことをしてきました。しかし直近の事例では、"メディア”が指すものは従来の一般的な概念にとどまりません。
たとえば、小売業さんも自分たちがメディアであるという自覚を持っていて、お店に来ているお客さんをオーディエンスとして捉えて、どういう情報を発信すればお買い物が楽しくなるか、好きな商品と出会えるかということを考えているのです。
メディアというのは、昔は紙であり、電波にのせたテレビがあり、その次にインターネットが登場しました。ですので、そのうちインターネットの次が出てくるのでは?と思っていて、「未来のメディアを作る仕事」が僕のやりたいことのベースにあります。
30年後のニュースの受け取り方ってどうなっているんだろう?TikTokの次に出てくる自由な時間の使い方や新しいコミュニケーションって?など、この変化にはゴールが無いと思っていて。
unerryは人の流れそのものをメディアと見立てて様々なサービスを展開していますから、街中全てをメディアにして、メディアの概念を変えていきたいです。
ワクワクしている、面白いと思える、そこが一番重要です。人生は一度きりで、その中で思い出作りをしているわけですから、「何か面白くないな」という状態で半年を過ごしてしまったらもったいない。常にワクワクして面白いことをやり続けたいと思っています。
unerryで言えば、僕はエンドユーザーに情報を届ける人ではなく、SNSで情報発信をしているわけでもなく、小売店に立っているわけでもない。放送局の制作でも無いのですが、発信している皆さんのことがめちゃくちゃ好きなんです。
そういう方たちが楽しく情報発信するための仕組み作りをし続けることが好きなので、その人たちが「何が楽しいのか」という所に興味がすごくあります。その人たちが、データとか難しいことを考えずに、良い商品を作る、面白い番組を作るためには、どんなことが必要なのかを常に考えています。
自分の仕事、やろうとしていることが、家族や大切な人、好きな人に応援してもらえることなのか、誇れることなのかということを判断基準の一つにしています。電通を退職する時に、電通で頑張ってきた仲間たちは、僕がunerryでやりたいことを絶対に応援してくれるだろうなという自信がありました。
自分だけステップアップしたり昇給していく転職も、それはそれで生き方としてあるとは思うんですけど、僕はそこには興味が無かった。unerryでやることは電通の仲間たちの役にも立つと思っていたので、選択できたとも思います。
転職前に、今いる会社でやれることをやり尽くしたのか?というのは、自分に問うべきだと思っていますし、挑戦せずに後悔している人を多く見てきました。僕は迷ったら面白い方を選んできて正解だったと思っています。ですので、今現状にモヤモヤしている人ほど、ぜひ行動してみてください。
これまで一貫して「メディア」を軸に、大企業からスタートアップまで幅広いキャリアを積んできた一枝さんに、自身のwillを実現する考え方について伺いました。
一枝さんのキャリアにおいて、行動や選択の背景が「ネガティブな動機」ではなく、「ポジティブな動機」であったことがとても印象的でした。特に心に残ったのは、「家族や大切な人、好きな人に応援してもらえるか」という点です。
一枝さんは、挑戦の際に「面白いと思えるかどうか」を大前提にしながらも、独りよがりにならない意思決定を大切にされていました。今回のストーリーは、現状にモヤモヤしている方々にとって、現状を打破するための「きっかけ」となるのではないかと思います。ぜひ参考にしていただきたいと思います。
- 飯森 海斗(フォースタートアップス株式会社 ヒューマンキャピタリスト)
EVANGE - Director :Wataru Mizote / Creative Director : Munechika Ishibashi / Interviewer : Kaito Iimori / Writer : Kozue Nakamura / Editor:Makiha Orii / Photographer : Shota Matsushima