EVANGEをご覧の皆さん、こんにちは。フォースタートアップスのEVANGE運営チームです。私たちが所属するフォースタートアップスでは累計1,500名以上のCXO・経営幹部層の起業や転職のご支援*をはじめとして、多種多様なビジネスパーソンを急成長スタートアップへご支援しています。EVANGEは、私たちがご支援させていただき、スタートアップで大活躍されている方に取材し、仕事の根源(軸と呼びます)をインタビューによって明らかにしていくメディアです。
国内シェアNo.1を誇るオンライン営業システムを提供するベルフェイス株式会社(以下、ベルフェイス)。同社の執行役員、そしてIT・統制統括室のゼネラルマネージャーとして活躍する左古 悠志(Tooshi Sako)氏のキャリア形成、企業選択の軸に迫ります。
左古 悠志 (Tooshi Sako)
EDS JAPANに新卒で入社後スポーツアパレルメーカーのIT部門でキャリアをスタート。2004年にヤフー・ジャパンに転職し、ヤフー・ショッピング他複数サービスのエンジニアリーダー、大規模PJ開発責任者、社内業務改革、内部監査、ショッピングとO2Oカンパニーで情報セキュリティ責任者、リスクマネジメント責任者を担当。子会社買収後のPMIフェーズで取締役を務める。2018年からニトリホールディングスでIT戦略、IT人材採用・育成を担当し、2020年9月よりベルフェイスに参画。
コーポレートIT、セキュリティ、コンプライアンス、法務、内部監査といった「守り」の仕事全般を担当しています。初めはセキュリティのみを担当しておりましたが、徐々に担当領域が広がっていきました。
「激動」という言葉がぴったりかなと思います。執行役員ということもあり、自分の発言が直接経営に影響していると感じることが多いです。責任の重さも感じますが、やりがいもある日々ですね。
IT業界に興味をもったきっかけは高校生の頃、プログラミングを始めたことです。
小さい頃からものづくりが好きで、夏休みの自由研究で作ったものが表彰されることもありました。そんな中、時代的にはドラゴンクエストIIIが発売されたタイミングで、やっていて楽しかったゲームと、ものづくり好きがかけ合わさって、「ゲームをつくってみたい」とプログラミングに挑戦し始めたのです。
当時はインターネットが普及し始めた時代で、今後どんどんネット社会に移るだろうと感じていて、その世界で起業したいと漠然と思っていました。
実際に起業するには至っていないのですが、ものづくりの派生で事業作りに興味を持ち始め、今で言うメルマガのサービスを仲間内で始めようとしていました。
大手広告代理店とも話をしていましたが、メルマガでの広告ビジネスは時期尚早で、最終的には自分たちでサービスを終了させました。
IT業界のメインルートといえばSlerというイメージが当時あったため、まずはSlerとしてお客様のITシステムの構築と運用の経験を積んでみようと考えたのです。日本では規模は大きくないものの、世界的にも知名度の高いEDS JAPANであれば、私が携われる裁量が大きく且つ、大企業を担当することができるのではないかと思い、就職を決めました。
実際に1年目からアディダスジャパン株式会社を担当させていただき、ネットワークやサーバーの管理など幅広く経験させていただきました。
ヤフーへの転職を決めた理由は、EDSジャパンでITの基礎的な部分を身につけることができたので、インターネットでのものづくりにシフトしていきたく、転職を決めました。
フロントエンジニアとして働き始めたのですが、大変なことが多かったです。当時ヤフーはまだ500人規模の急成長中の会社だったこともあり、教育制度なども整っておらず、全て自分で調べながら進めなければならない状況でした。
一方、手取り足取り教えてもらう環境ではなかったからこそ、エンジニアとして鍛えられた数年間でもあったと思います。
15年位前のYahoo!ショッピングのリニューアルプロジェクトが記憶に残っています。カート以外の全システムをリニューアルするかなり大きなプロジェクトで私もお客様向けサイトの技術リーダとして参画したのですが、プロジェクトが遅延している中、お店側のシステムを無理やりリリースを進めたことで、お客様にもお店側にも迷惑をかけることとなってしまいました。
失敗の理由は、領域ごとにリーダーとメンバーが配置されていましたが、肝心なプロジェクト全体を見渡せる責任者が専任ではありませんでした。小さなプロジェクトであればそれでも成り立ちますが、大きなプロジェクトだったため、全体を見られるリソースが十分に確保できなかったことで、各プロジェクトの関連性を把握しきれず、どこかのプロジェクトの進捗が遅れていることをカバーしきれず、失敗に繋がってしまったのです。
適切な人員を確保できずに身の丈に合わない難易度のプロジェクトに挑戦してしまうと、リリースしたいサービスがリリースできなくなったり、リリースしたサービスで障害が出てしまいます。
だからこそ、全体を見て、先回りしてリスクを把握し、策を打つことがより一層大事であると感じました。
フロントエンジニアの経験を積んだ後は、社内業務改革や内部統制・内部監査の業務を担当しました。
内部監査の仕事は結果的にうまくいかなかったプロジェクトや形だけで終わったプロジェクトもあり、とても学びが多かったです。
例えば、サービスリリースが遅滞なく行われているか関係部署の責任者へのヒアリングを行い、監査を進めたのですが、私の力不足もあり、何度ヒアリングを行っても結論が出ず…。
結果的には責任者の貴重な時間を無駄にすることになってしまい、申し訳ない気持ちでいっぱいでした。
また、とあるインシデント事故を受けて全サービスでデータのバックアップが取れているかを確認する監査も実施したことがあったのですが、物凄い工数をかけたにも関わらず、元々わかっていたことだけをレポートするだけで終わったこともありました。
これらの経験から内部監査では、どうしても独立した第3者の立場から監査を進めていかないといけず、各サービスまで入り込むことができなかったため、もどかしい思いをしていました。
一方、内部に入れれば、内部なりのしがらみは出てくるものの、そのしがらみや各サービスの事情を考慮した提案ができますし、変えるときに伴走ができます。私はこちらのほうがあっていました。
よりよい事業を作るためにも自ら希望してYahoo!ショッピングに戻って、事業部の中に入り込んでリスクマネジメントと情報セキュリティを担当しました。
当時はeコマース革命と言われる時代で、会社としてもスピード感をあげて急成長することを目標に動いていました。そうなると、当たり前ですがスピード感をあげないといけません。
そこで重要になるのが、「守り側が過剰に足枷にならないこと」です。会社が直面する可能性のあるリスクを事前にできるだけ予想し、内部の事情も考慮しつつ、スピードが落ちないレベルで会社を守る「邪魔しないが安心」「絶妙な守り」ということを実現したかったのです。
見極め力と徹底力を日々意識していました。事業の根幹を崩しかねないことは徹底して守る。リスクマネジメント責任者として社員の意識を高めることも大変ですが、大事な業務でした。
私はこれまで色々なことをやりすぎていて、軸がぶれぶれでした。セキュリティーがやりたいことは定まっていたのですが、セキュリティー1本でいくのか、他に何かつけるのかなどなど、壁打ちさせていただきました。
今回の『EVANGE』のインタビューのため、当時のメールを見直すと、井上さんとのやりとりは優に100通を超えていました(笑)。
プロダクトへの熱い想いを感じることができたこと、それが決め手でした。
ヤフーでeコマース革命前と革命後を見て学んだことの1つが、「社員たちが自分達のプロダクトにどれだけのめりこんでいるかがサービスの成長を左右する」ということで、その点ベルフェイスはその重要なポイントを十分に満たしている会社でした。
ヤフー時代の話に戻りますが、今でこそYahoo!ショッピング はPayPayの連携などもあいまって、使ってもらえるサービスの1つになっていますが、当時は業界3番手でユーザーに認知されているサービスとは言えませんでした。
また、もっと深刻だったのがそもそも社員が使っておらず、自分たちが作っているプロダクトにモチベーションも高くない状況でした。
それが、内部監査を経てYahoo!ショッピング に帰ってきたタイミングでeコマース革命が起きると、状況が一変。どんどん市場に受け入れられていき、社員も熱意をもってサービス作りに励んでいき、さらにサービスがよくなりユーザーに使われていく好循環が回り始めたのです。
ベルフェイスは、「営業を変えていきたい」という強い想いを、面接を重ねて話をする中で感じることができたのです。
事業の成長を軸に考えることです。
当社は、金融や大企業など幅広くサービスをご利用いただいています。
従業員のみなさんが、自社のサービスを安心して自信を持って提案していくために、普段の業務を生産性高く動いてもらうために、先手を打ってサポートをすることを大事にしています。
セキュリティにおいても、あくまで目的は事業を成長させるためです。会社の成長と事業の拡大のためを起点に何ができるかを考え、それに合わせたセキュリティを意識することで、クライアントのみなさまが安心して利用いただけることを目指しています。
ベルフェイスはまだまだ成長過程にあり、変化が多い会社です。そんな変化も楽しみながら、常に前向きに一緒に進んでくれるメンバーと働きたいですね。
EVANGE - Director : Koki Azuma / Creative Director : Munechika Ishibashi / Writer:Karen / Editor : Koki Azuma / Photographer : Shota Matsushima