「自分の決断を正解にする」ココナラ 執行役員 竹下 加奈子氏が作り上げるバリューを体現する組織とは

2022-11-21

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*2024年9月30日時点

「一人ひとりが『自分のストーリー』を生きていく世の中をつくる」をビジョンに掲げ、スキルマーケット『ココナラ』を展開している株式会社ココナラ。同社執行役員竹下加奈子氏(Kanako Takeshita)のキャリア形成、企業選択の軸に迫ります。

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竹下 加奈子(Kanako Takeshita)
早稲田大学法学部を卒業後、ソフトバンク・ヒューマンキャピタル株式会社に新卒入社。サイバーエージェントグループでマーケター、ソーシャルゲームのプランナーとプロデューサーを経て事業責任者に就任。その後、AI企業の執行役を経て、2020年からココナラに参画。

目次

  1. ココナラの事業内容と竹下氏の役割
  2. キャリアにも人生にも正解が無いから「自分で正解にするしかない」
  3. 「自分がしたことで人の気持ちを動かすことが好き」大切にしている軸
  4. 初めてのプロダクトマネージメントが忘れられない経験に
  5. スタートアップに入社し、当事者意識を学ぶ
  6. 「ココナラ」というサービスを好きになり、質問攻めにした面接
  7. どんな規模になってもみんなが同じ方向でいられる組織に

ココナラの事業内容と竹下氏の役割

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ココナラの事業内容について教えてください。

スキルマーケットプレイスを主軸にしてビジネスを展開しています。知識・スキル・経験をEC型で売買できるようにしていて、日本でも珍しいサービスだと思っています。

数年前からは、『ココナラ』に加えて『ココナラ法律相談』という、弁護士様と相談者様のマッチングサービス、去年の夏からはビジネス用途で購入したいユーザーに特化した『ココナラビジネス』、さらに直近11月にはITフリーランスと企業の業務委託案件をつなぐ『ココナラエージェント』も展開しています。

竹下さんの役割についても教えていただけますか?

私は『ココナラ』のプロダクト担当執行役員として、プロダクトを起点として事業成長させることが一つ。そして、ココナラを企画開発する組織の成長が私のミッションです。

組織的には、プロダクトの分析・企画・デザインをするプロダクト統括部、それから開発エンジニアの組織が、私の管掌範囲になっています。

入社されてから今までを振り返るといかがでしたか?

一言で言うと「難しくて面白い」ということに尽きます。私は、十数年プロダクト開発を経験してきていますが、ココナラはすごく難しいサービスだと思っています。

ありとあらゆるユーザー属性があって、決済手段、マッチングスタイルも多種多様です。私たちは開発なので、機能同士の影響範囲を考慮しながら動くことも苦労しますし、新機能を作るときに「誰のためのサービスなのか」と絞ることも一苦労なのです。

あちらを立てればこちらが立たないなど、新機能を作ると誰かがちょっと不便になるかもしれない。その場合はどう担保するんだ?ということのバランスを常に考えて機能設計しています。

大きな問題を常に解き続けるという楽しさで、入社して2年になりますがあっという間でした。

キャリアにも人生にも正解が無いから「自分で正解にするしかない」

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「難しいけれど楽しい」というのは、とてもポジティブな考え方ですね。

そうですね。ココナラの仲間も、“難しいは楽しい”というタイプが多いと思います。

難題を解いていくことは楽しいし、それが事業成長に繋がって、目に見える成果となるともっと楽しくなる。そこが、私と今働いている仲間の一つの共通項でもあるな、と。

きっとそれは、代表の鈴木もそうなのではないかと思っています。まだまだ解かなきゃいけない問題が目の前に山積みですけれど、それは私にとって「楽しいことがたくさんありそうだ」という気持ちです。

以前から難題を解くことは好きだったのでしょうか?

答えのないものにチャレンジすることは好きだったと思います。プロダクトマネージメントも、自分のキャリアにも、人生にも正解はないじゃないですか。

だから、私は「自分の選んだものを、自分で正解にするしかない」と常に思っています。すごく考えて選んだものを「絶対に正解だ」と後から自信を持って言えるように頑張ろうっていうのは、とても大事にしていることの一つです。

いつ頃からそういうお考えに至ったのでしょうか? 何かきっかけはありましたか。

株式会社ジークレストでのゲームプロデューサー経験がきっかけです。

BtoCのサービスは、正解のない開発の連続です。直接ユーザーの顔が見えるわけではなく、「どうですか」と訪ねて回る機会もなかなかない。何がアタリでハズレだったのか、そのゲームがヒットしてもなぜヒットしたのかが分からない時が何度もありました。

ただ、そういう経験をしていると、「結局答えは分からなかったけど、自分が選んだ決断を正解にしたんだ」と思うようになってきたのです。

それが、「難しいけれど楽しい」の原点だと思います。

「自分がしたことで人の気持ちを動かすことが好き」大切にしている軸

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新卒の就職活動時はどんな動き方をされていたのでしょうか?

本当に恥ずかしながら何も考えていない大学生だったんですよね(笑)。インターンをしても就活をしても、社会人になってどうやって働いていくのかというイメージがつきませんでした。

最後に私の中で結論となったのが、「自分が楽しいと思ったことを信じよう」ということでした。

そう考えていた時に、「インターネットでお客さんの心を動かしたい」というざっくりとした希望が生まれ、加えて、人として惹かれる人が多い会社を選ぼうと思ったのです。

この2つの要素を大切に考えて、SBヒューマンキャピタル株式会社に入社しました。

「インターネットでお客さんの心を動かしたい」という考えになったのはどうしてですか?

学生時代にインターネットコンテンツの制作会社でアルバイトをしていて、ディレクターにくっついて営業に行ったり、コードを触らせてもらったりしていました。その時に、私が作ったサイトを不特定多数の人に見てもらい、見た人の感情を動かすことが魅力的に感じました。

私は「自分がやったことで人の気持ちを動かすことが好きなんだな」と。人の気持ちが動くと行動が変わり、行動が変わるから何か成果が生まれる。その成果で私は成長も出来るし、収益を得ることも出来る。

「自分が作ったもので、人の気持ちが動いて、その人がアクションを起こす」この仕掛けを作ることが好きだと、アルバイト時代にぼんやりと思っていました。

ただ、今思うと大学生以前からも人の気持ちを動かすことや、それによって行動を変えることが好きだったように思います。

どういうことでしょうか?

私は小学校の時から学級委員長や文化祭の実行委員会など、オーディエンスを動かす企画をする役目がすごく多かったです。自分が動くことで周りが喜んでくれることは嬉しいけれど、喜ばすことだけが好きなのではなくて、「こうしたら、みんなちゃんと掃除するようになるよね」と行動を変えることが、好きだった気がします。

ただ、喜ばせたいわけではなくて、仕組みを作ることが好きでした。

初めてのプロダクトマネージメントが忘れられない経験に

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SBヒューマンキャピタルに入社されてからはいかがでしたか?

面白かったです。ただ実は…内定をいただいたのに、大学を留年するっていうポカをやらかしまして(笑)。

バイトや自分の好きなことだけをして単位を落として一留したあげくに、卒業間際になってさらに半留するっていう”1.5留”をしました。

その時の社長には今でもとても感謝しています。「半年間バイトという形で働いてもらって、正社員になるのは卒業してから」と言ってもらい、同期がみんな普通に研修を受けて行く中、半年間一人バイトをしていました。

なかなか無いご経験ですよね!その半年間はどの様なことをしていましたか?

マーケティングや制作部のお手伝いをしていました。そこで、偶然にもソフトバンクグループ株式会社の3,000人規模の採用イベントがあり、学生さん向けのSNSサイトを立ち上げる企画がありました。

当時の先輩たちに「企画書を書いてみる?」と言われ、つたないパワーポイントで企画書を出したら、なんと採用され、初めてのプロダクトマネージメントを経験しました。

学生さんからも好評をいただき、例年よりも内定承諾に至るまでの歩留まりがよかったようで、私が行ったことで会社の採用に貢献できたこともあり、初めて「自分がやったことで、人の気持ちが動く」という経験をすることができました。

スタートアップに入社し、当事者意識を学ぶ

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冒頭で、「ジークレスト時代に明確になったことが多い」ということをおっしゃっていましたが、そこから離れようと考えられたのは?

ゲームの仕事を長くしていると、もう何もかもが売り物に見えて、何もかもが自分のライバルに見えてきてしまい、好きだったゲームが楽しくなくなってしまいました。

以前はユーザーのことが手に取るようにわかっていたけれど、ユーザーへの熱量や関心が少し薄れてきたなと思い、次のキャリアを踏み出すポイントかなと思うようになりました。

転職ではどの様なことを重視しましたか?

ゲーム業界以外であること、BtoCのサービスということだけを希望条件としてエージェントさんにお願いしました。

年収も気にせず、別に役職もこだわらず、その2つだけを軸に「面白いところをお願いします!」といったところ、まさかSENSY株式会社というAIの会社を紹介されるとは思いませんでした。

ただ、よく話を聞いてみると、AIが個人の感性を学習して、人々の気持ちを動かすということは、私が今までやってきたことと根幹が同じでした。

また、当時AI領域はとても盛り上がっていた領域だったこともあり関心を持ち、入社を決めました。

実際に入社されていかがでしたか?

「スタートアップとはこういうことか!」と驚きました。

40人ぐらいの会社だったのですが、何とか業績を伸ばしていかないといけないという思いで動いていて、私は営業とコンサルティングを中心に、法務も担当していたし、人事規定を作るのも手伝っていました。

人数がいないから、なんでもやっていて、SENSYで学んだことは、AIの知識ではなくて、当事者意識でした。

もともと事業責任者をやっていたので、当時者意識はあったつもりでしたが、SENSYでの経験は、今のココナラでの執行役員としての動きにすごく役立っています。やれることを全部やる、Beyond Bordersしていくという考え方ですね。

ありとあらゆる職種をやられていたのですね。

営業で一番売る人間になっていたので、気が付いたら部長になっており、そのプロジェクトマネージメントも全部見るようになっていました。「黒字にしなきゃ、予算達成しなきゃ」と言いながらやれることをなんでもやっていたら、ビジネスディベロップメントの執行役員にもなっていたという。

執行役員はとにかく自分の分掌を超えて、会社全体のことに意識を持つ係なんだ!と思ったことが一番の学びです。

会社を傾かせない、伸ばすためだけのことで頭がいっぱいの2年間でした。

その根底には「自分が選択したものを正解にしたい」というお気持ちもあったのでしょうか。

絶対に後悔したくないと思っていて、その気持ちもすごくありました。自分が選んで、自分の人生かけるって、腹くくってここに来たわけだから「竹下さん、ゲームの業界から違う業界に行って、微妙になっちゃったね」とか絶対に言われたくないと思っていました。

そこからご転職を考え始めたのはなぜだったのですか?

2年働いて、ふと振り返った時に「私プロダクトマネージメント、2年ぐらいやってなくない?」と、その年の大晦日に気付いたのをきっかけに転職を考えはじめました(笑)。

その勢いで転職活動を元旦からスタートし、ビズリーチに登録したところ、フォースタートアップス株式会社(以下、フォースタートアップス)の六丸さん(フォースタートアップス株式会社 タレントエージェンシー本部 専門役員)から連絡をいただいたのです。

「ココナラ」というサービスを好きになり、質問攻めにした面接

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六丸と最初お話した時の印象は覚えていらっしゃいますか?

後にも先にも転職時に相談した方の話した内容を覚えているのは、ヒューマンキャピタリストとして活動されている六丸さんだけです。それぐらいインパクトがありました。

私が一通り自分の人生を話したら、六丸さんに「私は今日1社しか紹介しません。」って言われました。ココナラともう一社を紹介してくださる予定だったみたいなのですが、「竹下さんのキャラクター的に絶対ココナラです」と。

私はココナラの事を知らなかったわけではないのですが、当時は占いの印象が強く、「占いのココナラを紹介されたんだよな」と思いながら、その日は帰りました。

その後「選考を受けるか受けないかは別として、サービスは久しぶりに見てみよう」と思い、サービスを見にいってみたら、「すごく面白い!」と。サービス購入にもどっぷりハマってしまいました。「これはすごい。中で作っているのは誰だ!」と感動したのです。

ココナラというサービスのファンになったわけですね。

色々使ってみて、不便だなと思う場所も見えてきたりして、ココナラを作っている裏側の人とぜひ話してみたいと思い、面接で、現在代表を務めている鈴木に会わせてもらいました。事業の話はもちろんですが「この機能の意図はこういうことなんですか?なんでこれはこうなんですか?」みたいな機能の話を延々としたように思います。

今思うと、完全に「推しに会いに行ったファン」みたいな感じで。「やってしまった。これは落ちたんじゃないか。」と思いながら帰りました。

受かっていなかったとしても「この大好きなコンテンツの意図が知れて満足」と思っていましたが、その後採用が決まって、入社する運びとなりました。

どんな規模になってもみんなが同じ方向でいられる組織に

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ココナラに入社されていかがでしたか?

入社してから分かったことは、提供しているサービスが素晴らしいのは、ココナラという会社が「一人ひとりのストーリーを応援して、個人をエンパワーメントする」というビジョンを体現するための入れ物として作られたという気づきです。

社員はサービスを作る一人なので、やはりビジョンに忠実なんですよね。「このビジョンが流れていたからこのサービスに惹かれたのだ」と、後からつながって感動したことを覚えています。

そんなココナラで、竹下さんがやり遂げたいことを教えてください。

この表現が正しいか分かりませんが、ココナラはディズニーランドみたいなもので完成しないものだと感じています。サービスとしてまだまだ完成が先で、拡張しなきゃいけない機能が、てんこ盛りなので、まずは、その完成形を目指しています。

サービス提供手法の拡張、カテゴリーの拡張、マッチング手法の拡張、ユーザー属性の拡張、課金手法の拡張。この5つのテーマパークのエリアでどんどんアトラクションを拡張している状態です。

各エリアでアトラクションがそろっていけば、ユーザーの満足度が高まり、今は価値を感じていない新たなユーザーがまだまだサイトに来てくださると思います。

それでは最後に、どんな組織を作っていきたいですか?

弊社が掲げている”One Team, for Mission”、”Beyond Borders”、それから、”Fairness Mind”というバリューを体現する組織ですね。

この3つのバリューは、言うは易し、実行することはかなり難しいことだと思っています。今の熱量と開発意識、スピード感とお客様へのホスピタリティーを持った組織を維持し続けながら、拡大をしていきたいです。

難しいことだと分かっているけれども、2年経っても3年経っても5年経っても10年経っても、変わらずにいたい。それが、自分の今の課題とミッションの一つだと考えています。

EVANGE - Director : Koki Azuma / Creative Director : Munechika Ishibashi / Writer : Kozue Nakamura / Editor:Koki Azuma / Photographer : Takumi Yano

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