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正解が見えずとも地道にトライ&エラーを繰り返す。マネーフォワードi代表取締役社長 今井 義人 氏の「楽しさ」とともに見据えるグローバルチームでの挑戦

テクノロジー企業1社あたりの平均SaaS利用数は2019年の133種から2020年には155種に増加しており、今後国内でもSaaS利用の拡大が見込まれている。
SaaSを数多く導入している企業では、シャドーIT(*1)や、入退社時のID管理が行き届かないことによるセキュリティリスクや、重複課金等の課題が発生し、情報システム部門の負荷が高まっているという状況があります。

*1 情報システム部門が把握していないSaaS

そんな中、SaaS管理の事業領域に参入し、企業のSaaSの利用状況の見える化やオフボーディング、コスト管理まで一元管理が可能な『マネーフォワード IT管理クラウド』を提供しているマネーフォワードi株式会社。同社の代表取締役に就任した今井義人氏にキャリア形成、企業選択の軸に迫ります。

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“ニューエリートをスタートアップへ誘うメディア” EVANGEをご覧の皆さん、こんにちは。for Startups, Inc.のEVANGE運営チームです。

私たちが所属するfor Startups, Inc.では累計650名以上のCXO・経営幹部層のご支援を始めとして、多種多様なエリートをスタートアップへご支援した実績がございます。

EVANGEは、私たちがご支援させていただき、スタートアップで大活躍されている方に取材し、仕事の根源(軸と呼びます)をインタビューによって明らかにしていくメディアです。

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今井 義人(Yoshihito Imai)
大学卒業後、2009年にApple Japanに入社し、チャネル戦略などを担当。12年8月、ミイル株式会社でプロダクトマネージャーとして料理写真共有アプリの開発に携わる。15年12月に株式会社マネーフォワードに参画し、翌年3月にリリースすることになる『マネーフォワード クラウド経費』の立ち上げメンバーとして加わる。マーケティングやセールスプロセス構築等、サービスの立ち上げ期を支え、クラウド経費本部の発足時に本部長に就任。その後、2021年2月にマネーフォワードi株式会社の代表取締役社長に就任。

マネーフォワードiの事業内容と今井氏の役割

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今井さん、本日はよろしくお願いいたします。まずは、マネーフォワードiと事業内容についてお伺いできますか?

マネーフォワードiは、マネーフォワードのグループ会社として、2021年2月に事業を開始した会社です。

マネーフォワードグループは、個人向けのお金の見える化サービス『マネーフォワード ME』やバックオフィスSaaS『マネーフォワード クラウド』、SaaSマーケティングプラットフォーム『BOXIL SaaS』をはじめ、Fintech×SaaS領域で広く事業展開しています。

こうした中、マネーフォワードiでは、SaaS管理支援の事業領域に参入し、SaaSの一元管理が可能な『マネーフォワード IT管理クラウド』を提供しています。

-- その中での今井さんの役割についてもお伺いできますか?

私はその中で代表を担っておりますが、小さい会社あるあるで何でも屋が私の役割になります。

急成長の波を読み入社したApple Japan

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-- それでは今井さんのこれまでのご経験についてもお話しを伺わせてください。新卒でApple Japan合同会社(以下、Apple)に就職されていますが、国内の大手企業へ進む方が多い中、新卒の就職活動としては少し意外な選択肢だったように思います。当時はどのように考えられていたのでしょうか?

私は理系の大学院出身だったので、周りは研究室推薦も多く、その点では少し珍しい選択だったかもしれませんが、私としては変わった選択をしている感覚はありませんでした。

というのも、就職は波乗りに近いものがあると考えています。

-- どういうことでしょうか?

「急成長の波が来ている業界であれば多くの企業が成長できる、逆に安定している業界ではどれだけ頑張っても大きく成長できないのではないか。」そんなことを当時思っていたのです。その点、当時のAppleは日本でiPhoneが発売されたタイミングで、とても大きな波が来そうだなと思い、Appleに入社することを選びました。

-- 実際に入社されていかがでしたか?

Appleのプロダクトやサービスはとても好きだったので、それに関われること、また分野においては業界トップクラスの方たちがいるので、レベルの高い環境で働けたことでたくさんのことを吸収できました。

ただ、同時に難しさも感じていました。

Appleで経験した難しさと求めた次なる環境とは

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-- Appleでは、どのような難しさに直面したのでしょうか?

「自分自身で何かをやり遂げた」ということを得づらい環境だと感じました。私がいた3年間でMacintosh(以下、Mac)のシェアは2倍になっているのですが、iPhoneが一世を風靡していたタイミングで、そのトレンドに乗ってMacのシェアも伸びていきました。

また、Appleは外資系企業でもあり、且つブランドについては特に厳しい会社だったので、自分のアイデアを実現するということはかなり難しい環境でした。

-- ある程度のオペレーションは画一されたものがあり、工夫を施す余白が少なく物足りなさを感じられていたのですね。そこで転職を考え始めたのですか?

はい、よくあるケースだとは思いますが3年目になり、ふと立ち止まりました。現場の自由度はあまり大きくなかったとはいえ、それまでは初めての社会人で、新しく経験することばかりで成長曲線が高かったものが、だんだんその曲線が寝てくるタイミングだったと思います。

そのため、やりたいことをやれる環境として、スタートアップに行ってみたい気持ちが強くなりました。

-- そんな中、どのようなきっかけでミイル株式会社(以下、ミイル)へご転職されたのでしょうか?

たまたま、知り合いに誘ってもらって、採用イベントに参加しました。今までいた環境とは違って、かなりカジュアルでスタートアップの雰囲気の違いを感じました。その際に「うち、くる?」とお誘いいただき入社する流れになりました。

-- すごい繋がりですね。とはいえ、Apple入社の決め手となった「波を読む」ことは今井さんにとって重要な観点だったと思いますが、その点はいかがでしたでしょうか?

当時、「Facebook」誕生の裏側を描いた映画『ソーシャル・ネットワーク』がやっていて、SNSの世界に感化されたことは今となっては意思決定に影響を与えていたかもしれませんね。

また、Instagramが流行り始めたタイミングで、Instagramのバーティカルサービスがとても多く出てきていて、波がきている領域で面白そうだと感じたことと、会った方々がみなさんとてもいい方々だったので、とりあえず飛び込んでみました。

未経験でプロダクトマネージャーへ。トライ&エラーを繰り返す中で身につけたスタンス

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-- ミイルでの日々はいかがでしたか?

10人の会社ともあって、日々の変化が目まぐるしかったですね。
その中でも私にとっての一番の変化はプロダクトマネージャーへの異動です。

社内事情で担当することになったものの、完全に未経験な状態でしたし、教えてくれる人は誰もいなかったので、文献を漁って自分で試してみたり、社外の方にお話しを伺って、それを咀嚼して試してみるだったりと、数多くのトライ&エラーを繰り返していましたね。

そういった、何が正解かわからない中でも地道に一歩ずつ前に進むスタンスを身につけることができたのが、ミイルでの日々だったように思います。

-- まさに今井さんの求めていた「やりたいことをやれる環境」だったのですね。今井さんにとって、やりたいことをやる面白さはなんなのでしょうか?

自分の考えたことに結果が返ってくることでしょうか。

考えに考え「これは上手くいくはずだ!」と思いきや、全然ダメだったり、たまには良い結果が出たり...。ミイルが展開していたサービスはスマートフォンアプリだったので、ダウンロードされた後のリテンションが非常に重要になります。

そのため、アプリダウンロード後の体験を作るかを考えていくわけですが、ほとんどの施策は上手くいかなかったりしますが、稀にすごく結果が出ることがあります。考えていた仮説が正しかった、真実に近づけたという感覚を得られることが面白いと感じていました。

永遠のβ版「SaaS」への出会い。マネーフォワードでの日々とは

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-- ミイルでの充実した日々の中、なぜご転職されたのでしょうか?

当時、メルカリを筆頭に急成長を遂げているスタートアップが台頭しており、トレンドの波をつくる急成長フェーズを経験してみたいと思い、転職を考え始めました。

そのタイミングで、フォースタートアップス(当時は株式会社ネットジンザイバンク)のオフィスで志水さん(フォースタートアップス株式会社 代表取締役社長)のお話をお伺いし、そのパワーに圧倒されたことを記憶しています。

-- いくつかの企業とお話しされたと伺っていますが、マネーフォワードへの入社の決め手はなんだったのでしょうか?

会う方々の滲み出る人柄の良さですかね。特に当時の採用人事だった方が、選考期間中ずっと伴走してくれて、その方の人柄が今思えば決め手になっていたかもしれません。

もうひとついうと、『マネーフォワード ME』のプレミアムサービスの作り込みがしっかりしていたことです。私もミイルでプレミアムサービスをやっていたこともあり、『マネーフォワード ME』が考え込まれた施策で、サービス作りに対する強いこだわりを感じたことも決め手のひとつですね。

-- その後入社され、『マネーフォワード クラウド経費』の本部長にも就任されますが、マネーフォワードの日々はいかがでしたか?

とても楽しく過ごしていました。『マネーフォワード クラウド経費』の立ち上げに参画したあとは、トライ&エラーを繰り返しながら、一歩ずつプロダクトを形にし、組織をつくっていきました。

今でいうThe Modelのチームづくりを社内で初めて進めていて、プロダクトの立ち上げチームから事業部のような形に昇華されていきました。

-- これまでマネジメント経験はない中での、事業推進だったと思いますが、その点はどのように乗り越えたのでしょうか?

周りの見よう見まねでなんとか進めていました。マネジメント経験はない中で、当時15名くらいのチームをいきなりマネジメントすることになりましたし、初めて採用活動をしたりと、失敗はたくさんしつつも、磨かれていきましたね。

グローバルチームで挑む市場形成への挑戦。マネーフォワードiの参画背景と今後の展望

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-- マネーフォワードiへはどのような経緯で参画されたのでしょうか?

私がどんどん権限委譲するタイプだったことと、幸せなことに優秀なメンバーが集まったおかげもあり、私が直接関わらなくても『マネーフォワード クラウド経費』の事業は上手く回るようになってきていて、次のチャレンジに進んでもいいかなという気持ちになりました。

マネーフォワードiのプロジェクトは、私がマネーフォワードに入社する前から、アイディアは出ていて、スタートしていたもので、そこに混ぜてもらったような形になります。

-- 日本ではこれからの分野だと思うのですが、国内だけでなく海外市場の動向も意識されているのでしょうか?

そうですね。国内のSaaSのみならず、ソフトウェア全般がその傾向にあると思いますが、海外のサービスが先行しているケースが多いです。経費のプロダクトに関しても然りで、アメリカのサービスの方が数年進んでいました。

そうではなくて、同じ時間軸でビジネスを成長させられないか。そのようなことを長らく考えていました。

-- その中でも、『マネーフォワード IT管理クラウド』のSaaS管理は時間軸のギャップが少ない

まさにです。もちろんすでにアメリカでは同様のサービスは多数ありますが、そもそもジャンルとして新しい市場です。

-- 今後の展望についても教えていただけますか?

目先2、3年はいまのビジネスを一生懸命伸ばすことに注力していきます。チームメンバーの半分以上は外国人とグローバルなチームになってきていて、グローバルチームのマネジメントも新しいチャレンジでやりがいを感じています。

「楽しく働く」今井氏の大事にしてきた仕事感と一緒に働きたい人物像とは

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-- 今後、仲間がどんどん増えていくと思いますが、どのような方と一緒に働きたいですか?

楽しく働ける人がいいですね。スキルとかではないのですが、私は楽しそうに働いている人がとても好きで、そういった観点で採用もしているように思います。

「楽しさ」は、自主的に学ぶ意欲に直結すると考えています。何事もそうですが、嫌々やっていても全然うまくなりません。楽しければ、どんどん意欲的になり、結果的に上手くなるものだと考えています。

-- 今井さんがこれまで働く上で大事にされてきたポイントも「楽しむ」ですか?

そうですね。私自身は常にトライ&エラーを繰り返しながら、改善を積み上げていけるSaaSがとても好きで性に合っていることもあり、モチベーションを高くもって楽しく頑張れているように思います。

-- 権限委譲の文化も今井さんの楽しさに繋がっているように感じます。

マネーフォワードは思い切って人に任せることができる会社だと思っています。私自身、その文化のおかげもあり、機会に恵まれ、裁量をもってやりたいことができたことで大きく成長することができたと思っています。

ミイル時代に感じたことでもありますが、突然未経験でプロダクトマネージャーを担当した際に一番ストレッチが効いた経験があって、「機会が人を成長させる」ことを理解したように思います。

-- マネーフォワード社内でも様々なチャンスがありそうですね。

会社としては多くのサービスを出していて、チャンスはたくさんあると思います。新卒3~4年目のメンバーがCTOになるなど、機会は常にあります。そこでまた機会を得た人が人が成長していくサイクルが回っていくのだと思います。

そういった、ストレッチの効くチャンスを楽しめる方とも一緒に働いていきたいですね。

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EVANGE - Director : Koki Azuma / Creative Director : Munechika Ishibashi / Writer&Editor : Koki Azuma / PR : Megumi Miyamoto / Photographer : Takumi Yano

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