「個人の成長と会社の成長を両立させる」リクルートを経てVP of HRを務めるZEALS古賀ゆか氏が実現するスタートアップでの自己実現

2024-08-19

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*2024年9月30日時点
古賀 ゆか(Yuka Koga)
2021年にZEALSに採用Managerとして入社。2023年VP of HR就任。2005年にリクルートに新卒で入社し、2015年~2018年の4年間同社の新卒/中途採用責任者として従事。中長期事業戦略に伴う採用戦略策定、入社後活躍に向けた採用要件設計、選考プロセス、配属設計に力を入れ、採用担当者時代を含めると、3000人以上の新卒・中途入社者の採用と、入社後活躍施策を実行。

古賀さんのビジネスパーソンとしての転換点

まずは、株式会社ZEALS(以下、ZEALS)での古賀さんの役割について教えてください。

人事のVPとして、採用、人事企画、総務を担う組織の責任者をしています。

キャリアの転換点を挙げるとするとどんな出来事が思い浮かびますか。

旧株式会社リクルートエージェント(以下、リクルート)に入社した後、30歳までは営業職として、いろいろと役割は変わりつつもずっとビジネス側に身をおいてきました。

2012年にリクルートが分社化をして、「リクルートキャリア」という、リクナビ、リクナビネクスト、リクルートエージェントといったサービスを擁するHR事業の会社が出来ました。そのタイミングで人事のリーダーに抜擢されて異動になりました。1年半ほど経った時にマネージャー職に昇格をしまして、「働く」ということを大切にしている会社の中で、年間1000人を超える採用の責任者をしていたことは転換期だったと思います。

大役を担われていたのですね。当時を振り返った時に失敗した経験もあったのではないでしょうか。

リクルートという会社の中で 人事をやりたいと入社してくる人が多い中で、私は当初は営業としてお客様に価値を届ける仕事にやりがいを感じていたため、人事を希望していませんでした。なので「なぜあの人が」と思う人も多かったと思います。事業成長に直結する責任を抱える部署にいるのに、自分の実力不足でマネジメントが上手く行かず落ち込む日々もありました。

今ならその弱さを周りに見せられるのですが、当時は若かったこともあり、うまく見せたい、評価されたいという気持ちが強く、タスクを手放せないが故にチームが崩壊しかけたこともありました。なんとか自分の力でギリギリ成果を出すみたいな日々が続いていましたね。

その失敗体験をどの様に乗り越えていったのでしょうか。

チームの組織コンディションサーベイを導入するかを検討するタイミングがありました。フィジビリティスタディを進めていた所、自分がオープンになれていないことでチームが最大化出来ずに、メンバーの成長につなげられていないということを目の当たりにしました。もっと自分が思っていることをメッセージングしていくことや 人の育成に自分自身がフォーカスしていくことが大切なのだと気付きました。

チームを持つ身として、チームの成果最大化に向けて何を選択するべきなのかという事が見えてきてからは、人事としても成果が出てきました。元チームメンバーが他の会社の人事として活躍しているメンバーを輩出できたことや、ZEALS入社前に、未経験の職種組織のマネジメントを行い、高い成果を出すチーム作りができたことは、自分への自信にも繋がりました。

古賀さんの考えるマネジメント

古賀さんの中で「マネジメントにおいて大切なこと」はどんな事だと思いますか。

1番苦しかった時に救ってもらった、今でも大事にしている言葉があります。「管理職はその能力を示す前に覚悟を示せ」というもので、これは、リクルート事件があった時に常務をされていた生嶋誠士郎さんの著書「暗い奴は暗く生きろ」の中で語ってらっしゃる言葉です。

私が仕事に行き詰まり爆発寸前の時に上司がこの言葉を教えてくれたのですが、管理職は自分の能力をひけらかす振る舞いをしても、その効き目は短いし、限界があると。大切なのは組織と摩擦が生じた時の覚悟を示すのみ。自分1人が奮闘するよりも、組織全員がその気になってくれる状態の方が組織力というのは大きいよねという内容です。

リクルートやZEALSという会社に入る人は、能力的には似ていることが多いのだけれど、管理職として結果が出せるかは、この覚悟があるかどうかの違いなのかなと。忙しい時に、部下に任せるよりも自分がやった方が、すぐに成果が出るかもしれないが、人を育てていくという観点では違う選択をするべきです。マネジメント職で大事なことは、自分自身が覚悟を持つことなのかなと思います。

古賀さんの人の成長への想いへの原点はどの様なものなのでしょうか。

2つあります。1つは、父方も母方も実家が自営業をしていて、父方の実家は100人を超える中小企業の製造業の会社をしていて、私は幼少期に祖父が職人さんのことをすごく大事にしている姿を見ていました。「長く会社が続いているのは人のおかげだ」ということを教えてもらったことが大きいです。

もう1つは高校生の時にとある事件で友人を亡くしたことがあり、自分が大学生になって新しい経験を積んだり、社会人になって色々な方とお会いして成長させてもらうということが当たり前じゃないんだなと強く思っていました。就職先にリクルートを選んだことも、人の可能性を拓いていく仕事をしていきたいと思ったことと、家族が自営業をしていたので、ビジネスにもすごく興味があったことが大きかったです。

ZEALSを選んだ理由も近くて、クライアントの事業を成長させるビジネスですし、その先のユーザーさんの選択も広げることができます。事業成長と個人の成長を両立させたいという想いが強く、大切にしていることでもあります。

身の丈を越える挑戦-スタートアップとの出会い

リクルート時代に培った経験で今に繋がっていることはどんなことでしょうか。

「身の丈を超える挑戦をし続けること」ですね。コンフォートゾーンからいかに抜け出すかということを人生において大事にしています。これは私がスタートアップに転職しようと思った理由でもあるのですが、私はリクルートの子会社である人材紹介の部門に入社をし、新人時代は大阪で法人営業を行っていました。

今でこそ人材紹介は市場も大きく誰しもが知っているビジネスですが、その頃は世の中にまだ広がっていない時代で、このサービスを世の中に広げていきましょうという段階でした。このサービスは顧客の成長と変革を起こすものである、ユーザーの方々の人生になくてはならないものになると信じ、自分たちがそれを開拓し、創造していくのだという信念を持って仕事に打ち込みました。

数年経ったあと、過去当たり前でなかったことが当たりまえになっていく未来をみたときに、「身の丈を超える挑戦をし続ける」ことの面白さややりがい、自分が変化を生み出す側でいたいという欲求を持つようになったのだと思います。1人1人が身の丈を超えるチャレンジをし続けているから、会社自体も成長するのだなと感じました。

スタートアップに挑戦したきっかけはどんなことだったのでしょうか。

2018年頃に、DXやFintechといったことがキーワードになってきて、大手の銀行やメーカーがDX人材を獲得したいと動いていました。「大手を1社経験されている方ではなくて、スタートアップやベンチャー企業の経験者の人を採用したいです」とご相談をいただくようなことも何件もありました。実際にスタートアップ経験者の方が面接をどんどん通過していって、そんな様子を見ていると時代が変わったんだなと感じました。

新しい時代が来て、このままじゃ自分はダメかもなと思ったタイミングで、リクルートが再び統合し、管理職以上に求められる役割が変化してきました。私は新しいビジネスを作っていくための事業を作れる人事をしたいなと思い、卒業を考えました。身の丈を超える挑戦というか、難しいか難しくないかで言うと、難しい選択をしたいなと思いました。

ZEALSとの出会い

ZEALSとの出会いと、入社のきっかけはどんなものだったのでしょうか。

まずはスタートアップしか受けないと決めていました。その中でも、BtoBとBtoC、両面に価値提供が出来る企業に入社したいと思っていました。

ZEALSは生成AIとコミュニケーションデザインを活用して、マーケティングAIXというソリューションを提供しています。LINE、instagram、Facebookといったプラットフォームを通じて、チャットを起点におもてなしが感じられる接客体験をもたらしています。

ZEALSのカンバセーションAIというのが新しいコミュニケーションのあり方だったり、新しいデジタルマーケティングのあり方というものを体現していくだろうなと感じました。

ZEALSはリーディングカンパニーとしてこのビジネスを2014年から作っていますが、リーディングカンパニーに入社するということも私の中のこだわりでした。誰かの背中を追いかける仕事より、この業界を作っていくんだという誇りを持って仕事をしていきたい気持ちがあり、社長自身もそういうお考えでしたし、誠実に真っすぐな姿を見て、一緒に事業を作りたいな思いました。

ZEALSに入社されてから印象に残っていることはどんなことでしょうか。

1つはスピード感です。リクルート時代に半年かかっていた仕事を1、2ヶ月でやりきる感じのスピード感があったかと思います。スタートアップといえども全てが自由なわけじゃないのですが、「ここまでに作り上げなきゃいけない」という期限は短いので追いつくことに最初は必死でした。

あと、これは良い意味でのギャップだったのですが人材のレベルが高いなと思いました。20代で事業部長をしているメンバーがいて、私が入社した時に彼は25歳くらいだったのですが、彼とミーティングで会話をしている時の質感が前職の30代後半ぐらいの部長クラスと変わらなかったんです。

これはすごくビックリで、さっきのスピード感と繋がるんですが、成長する打席に立てる機会が多いことが差につながっているなと思います。ポテンシャルのある人材が多く打席に立つと、20代でこんなに仕事が出来るようになるんだなと衝撃的でした。

ZEALSに入社して古賀さんはどんなチャレンジをされてこられましたか。

まずやったことは組織として採用力を高めていくことにチャレンジしました。社長や特定の人事メンバー頼りの採用ではなく、社長が採用以外の業務により時間を割くことができる、人事が入れ替わっても採用力が低下しない状態を目指しました。

スタートアップにおいて採用は事業の一丁目一番地のため、まずはしっかりと活躍できる人はどういう人なのかを何人にもインタビューし「採用要件を言語化」した上で、共通言語を見つけていきました。

そして「全員採用」という考え方を浸透させ、組織として採用力を高めていくことに尽力しました。その結果、現在では現場の社員として50名を超える面接官が採用に参画し、より多くの候補者の方や学生さんとお会いできる体制や、面接トレーニングも定期的に実施することで面接の見極め力や、候補者体験を上げることができたことで優秀な方をお迎えするスキームができたと思います。

ZEALSの会社として一丸となる採用の基礎を自ら作られたんですね。

スタートアップの面白いところは、解くべき課題が常にアップデートされていくんですよね。
現在ZEALSでは、300人の壁(課題)と向き合っています。3年前に創った採用、人事制度、施策が会社の成長に伴い通用しなくなってきており、社員育成の難易度が上がっています。そして、ZEALSはグローバルテックカンパニーを目指し成長し続けている会社です。世界の競合を意識しながら、事業も組織も爆速で成長しないといけない。

今期は、ZEALSが目指す事業戦略に対して、GAPを埋めるべく、どういう人を採用すべきか、一人ひとりの社員がどう成長していくべきか、社員の成長につながる制度や育成は?といったことに取り組んでいます。

また、MVVの浸透も今年力を入れていることのひとつです。メンバーが100名以下の時に浸透できていたことが、社員が300人を超えると今までやってきたことだけだと浸透できないということを痛感しています。

一般的な会社であれば1年かけて構築することを、半年で複数テーマをやり遂げないといけないというスピード感で、過去自身が関わり作ってきたものを壊し、人事部門と現場一丸となって作り直すといったことを進めています。完成ということは無いことにやりがいと面白さを感じています。

古賀さんのキャリアの思考法

古賀さんがキャリアを築く上で大切にしていることはどんなことですか。

どれだけ身の丈以上の挑戦をしてコンフォートゾーンに留まらないかということと、困難な状況になった時に逃げないということが大事かなと思っています。最後までやり切らないと結局力にならないんですね。

レジュメ上は良い感じのチャレンジをしていても、その人が別の会社に行った時にそれが再現されるかと言われたら微妙だなと思っています。自分が全然違う環境下になったとしても、それがちゃんと再現出来る状態までやりきるかどうかっていうのは 大事だと思いますし、それが結果として環境に左右されない力になるのだと思います。

「コンフォートゾーンを飛び出し、困難なことをやり切る」ということに挑戦できる古賀さんの原動力のようなものはありますか。

先ほど、高校時代の友人の話をしましたが、生きているだけで丸儲けというか、生きたくても生きられなかった友達がいたから、 それに比べたらちょっとぐらいしんどい事なんて大したことないって思えるんです。リクルートキャリアで1番辛いと言われている採用の責任者を長く続けられたこともその原体験に通じると思います。

古賀さんが考える、スタートアップで活躍出来る人とはどんな人でしょうか。

コミットメントとスタンスがすごく大事だなと思います。どこの会社でも大事だと思いますが、スタートアップだとより良い経験をさせてもらえますし、すごくチャンスに溢れていると思います。そして、それには責任が伴うものなので、どれだけ自分で覚悟を持てるかが大切なのだと思います。

古賀さんのようにスタートアップで活躍したい人へメッセージをお願いします。

私は今年社会人20年目を迎えるんですけれども、非連続性の高まりというか、変化に対する期間が本当に短くなっているなと感じます。30代の方は、「今、新しいこと、変化が激しい環境に身を置かないと、自分が今後どうなっていくのだろう?」ということをちょっと考えてみても良いかもしれません。変化に対して柔軟で、自分がやりたいことのチャンスを掴み取る力を身につけるためには、 今、飛び込むべきなのではないかと考えたりしますね。ぜひコンフォートゾーンから飛び出してもらいたいです。

私は若い人と働くということにこだわりを持って企業を選んだりしているのですが、次の未来を作っていく彼らからいかに選ばれるかということも大事なことだと思います。デジタルネイティブの彼らと一緒に仕事が出来なければ、40歳50歳になった時に選ばれない人になると思います。そこに対して緊張感を高くもって対峙することが大事だと思います。私がリクルートの新人時代に対峙してくださった先輩方も同じ気持ちだったのかな?と思うこともあります。彼らがギヴしてくれたことを私も若者にギヴしたいという気持ちもありますし、自分がギヴすれば向こうもギブしてくれると思います。

古賀さんにとって、スタートアップで働く意義とは。

自分自身を体現している、ということなのかなと思います。20代でスタートアップで働くことと違って、私の場合は40歳手前で選んだので、結局選び方は新卒の時の就活と一緒だったんですよ。新卒の時は何の武器も持ってないただの女子大生だったわけですけれど、20年弱の経験を経てある程度力をつけたことで、世の中へ恩返しも出来ているのかなとも思います。おこがましい感じではなくて、もちろん自分も成長させてもらっているんですけれども、新しい地図を書く感覚というか、自分がやりたかったことを、大きい船に乗って叶えるというよりは、これから大きくなっていく船に乗って、大きくなっていくように設計図を書いて建設をしていく感覚なのだと思います。冒険であり、 価値の創造であり。そして、そういった綺麗な言葉だけでは収まらない大変さと葛藤と喜びがあることがスタートアップで働く面白さなのかなと思います。

編集後記

古賀さんとは、企業担当として採用支援でご一緒させていただいていますが、事業も組織も成長していく中で様々な変化が訪れ、かつ外国籍の方も多くダイバーシティに富んだZEALSさんで人事部門全体を管掌し、更に成長を加速できる組織にしていくことは、非常に難易度の高いチャレンジだと思います。

そんな中で古賀さんのインタビューから感じられたのは、リクルートさんに新卒でご入社されたときからずっと「身の丈を超える挑戦」をし続けてきたご経験と、「変化を恐れずコンフォートゾーンに留まらない」という考え方が、ZEALSさんでのチャレンジにも現れている、ということです。

変化を恐れずむしろ変化に柔軟にならなければ、取り残される時代になってきている中で、時代が変わっても第一線で活躍し続ける方に必要な要素は何なのか、古賀さんのキャリアを通して非常によく理解できるインタビューでした。

石井 廉史郎(フォースタートアップス株式会社/ヒューマンキャピタリスト)

EVANGE - Director : Kana Hayashi / Creative Director : Munechika Ishibashi / Interviewer : Renshiro Ishii・Daisuke Ito / Writer : Kozue Nakamura / Editor:Daisuke Ito / Assistant Director : Makiha Orii / Photographer : Shota Matsushima

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