「圧倒的にできないと感じることに挑み続ける」HRBrain 執行役員CSO 永山 康樹氏が見つけた新たなチャレンジ

2021-10-29

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*2024年9月30日時点

「仕事に夢を、日本に野望を。」をビジョンに掲げ、タレントマネジメントシステム「HRBrain」を展開する株式会社HRBrain(以下、HRBrain)。ソフトバンク株式会社、株式会社リクルートを経て、同社の執行役員CSOに就任した永山 康樹(Yasuki Nagayama)氏のこれまでのキャリア形成と意思決定の軸、今後のビジョンに迫ります。

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永山 康樹(Yasuki Nagayama)
大学卒業後、ソフトバンク株式会社に入社。2年間福岡で代理店営業の後、営業企画・直営店管理などに従事。 その後、株式会社リクルートに転職し、「リクナビ」の商品開発・営業管理、「ホットペッパービューティー」の事業企画の責任者を務め、2021年4月にHRBrainにジョイン、執行役員CSOに就任。

人事の戦略的な意思決定を支える、HRBrainの事業内容とは

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-- まずはHRBrainの事業内容とその中で担われている役割についてお伺いできますか?

当社は、従業員エクスペリエンスを向上させるタレントマネジメントシステム「HRBrain」を提供しています。

様々なマネジメント業務をクラウドで一元化することで、人事担当者の業務を効率化し、蓄積された人材データをもとに行う、組織診断・人材開発・組織改善をサポートしています。

その中で私はCSO(チーフストラテジストオフィサー)を担っています。マーケティング、インサイドセールス、フィールドセールス、カスタマーサクセス、コンサルティングの5部門を横断で見ており、それぞれの現状を数字で可視化していきます。そして、どこがボトルネックになっているかなどを特定し、施策を打つことで、全社でバランスがとれるようにするのが私の役割です。

-- 2021年の4月に入社されて、7ヶ月が経ちますがHRBrainでの日々はいかがでしょうか?

これまでとは見なければいけない範囲が広くなっています。加えて、予想以上に代表の堀から決裁権含め任せていただいており、チャレンジングではありますが、その点はいいギャップでした。

また、新しいプロダクトをどこまでの完成度でマーケットに出していくかという点については、これまでと違った難しさを感じているところです。

-- スタートアップでのプロダクトリリース時の完成度の難しさについて、もう少し詳細をお伺いできますか?

たとえば、プライシング1つとっても、前職の株式会社リクルート(以下、リクルート)では、マーケットやお客様のバジェットについて調査を重ねてファクトに基づきマーケットに出していきます。

それに対して、HRBrainの場合はスピードも重視しなければならないので、一定の予測に基づき出さざるを得ません。実際にマーケットに出していきながら磨き上げていくにあたり、そのバランスが難しいなと感じています。

「数字で語り切る」「自分がナンバーワンになれる領域で勝負する」会社の急成長期と共に感じることのできた自己成長

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-- スタートアップだからこその裁量の大きさとスピード感ですね。現在、HRBrainで新たな挑戦をされている永山さんの過去を辿りたく、新卒で入社されたソフトバンク株式会社(以下、ソフトバンク)での経験について、聞かせていただけますか?

ソフトバンクには、2009年に入社していますが、前年の2008年にiPhoneを発売していて、売り上げがとても伸びている急成長期でした。

メンバーの増員はないけれど、目標は前年比300%みたいなことが当たり前。そのため、会社の成長とともに、個人としても成長機会がたくさんあるストレッチな環境で、ファーストキャリアを歩めたのはすごく良かったなと思います。

-- 当時はどのような業務を担われていたのでしょうか?

ソフトバンクのコンシューマー向けサービスは、代理店による販売が大きかったのですが、私は代理店営業として、当時トップシェアだったパートナーさんを担当しており、現場で営業していただく方々のサポートや、さらに売り上げを伸ばしていくための施策立案から実行までを担っていました。

トップシェアのパートナーともなると、孫 正義さんや現代表取締役会長の宮内 謙さんが打ち合わせに出てくることもあり、プレッシャーも大きかったですが、その分高い緊張感の中で仕事を経験することができたと思います。

-- 急成長期という環境面以外でソフトバンクで得られたことは何でしょうか?

大きく2つあります。

1つは「数字で語り切る」ということです。ソフトバンク時代に1番学んだ部分ですね。
当時の上司には、「数字で表れてこないものはない」と、数字で語ることを徹底的に叩きこんでいただきました。

パートナーさんに対してもそうですし、代理店のソフトバンクショップの方に対しても、単に中に入り込んで盛り上げるのではなく、「なぜこの目標数字なのか」を彼らのKPIにインパクトするように、数字で語り切ることを徹底していました。

2つめは「自分がナンバーワンになれる領域で勝負する」ということです。

当時、ソフトバンクでは「何かナンバーワンになれることをやろう」と言われていました。営業として成果は出していましたが、爆発的に売れている方を見ると、「プロダクトについて熱く語る」という共通項がありました。彼らと同じレベルで「熱く語る」というのは、性格的にも淡々と説明するスタイルの私では難しいと感じ、営業企画へと異動希望を出しました。

高校までは理系だったこともあり、数字には苦手意識はなかったこと、代理店営業をしているときも、熱量よりも数字で語る方が周りに動いてもらいやすいと感じ、営業企画の方がナンバーワンになれる可能性が高いと考えたのです。

-- 異動されていかがでしたか?

結果的に、新たな経験をさせてもらえて正解だったかなと思います。ただ、営業の中で数字が強いというレベル感と、営業企画で数字と向き合い続けている人のレベル感は全く違いましたね。

見なければいけない数字は非常に細かく、「こんなところまで見ないといけないのか?」と感じたのが当時の正直な感想です。

さらには営業や量販店の進捗が毎日2時間おきに日報として送られてくるので、自分の担当領域を、かなり細かい数字までモニタリングされているのは結構辛かったです(笑)。

そのおかげで数字にはさらに強くなりました。

リクルートで学んだ「ロマンとソロバン」

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-- かなり数字ドリブンに業務されていたのですね。そこから前職のリクルートにご転職されていますが、どのようなきっかけだったのでしょうか?

1つはどれくらい外で通用するのかを確かめたかったからです。ソフトバンクでは、MVPも受賞経験もあり、周りから「外でも通用するよ」とも言われていましたが、中で働いているとわからないので外に一回出てみたかったんです。

あとは、マーケットを牽引するナンバーワンの景色を見たくなったこともありますね。

-- どういうことでしょうか?

ソフトバンクはNTTドコモさん、KDDIさんに次いで業界3番手でした。そのため、どうしても前を走る2社を意識した戦略や企画を打ち出さざるを得ない状況でした。そのため、マーケットリーダーとして、最初に出す企画に携わっていきたいと感じました。

-- リクルートでの業務はいかがでしたか?

リクルートでは「ロマンとソロバン」という言葉がよく言われますが、”数字だけ”では人は動かないというところを学ばせていただきました。ベースは数字があってこそではあるものの、人の感情を掻き立てるような仕掛けづくりまできちんとやっているところがリクルートの企業として強いところかなと思います。

また、メンバーにも関わらず、次年度事業計画の立案にあたり、事業部長に組織組閣の提案を行う機会をいただくなど、身の丈以上の業務に携わることで大きく成長することができたと思います。

-- ソフトバンク時代とは少し違ったアプローチをされていたんですね。カルチャーとしても違いを感じる部分はありましたか?

そうですね。それぞれ良し悪しがあるなと考えていますが、ソフトバンクはどちらかというとトップダウンの色が強かったです。対して、リクルートは人に期待をし、ストレッチな仕事を任せていくことで1人1人を自立させていく、比較的ボトムアップの文化だったように思います。

-- 「人に期待をして任せていく」素敵な文化ですね。

はい。1人ひとりが自立している方が事業としては強くなると考えています。HRBrainでも、「人に期待する」という点は私がチームをつくる際に強く意識していますね。

圧倒的にできないことへのチャレンジこそが自分を成長させる。

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-- リクルートでも成果を出されていたと思うのですが、ご転職を考え始めたきっかけはなんだったのでしょうか?

当時、単体のメディアサービスとして日本でも有数の売上規模である「ホットペッパービューティー」の事業企画マネージャーとして、サービス全体の事業計画の取りまとめを任せていただきました。

もちろん責任も重いですし、事業規模も大きく、非常に面白かったです。その一方で、リクルートの看板があるからこそできていると感じることも多く、大手の看板を捨てて、チャレンジしてみたくなりました。

-- 社内でキャリアを高めていく選択肢はなかったのでしょうか?

リクルートで部長へとステップアップしていくキャリアも非常に魅力的で、そのチャレンジにも難しいことはたくさんあると思いました。しかし、これは自惚れだと思っているのですが、「圧倒的にできない」とは感じませんでした。

これまでを振り返ったとき、「圧倒的にできないこと」にチャレンジしてきたときが一番成長できたなと思いますし、それが楽しさでもありました。

それであれば、「できるイメージが湧かない大きなチャレンジをしよう」と思い、これまでソフトバンク、リクルートという大きな看板のもと仕事をしていましたが、その看板を捨てるチャレンジを選びました。

-- そのタイミングでフォースタートアップス 執行役員 江良 亮人とお会いいただいたのですね。

はい、江良さん自身もサイバーエージェントという大企業からスタートアップに行く決断をされていて、いい意味で失敗もご経験されている方でしたので、非常に参考になる話が多かったです。

-- HRBrainに興味をもった理由はなんだったのでしょうか?

3つあります。1つ目は、伸びているマーケットで戦っている点。過去の経験から、チャレンジできる機会が多い伸びているマーケットで戦いたいと考えていました。HRBrainはHR Tech×SaaSで、日本だとマーケットの余白が多く、チャレンジする舞台としては面白そうだと感じました。

2つ目は、企画の採用がHRBrainとして初めてということで、これまでの経験を生かして役に立てると考えたことです。

3つ目は、色々なキャクターがいる方が会社として強いと考えていて、他のスタートアップとも話している中でも、HRBrainはバラエティに富むメンバーがいるなと感じました。

-- 「色々なキャラクターがいる方が会社として強い」という考えが生まれたきっかけはなんだったのでしょうか?

リクルートでの経験からですね。リクルートにはかなり多様なキャラクターがいます。そのため、事業が低迷しているときはこの人、良いときにはこの人をアサインして、さらにグロースさせていく。といったように、裏ではかなり細かくバランスをとって事業運営しています。

HRBrainの役員陣と話している中で、多様なキャラクターがいると感じ、会社として継続的に成長していく上では強いと感じました。


-- スタートアップでは代表との距離感が近いからこそ、代表との相性が決め手として大事になると言われます。HRBrain 代表取締役 CEOの堀 浩輝さんとの相性について当時感じられたことについて教えて下さい。

ビジョナリーな部分はある一方で、ドライに戦略を描いている。そのバランスが非常にうまいと感じました。

また、「なぜこのマーケットなのか?」という質問に対して、「伸びているから」というのが1個目に出てくる点は私の感覚とドンピシャでした。

お客様の課題解決をして、対価としてお金をいただくことができない限り、ビジネスとして成り立たないと考えているので、”エモさ”、”ビジョナリーさ”ではなく、きちんとマーケットとして捉えていることが私の感覚と合いました。

-- ビジョナリーな部分が先行しすぎてはいけないということですね。

そうですね。どちらがいい悪いという話ではないですが、ビジョンが先行しすぎる場合、多少お客様のニーズとずれていても、「自分たちがこうしたいから」という理由でマーケット、お客様と向き合うことが発生してしまうと考えています。

それは違うと思っていて、きちんとお客様の課題が解消できるからこそ、事業がどんどん成長していけるんじゃないかと思っています。その点は、感覚として合うなと思いました。

今後、取り組んでいきたいことと一緒に働きたい人物像

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-- あくまでも向き合うべきはお客様の課題ということですね。今後、取り組んでいきたいことについて教えて下さい。

新しいことをどんどん仕掛けていきたいと思います。ソフトバンク、リクルートもそうですし、代表の堀がいたサイバーエージェントもそうだと思いますが、どんどん仕掛けて、プロダクトの幅を広げることや社内で新規事業を作りながら会社を伸ばしていくことは必要だと考えています。

これまで在籍していた大企業では、リソースがあるため、新しい部分は誰かが担ってくれていました。HRBrainに入社し、いざ自分で既存の事業も伸ばしながら、新しい取り組みも仕掛けていくとなると、かなりチャレンジングではありますが、ひるまずに次々とチャレンジしていきたいですね。

-- 最後に、今後いろんな方がジョインされると思うのですが、どのような方と一緒に働きたいかお伺いできますでしょうか?

「矢印が自分に向いてる人」というのを私はいつも言っています。企画でも営業でも、エンジニアでもそうですが、何か自分の思い通りにいかなかったときに、きちんと矢印が自分に向いていれば、成長できると考えています。

例えば、新しい施策を打ち出して社内を動かしていくときに、「会社の方向性としてこう決まりました。なので営業の皆さんやってください」では営業は動きません。

そのときに、矢印が自分に向いていないと、「会社で決まっているのに営業がやってくれないんですよ」と他責思考になります。そうではなくて、「どう伝えれば営業が動いてくれたんだろう」のような発想になると、改善サイクルが自律駆動で回っていきます。

自分に矢印を向けて、自責でやれる人は成長できますし、仕事を任せていっても一定自走してくれる。そこさえあればいいかなと思います。

EVANGE - Director,Writer : Koki Azuma / Creative Director : Munechika Ishibashi / Assistant Director: Akinori Tachibana, Takumi Kubota / PR : Hitomi Tomoyuki, Megumi Miyamoto / Photographer : Kentaro Watanabe

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