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「エンジニアリングはあくまで手段」エブリー執行役員CTO 今井 啓介氏の好奇心とユーザーファースト視点に迫る

“前向きなきっかけを、ひとりひとりの日常にとどける。” をミッションに、料理や子育てなどの人の暮らしについて、動画を軸に豊かにしていくことを目指す株式会社エブリー(以下、エブリー)。同社の執行役員 CTO 開発本部長として、サービス開発を統括している今井 啓介(Keisuke Imai)氏のキャリア形成、企業選択の軸に迫ります。

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“ニューエリートをスタートアップへ誘うメディア” EVANGEをご覧の皆さん、こんにちは。for Startups, Inc. の橘 明徳(Akinori Tachibana)と申します。

私たちが所属するfor Startups, Inc.では累計650名以上のCXOを含むハイレイヤーや経営幹部クラスのご支援を始めとして、多種多様なエリートをスタートアップへご支援した実績がございます。

EVANGEは、私たちがご支援させていただき、スタートアップで大活躍されている方に取材し、仕事の根源(軸と呼びます)をインタビューによって明らかにしていくメディアです。

今井 啓介(Keisuke Imai)
筑波大学卒業後、2015年に新卒で株式会社サイバーエージェントに入社。新規立上げの子会社にてAndroidエンジニア、Webエンジニアとして、スマホで使えるライブ動画配信サービスの立ち上げに携わる。2016年9月、エブリーに第一号エンジニアとして入社し、DELISH KITCHENのAndroidアプリ、Webサイトの立ち上げに従事。2021年7月にDELISH KITCHEN開発部の部長に就任し、同年10月、執行役員 CTO 開発本部長に就任。現在はエブリーのサービス全体の開発を統括。


すべてのユーザーに価値を提供するために、今井氏がエブリーで担う役割とは

-- まずは、エブリーの事業と今井さんが担われている役割について教えていただけますか?

エブリーは、複数の動画メディアを運営する総合型オンラインメディア事業を展開しており、毎日レシピを配信する「DELISH KITCHEN」、家事や育児をコンセプトにした「MAMADAYS」、そしてニュース・エンタメをトピックにした「TIMELINE」という3つの動画メディアを運営しています。

その中で私は、CTOとして先の3プロダクトと、全社横断のメディアシステム開発部の計4部門の開発組織を統括しています。

我々は、メディアを利用いただくユーザーである消費者(toC)や、販促支援を提供する食品メーカー(toB)に価値提供ができるプラットフォームをつくりたい想いがあり、その軸として動画メディアを展開しています。

-- 消費者にもメーカーにも価値を提供していくにあたり、今井さんがCTOとして大事にされている価値観はなんでしょうか?

一番は、ユーザーファーストであることです。コードを書いてプロダクトをつくるエンジニアリングは、ユーザーに対する価値提供の手段と捉えています。

たとえば、私がユーザーと直接話すことが最善の手段であれば、極端な話、エンジニアリングやアプリをつくらなくてもいいと思っています。ただ、より多くの人を幸せにするには、プロダクトとして届けた方がいいので、「エンジニアリングで解決します」となってくる。今はCTOという立場ですが、ユーザーに対する価値提供の手段が変わったにすぎないと認識しています。

好奇心から飛び込んだエンジニアの世界

-- 現在はスタートアップでCTOとして活躍されている今井さんですが、元々エンジニアに関心があったのでしょうか?

いいえ。最初は特に関心が高いわけではありませんでした。ただ、小さい頃から好奇心旺盛でいろんなことに興味をもっていましたね。エンジニアの道に進んだのは、たまたま知り合いがIT分野に進んだと聞き、面白そうだと感じたからです。今思うと、親がゲームをしたりパソコンを使っていたりしたことも、エンジニアに興味をもつ土壌になっていたのかもしれませんね。

-- 新卒では株式会社サイバーエージェント(以下、サイバーエージェント)からエンジニアキャリアをスタートされています。優秀なエンジニアを多く輩出している印象が強い企業ですが、サイバーエージェントで経験できてよかったことはなんでしょうか?

子会社をたくさん立ち上げているタイミングで、ライブ動画配信サービスの立ち上げ期に参画できたことですね。「ベンチャーにいた」経験は、後のキャリアに大きく関係していると思います。

当時は子会社全体で15名ほどの本当に小さな組織でしたが、小さい会社だからこそ、単に技術だけにフォーカスしていればいいということはなく、私自身、企画やデザインなども担当していました。

また、組織自体としても「エンジニアだから」「経営層だから」などは関係なく、プロダクトを伸ばすために必要な役割をそれぞれが担っていました。そのような環境下で学んだことが、今の社会人人生に活きている部分は多いですね。

-- ちなみに、子会社への参画は今井さんの希望だったのでしょうか?

そうですね。元々は本社採用で内定をいただきましたが、内定者のチャットで「新しい子会社をやるけど、興味ある人はいませんか?」というメッセージが流れてきたので手を挙げました。その時に手を挙げたのも、やはり好奇心がくすぐられた故のアクションだったと思います。

サイバーエージェントで学んだユーザーとチームへの向き合い方

-- 子会社に参画された経緯をお伺いしましたが、サイバーエージェント時代のどんな経験が、今井さんのその後の価値観に繋がってますか?

大きく2つあります。1つは良いプロダクトづくり、すなわちユーザーファーストであるために、まず自分がユーザーになりきる、ということですね。

-- どういう意味でしょうか?

子会社にいた時、当時のCTOやエンジニアメンバーは、自分たちがつくったサービスを誰よりもよく使っていました。機能を試すという意味ではなく、いちユーザーとして使ってこそわかる忌憚ない意見を出し合い、プロダクトを磨いていくのです。

自分がユーザーになることで、自然とユーザー目線に立ってプロダクトに向き合うことができ、結果的にユーザーファーストな開発に繋がることを目の当たりにしました。

-- もう1つはなんでしょうか?

そのCTOの方のチームメンバーに対する向き合い方ですね。

私がサイバーエージェントを卒業する時は、ポジティブな転職だったこともあり「思ったより長くいたね」と快く送り出してくれました。一方で、ほかの人がマイナスな気持ちで辞めたいと言った時は、本人のキャリアのために引き留めたという話を聞いたことがあります。個人のキャリアや働くメンバー1人ひとりに向き合う姿勢を感じた出来事でした。

今現在、CTOという立場を担う中で、事業運営を優先的に考えていかなければならない状況があっても、「メンバーのキャリアに向き合う」ことは、常に大切にしています。

「動画が日常になる」、斬新な発想に惹かれ即決したエブリーへの参画

-- サイバーエージェントでの経験はとても充実したものだったと思いますが、なぜ転職を検討するようになったのでしょうか?

当時の環境が居心地よくなってしまったからです。

いい意味で適度に成長できて、会社にも評価されていたのですが、それが逆に居心地が悪いと感じるようになりました。ちょうどそのタイミングで、他の企業はどうなのだろう?と興味が湧いて、転職を検討しはじめました。

-- そこからエブリーとの出会いがあったわけですね。

実は、転職目的で初めて社外の方にお会いしたのがフォースタートアップス (当時はネットジンザイバンク) の志水社長で、最初に紹介してもらったのがエブリーでした。その後、初回の面接で「あ、ここがいいな」と思えたので、他社は検討せず、エブリーだけをみて転職を決めました。

-- エブリーの何が今井さんの琴線に触れたのでしょうか?

吉田(代表取締役 社長 CEO)が語ったビジョンですね。

当時は、通信容量の制限があり、スマートフォンで動画を視聴するには制限があった時代。ただ吉田は「今後、インフラハードルは下がって動画は当たり前になっていく。特別なものではなく、当たり前のものとして動画を使いたい」と先を見据えた話をしていました。

私自身、サイバーエージェントでエンターテイメントの最先端サービスの1つとして、ライブ動画配信サービスをつくっていたこともあり「動画は特定の人のためのもの」と考えていました。当時、吉田が言う「普通の人が当たり前のように普段の生活をちょっとよくするために動画を使う」は私にはない発想で、とても新鮮に感じたことを覚えています。

エブリーのプロダクトグロースを経て、変わったこと・変わらないこと

-- エブリーでは、1人目のエンジニアとして、プロダクトがないところからグロースフェーズまで経験され、会社自体も大きく変わったと思います。その過程で、今井さんのスタンスとして変わったこと、変わらないことについてぜひお伺いしたいです。

変わらない点からお話すると、「ユーザーにより良い価値を提供したい」というスタンスは当初から変わっていないですね。

逆に変わった点は、価値を提供したいユーザーの定義がかなり広がったことです。

エブリーにはAndroidエンジニアとして入社したことから、最初はユーザー≒ Androidを使っている人という意識でした。そこから徐々にiOS、アプリ全体を使っている人へと拡大し、サービスに広告が含まれるようになってからは、広告主であるメーカー様もユーザーの定義に含まれるようになりました。これは、プロダクトのグロースを経験して大きく変わった点ですね。

-- プロダクトのグロースに伴い、いちエンジニアからリーダー、CTOへと今井さんの役割についても大きな変化がありました。役割が変わっていくことの難しさを感じる瞬間もあったのではないでしょうか?

そうですね。CTOになる少し前に「DELISH KITCHEN」全体の開発を管掌するようになったタイミングは、特にそうでした。

それまではAndroidやアプリ開発など、自分がプロフェッショナルとしてやってきた職能の延長線上でマネジメントをしていました。しかし、「DELISH KITCHEN」全体の開発を管掌するようになってからは、サーバーサイドやインフラなどの専門領域外もマネジメントする必要があり、自分に出来るかどうか、正直かなり不安でしたね。

もちろんサーバーサイドもインフラもやったことはあったのですが、専門性が高くできるかというと今でもそんなに自信はありません。社内のメンバーの方が出来る人がたくさんいると思っています。

-- 個別の技術において、自分より詳しいメンバーがいるなかで、開発全体をマネジメントしていくのはとても難しいと思います。どのように介在価値を発揮されてきたのでしょうか?

技術面ではスペシャリストに勝てないところはあるものの、私は組織やサービスの課題に対して明確に答えを出すことはできます。マネジメントする立場として、社内のスペシャリストに課題と技術について説明してもらい、意思決定をすることで介在価値を発揮するよう意識していました。

開発全体をマネジメントしていくことは難しさもありますが、面白さもあります。レベルの高いメンバーと話す機会がたくさんあるため、高いレベル、速いスピードで技術について知ることができるのは、開発全体を見ているポジションならではの醍醐味ですね。

今後、エブリーで目指したいこと

-- エブリーのCTOとして、今後目指したいことはなんでしょうか?

まずは組織づくりにより深くフォーカスし、組織をより成長させていきたいです。ゴールはエンジニアの人が転職を考えた時に、イケてるエンジニアチームとして、最初にエブリーが想起される組織を目指したいです。それにはまだまだ見えていないことや、やれることがあると思っています。

-- 構想の具体例を教えていただけますでしょうか。

たとえば、エブリー発の技術を、他企業がプロダクトを開発するときに使用できる、ライブラリーとして公開することです。Googleが最たる事例ですが、自社技術を公開することで、エンジニア業界の発展を促す文化が、エンジニアにはあります。

同じように「最近の日本のアプリ、全部エブリーで開発した技術が使われている」という世界が実現できれば業界全体の活性化にもつながりますし、そんな未来を想像するだけでわくわくします。ユーザーの定義を、エンジニアにまで広げると考えたとき、エブリーが日本のエンジニアリングをリードするような存在になっていきたいですね。

-- 今後のエブリーの開発組織の発展がますます楽しみですね。最後にどんな方に入社してほしいかも、ぜひ教えてください。

エブリーのサービスを好きになってくれる方ですね。これはエンジニアに限ったことではないですが、エンジニアについては、とにかくサービスを良くしたい気持ちがある方とご一緒したいと思っています。

「DELISH KITCHENが好き」という人でも、単純に「ものづくりが好き」という人でも、「サーバーサイドやAndroidが好き」という人でも歓迎なので、何らかの「好き」がエブリーと重なる人と一緒に働きたいですね。

橘 明徳(Akinori Tachibana):東北大学工学部卒業後、大手自動車メーカー勤務を経て、よりスピード感の早い環境でプロダクトを開発したいという思いから、IoTスタートアップの開発に従事。その後、成長する企業、事業に最も重要なのは "人" だと言う考えに至り、世界で戦える製品、サービスを日本から生み出すためには、個人が最適な環境で活躍しながら、圧倒的な成長を遂げる環境に時間を投資すべきだと考え、フォースタートアップスに参画。
Twitter : @tachirun

EVANGE - Director : Koki Azuma / Creative Director : Munechika Ishibashi / Writer : Akinori Tachibana / Editor:Hanako Yasumatsu / PR : Hitomi Tomoyuki, Megumi Miyamoto / Photographer : Takumi Yano

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