研究開発者からCTOへ。「もったいない駆動開発」を軸に、フェズ CTO徐 吉秀氏が目指す社会の底上げ

2021-03-18

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*2024年9月30日時点

小売・メーカー・消費者をつなぐ"広告×販促×店頭"を連動させたOMOプラットフォーム「Urumo OMO」を提供するリテイルテックスタートアップ、株式会社フェズへ2020年11月に参画した徐 吉秀(Jo Yoshihide)氏。研究開発者としてキャリアをスタートさせ、ゲーム業界リードエンジニア、外食産業VPoEを経て、今回リテール領域のCTOとしてジョインすることを決めた理由、キャリア形成及び意思決定の軸に迫ります。

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徐 吉秀(Jo Yoshihide)
千葉県成田市出身、東京理科大学卒業。KLab株式会社、株式会社トレタを経て、2020年11月に株式会社フェズへCTOとして参画。生体認証システムの研究開発者としてキャリアをスタート。主として指紋・虹彩認証のアルゴリズム研究に携わるも、研究成果を形にする開発力に課題を感じ、最先端の開発技術を求めてKLab株式会社に入社。ゲーム事業を中心にリードエンジニアとして広く開発に携わる。その後株式会社トレタにジョインし、VP of Engineeringとして開発組織のマネジメント責任者を務め、現在は株式会社フェズのCTOとして”小売業界の課題を解決する”をビジョンに、セールスリフトの実現に向けて数字まわりや組織作りなど市場、企業成長に向けて多岐にわたって活躍している。

目次

  1. 自身のロールを決めずに足を運ぶことで実現するCTOとしての役割
  2. 「社会に役立つ」ことを求めて研究開発者から事業会社へ
  3. 社会課題の解決への想いを持った人が集まるスタートアップの魅力
  4. “こうしたら良くなる”を突き詰め、辿り着いた「もったいない駆動開発」という名の行動原理
  5. フラットなフィードバックが導く良いシステムと組織作り
  6. “社会のもったいなさ”にどこまでコミットできるか
  7. CTOの観点から考えるリテールテック領域の難しさと未来とは
  8. 個人として対等であることの大切さ
  9. 変化に危機感を持つだけでなく、”楽しさ”を見出せるかがキャリアとしての分かれ道
  10. 社会の公平さを実現するプロダクト作りに大切なこと

自身のロールを決めずに足を運ぶことで実現するCTOとしての役割

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-- 本日はよろしくお願いします。初めに、フェズの事業内容と徐さんの役割を教えてください。

フェズは、リアル×テクノロジーで小売業界の課題を解決するために、小売・メーカー・消費者をつなぐ「広告×販促×店頭」を連動させたプラットフォームを作るリテイルテック企業です。具体的には、小売り及びメーカーの売り上げ要素を向上させる”セールスリフト”をワンストップで実現させる逆算型OMOプラットフォームを提供し、「”消費”そして”地域”を元気にする」というフェズのミッションの実現のために、チャレンジしています。 現在では、新規事業である小売業界のDXを推進する事業にも注力しています。

その中で現在の私のミッションは、組織作りです。企業としては、まさにセールスリフトを実現するための数字は見えてきたフェーズですので、開発組織もスムーズに動き出せるように体制を整えることが最優先課題となっています。

-- 事業だけでなく、組織としても次のフェーズに進むタイミングということですね。

前職との比較で恐縮ですが、ここは対照的です。前職では既に多くのユーザーに使って頂いている主軸のプロダクトがあったので、例えて言うなら一つの山を登りきったところで、様々な検証をしながら「次の挑戦を探してみよう」というフェーズでした。現在のフェズの環境のイメージとしては、既に登るべき山の頂が明確に見えており、そこに至るための体力や技術、装備といったものをいかに素早く整えていくかというフェーズです。前職とは規模感・速度感などがまた異なり、とても刺激的な環境です。

-- 組織作りに着手し始めているというお話しでしたが、具体的にはどういった業務をされているのでしょうか。

CTOといっても事業や組織フェーズにより様々な役割がありますが、私がフェズで行っていることとしては、中長期を見据えた技術戦略の立案やアーキテクチャ構築、コードレビューなどから、開発組織のチーム化やフロー整備、採用や1on1などがあります。組織が拡大するにつれて分業を進めていくべき領域ですが、特に今は、様々なところに直接目を通すことが重要な時期なので、自身のロールを制限せずにまずは足を運んでいくという形で動いています。

「社会に役立つ」ことを求めて研究開発者から事業会社へ

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-- キャリアスタートから遡らせてください。社会人としてのスタートである、株式会社日本システムラボラトリに入社を決めた理由は何でしょうか?

大学では流体力学のシミュレーションと実測値を比較していく研究をしていて、このテーマ自体は私の性に合っていて楽しかったです。しかし、大学院に進み、研究をしている中で修士1年が終わる頃にふと、「この研究がどのように社会に役立つのだろう」という疑問が湧いてきました。

その疑問が大きくなったことで大学院中退を決意し、より実践的な研究開発をしている日本システムラボラトリに入社しました。主に生体認証システムを開発しており、実用化・製品化に近い形で研究を行っている会社なので、非常にやりがいを持って仕事ができていましたが、経験を積むにつれて、研究の成果を実際の製品にしていくための技術・開発力が自分に足りないな、ということに課題感を感じたタイミングで転職をしました。

-- 技術力を身に付けるために転職したのがKLab株式会社だったと。

当時のモバイル業界は、とても変化が激しい時期ということもあり、そこで開発を行っているKLabは技術力が非常に高い会社でした。様々な業界から面白い人が集まる会社でもあったので、技術を磨きたいと思い入社を決めました。手を挙げればなんでもやらせてくれる会社だったので、スキルを磨くという意味でとても良い環境でしたし、挑戦したいと言えば真摯に応援してくれるカルチャーのおかげで成長できたと感じています。

-- まさに成長市場や成長企業に入る意義を体現している環境だったんですね。そこから、6年後にはスタートアップ企業でもある、株式会社トレタへ転職されています。

当時はまだ、今ほど普及していなかったAWSを用いたインフラ構築、運用から始まり、その上でのアプリケーションの開発やプロジェクトのリード、開発組織や人に対する業務などまで様々なことに挑戦させていただきました。6年が経ったタイミングで自身として一通りやりきったという思いになったことと、結婚や子供が生まれるという自身の環境の変化もあり、ワークライフバランスを見直しながら新しい挑戦がしたいと思うようになり、トレタへの転職を決めました。

-- ワークライフバランスという観点でキャリアを考えると、福利厚生が整っている大手企業を選択される方が多い傾向にあるのではないでしょうか。

私にとってのワークライフバランスとは、ライフを優先して充実させたいということではなく、ライフのバランスも取りつつワークを軸にして社会課題解決にコミットするということです。”大手企業では基盤がしっかりしている反面、個人でコミットできることに限りがあると感じていますが、ベンチャー、スタートアップだと1人の力でも組織や社会を変えていくことができる”。そういった意味で社会を底上げするための意思決定としてスタートアップへの転職を決めました。

社会課題の解決への想いを持った人が集まるスタートアップの魅力

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-- “社会課題の解決にコミットする、社会の底上げをしたい”という思いはいつから持っているのですか?

トレタにジョインしたタイミングだったと思います。子供が生まれたことをきっかけに、「より身近なところから社会に貢献できないかな」という気持ちが湧き上がったことで、その思いは強くなっていきました。

トレタでは、最初はテックリードエンジニアとして手を動かすという役割だったのですが、主軸のプロダクトが完成されていて、次に飛躍するためには開発組織として変えなければいけないことがたくさんあると感じ、そこに対して「こういった形で再構築していったら良いのでは」と手を挙げたことでVPoEという役割を任されることになりました。VPoEとしての最初のミッションは、組織の質を高めることだったのですが、ちょうど役割を終えたのが2年後。次の挑戦を考えていたところで、フォースタートアップスさんからお声がけいただいて現在に至っています。

-- 社会課題の解決をするために、スタートアップにジョインするという意思決定に繋がったのはどこからきているのでしょうか。

そもそもスタートアップ、ベンチャー企業というのは社会課題に向かって、あるいは実体験として何かしらの痛みを感じた創業者が事業を立ち上げるケースが多いですよね。スタートアップ創業者の方々と話すと、そのような気持ちや熱量を感じることができるので、トレタへ転職した際もそうですし、今回も伊丹さんの熱意に惚れ込みました。最終的には”人”という部分が決め手になっています。

-- 実際にスタートアップにジョインされてから感じることはありますか?

フェズに入社して感じているのは、”一人ひとりがプロフェッショナルだ”ということ。自身の領域に関して責任を持つだけでなく、他の領域に対しても他人事にならずに敬意を持つというスタンスが好きです。そのバランス感覚が素晴らしいので、今まさに組織拡大しているタイミングですが、このままスケールしていきそうだなと感じています。最初からその文化を形成できているところが魅力の一つです。

-- 人数が増えれば増えるほど、経営陣とメンバー間で考え方やカルチャーが乖離してしまうケースも多いとお聞きします。

今後も同じ考え方を持っている人が入り続けていけばスケールしますが、そうでなくなっていくことも避けられないですし、また同質化が進みすぎた組織は可能性の広がりが制限されてしまうので、組織の拡大に伴う多様性の尊重とカルチャーマッチの両立はしっかりチャレンジしていきたいですね。採用では特に価値観のすり合わせを大事にしていきたいです。

“こうしたら良くなる”を突き詰め、辿り着いた「もったいない駆動開発」という名の行動原理

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-- これまでキャリアについて伺ってきましたが、意思決定の際に大事にしていることや今回フェズへの参画を決めた理由があれば教えてください。

最近、自身の行動原理の軸に名前を付けていて、それを「もったいない駆動開発」と呼んでいます。”もっとこうすれば良くなる”という可能性に対して、アプローチしていくということです。キャリアを振り返ると、最初は数式やアルゴリズムを相手に模索することから始まり、次にシステム開発やアーキテクチャに対してアプローチしたり、このプロジェクトはこうしたら良いのではないか、この人はこうしたらもっと輝けるようになる、この組織もこうすればもっとよくなるのにと考えて動いているうちに、現在のような役回り、キャリアに辿り着きました。

最近は社会のもったいなさにアプローチしていきたいという気持ちが強いので、それが企業選びにも繋がっています。今後、もしこの気持ちが強まり、この軸でやりたいというものが固まれば、自分で会社を立ち上げたり、あるいは政治家になったりする可能性もある。

これまで培った経験を生かしてやれることと、目指しているものを実現するために、今回のキャリアを選択しました。”社会を底上げする”ために、そしてその力を身に付けるためにフェズにいます。

-- 新しい可能性にチャレンジすることが好きになったのには、どういった過去があるのでしょうか。現在の考え方が形成されたきっかけなどはありますか?

昔は今とは異なり、いわゆるネガティブワードですが、「怒り駆動開発」という名前で呼んでいました。自分がエンジニアとして”怒りやストレス”を感じるということは、そこに改善のポイントがあるはずだと考え、コミットしていくアプローチでした。それがシステムだけではなく人や組織が対象になっていったことで、より前向きな”もったいなさ”といった可能性を突き詰めることを生んでいるではないかと感じています。

-- 研究者としてではなく、事業会社で経験を積んだからこそ人や組織に対してのベクトルが強くなってきたということですね。

KLabに入社したばかりの頃は、本当に様々なことをがむしゃらにやらせていただいていました。ただある時、”自分一人で手を動かして改善していくより、周りを巻き込んで動く方がより大きい可能性にコミットできるんじゃないか”ということと”一緒にチャレンジする喜びやワクワク感”に気付き、そこから、だんだんとビジネス目線で思考することに変わってきたのだと思います。

フラットなフィードバックが導く良いシステムと組織作り

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-- これまでのお話しを通して、2社目(KLab)での経験が、キャリアや今の考え方に強く影響を与えているように感じます。

技術的にも挑戦ができたということと、当時の上司を始めとして面白い人材がたくさんいたので、そこから受ける影響も大きかったのかなと思います。

その上司の教えで今も大事にしていることがあって、それは「とにかくフィードバックを大事にしろ」ということです。システムや人、組織から感じる空気を含めて、あらゆる部分にアンテナを張ることが大事だと教えられました。レイヤーが上がるにつれてフィードバックを得られる機会は減っていくので、これを受けられる環境をいかに構築できるかが大事だぞと言われていて、それが今の考え方に繋がっています。

-- 現場感覚を養う意味でも非常に大事な考え方ですね。現在の業務にもその考え方やカルチャー作りは生かされているのでしょうか?

フェズにも、誰に対してもフェアで言うべきことは言うという「ストレートトーク」文化があります。それこそ社長や取締役に対しても社員は自身が考えたことを言っていますし、この文化はありがたいものなので、これからも大事にしていきたいと思っています。

“社会のもったいなさ”にどこまでコミットできるか

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-- 話が少し遡りますが、KLabからトレタに転職し、2年が経ったタイミングで弊社のヒューマンキャピタリストである森 心之介と出逢っていますね。最初の印象はいかがでしたか?

トレタにいる時もフォースタートアップスさんにはお世話になっていましたし、フォースタートアップスさんなら信頼できるというポジティブな先入観はありました。ずっと感じていることは、サービスやコミュニケーションの中身を見ているとすごくフェアな方々だということ。見せかけだけでこっちのためになることだけを言う、あるいは自分たちの利益を優先するということはなく、お互いがWin-Winになるような姿勢をすごく感じとれるので、新しいキャリアを探す時も信頼できると感じていました。

-- ありがとうございます。トレタからフェズへ転職する際はスタートアップ企業に行くということは決めていたのでしょうか。

実は決めていなかったんですよ。なので、アーリーなスタートアップだけではなく、幅広く様々なフェーズの企業を紹介していただきました。その点もありがたいと思いました。

軸として決めていたのは、”社会のもったいなさ”に対してどこまでコミットできるか、底力みたいなものがあるかどうか。そして、そこに対して組織の可能性ともったいなさをどこまで感じるかという観点から、ある意味一番大変そうなところにチャレンジしようと決めていました。

CTOの観点から考えるリテールテック領域の難しさと未来とは

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-- 大変さを求めてフェズへの参画を決めたというお話しですが、具体的にはどういった部分に大きな課題感を感じられたのでしょうか。

業界に対する課題感はもちろんですが、当時のフェズの組織状況にも大きな課題感を感じました。先にも少し触れましたが、既に目指す山の頂は見えていながら、そこにどうやって向かったら良いか、何が必要なのかを、特に技術的な側面からアプローチ出来ていないという状況を課題と感じました。このような会社はまだまだ多いのではないかと思うので、私自身も道半ばではありますが、業界横断的にも底上げしていければ良いなと思っています。

-- CTOとしての観点から見たリテール業界の難しさと、今後徐さんがいることでどういう世界観が実現可能になるのか教えてください。

一言でいうと”可視化”です。オフラインの購買行動は、これまでデータ化することができていなかったため、経験則によって仮定されていました。それがデータ化・可視化されることで、”何をすることでどういうフィードバックが得られたのか”というPDCAがしっかり回せるようになります。根拠を持って、様々な利害関係のある方々と会話ができるフェアな世界というのが実現できるので、結果として社会の底上げに繋がるのではないかと思っています。そこからさらにどう描いていくのかは、CTOとしてこれから頑張らないといけないところですね。

これまでは業界全体としてデータを活用しきれていない業界構造だったことと、色々な壁にぶつかってできていなかったのですが、フェズはそれを解決できる力があるのでチャレンジしていきたいと思います。

-- リテール業界の構造的な課題に対する意識は昔からお持ちだったのでしょうか

実は、フェズの選考を受けながら業界理解を深めていったのが本音です。そもそも、転職する際に業界へのこだわりは無く、私自身が考える”底上げの総量が大きい業界にいきたい”という思いがあり、その中でリテールテックが最適なのかなと感じました。

個人として対等であることの大切さ

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-- フェズに参画することを決めた要因は「大変さ」以外にもありましたか?

選考を通じて伊丹さんと話したテーマの中で、私の考えにとても近いものがありました。それは私が前職でも大事にしていたことに通じるのですが、”個人と組織が対等である”ということです。特にエンジニアは技術職なので、個人として技術をちゃんと磨けることが大切だと考えています。自身のやりたいことを成し遂げるため、また泥臭い話としては自身の生存戦略として市場価値を維持・向上するために、挑戦できる環境が大事です。

いつでもどこにもいける状態を作りながらも、フェズで成し遂げたいことがある、あるいは、今はフェズに力を貸してやろうというような関係性が理想だと考えています。そう思ってもらえるような環境を作るのがCTOである私の仕事ですし、伊丹さんだけでなくフェズならではの考え方でもありますが、それに近いことを伊丹さんが言っていたので、とても共感しました。

-- CTOとしてジョインするのであれば、CEOと考え方が近いことは重要ですね。

そうですね、初めて話した時から意気投合しそうだなという印象を持ちました。逆に伊丹さんからも、「いつきてくれる?」といったコミュニケーションを通して、熱い思いを感じていたので、そこに答えたいという気持ちもだんだんと強くなっていきました。

変化に危機感を持つだけでなく、”楽しさ”を見出せるかがキャリアとしての分かれ道

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-- 今後、どういった方々と一緒に働いていきたいですか?

技術的にも市場としても変化の激しい業界なので、そこを楽しめるような人が向いているのではないでしょうか。これはスタートアップでは当たり前の話ですが、その変化が自身の成長にそのまま繋がると考えられる人がフィットすると思います。

-- 市場全体を見たときにそういった考えを持っているエンジニアは、実は意外と多くないのではないかと思います。

変化に対応しなければという危機感を持っている人は一定いるものの、それを楽しんでいこうという人はそんなに多くないと感じています。危機感を感じるだけではなく、そこに対して前向きな気持ちを持てるかどうかで、エンジニアとして良いキャリアを築くことができるかの分かれ道になっていくのではないでしょうか。

-- 変化を前向きに捉えることができる方にとっては、成長環境として大手企業よりもスタートアップ企業が適している?

大手企業の中では、職業的なスキルを磨きやすい一面がありますが、安定性と引き換えにそこを楽しむという部分には制限があると感じています。一方で、スタートアップは良くも悪くも人が少ないので、自分自身の裁量で様々なことに試行錯誤しながら挑戦をし、その結果フィードバックが自分に返ってくるという環境だと捉えています。そのフィードバックが返ってくること自体が一番楽しいところですし、スタートアップの環境がエンジニアにとっても良い経験ができることに繋がります。

社会の公平さを実現するプロダクト作りに大切なこと

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-- スタートアップが魅力的な環境だと知ってもらえたら、さらに多くの仲間が集まってきそうですね。

スタートアップ企業や市場の情報に対して、しっかりと目がつくようになってほしいと思いますし、その会社に入ったらどうなるのか、業務イメージを持ってもらい自分でもできそうだ、と感じさせることが必要だと考えています。

エンジニアは課題解決を仕事にしているプロフェッショナルで、それに対して楽しいと思っていることが多いと思うので、課題をありのまま見せたほうが良いと思います。生の情報を見せることで、そこから課題を見いだすこともできますし、興味を持つ人も増える。もちろんこれは、技術や組織としての課題だけでなく、事業戦略を描いていく上でのプロダクトとしての課題など、様々な側面を含めてです。

-- エンジニアならではの考え方、物事の捉え方ですね。最後になりますが、今後実現したいことを教えてください。

​フェズには、社員が働く上で大切にしている価値基準があります。
​その中の1つに「Fair」という​​​キーワードがあり、これは、”立場ではなく、目的にあわせて進化できるチームになろう”​という想いが込められています。社会を底上げするために、この考えをブラさずに企業として成長し続け、プロダクト開発組織としても人員を増や​し​成長、拡大を目指していきます。リテール業界において小売、メーカー、消費者が”三方良し”となる世界を作るために引き続きチャレンジしていきたいです。

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EVANGE - Director : Kanta Hironaka / Creative Director : Munechika Ishibashi / Assistant Director : Yoshiki Baba / Writer :Ryohei Watanabe, Yuto Okiyama, Mutsumi Ozaki / PR : Hitomi Tomoyuki / Photographer : Jin Hayato

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