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「安定よりも不安定が良い」世界最年少J&J支社長からFOLIO CMOに身を転じたシーチャウ氏の挑戦

“ニューエリートをスタートアップへ誘うメディア” EVANGEをご覧の皆さん、はじめまして。for Startups, Inc.のEVANGE運営チームです。

私達が所属するfor Startups, Inc.では累計100名以上のCXO支援を始めとして、多種多様なエリートをスタートアップへご支援した実績がございます。
EVANGEは、私達がご支援させていただき、スタートアップで大活躍されている方に取材し、仕事の根源(軸と呼びます)をインタビューにより、明らかにしていくメディアです。スタートアップにご興味がある方は、是非ご覧ください。

リュウ シーチャウ (Xiqiao Liu)
一橋大学卒。P&G、レキットベンキーザージャパンにて複数消費財カテゴリーのマーケティングを経て、ジョンソンエンドジョンソン(以下、J&J)のマーケティング本部長に就任。全ブランドの売上及びその収益責任を負い、かつデジタル戦略を統括。二年間で全ブランドのマーケットシェア向上を実現した後、J&J香港の現地社長として赴任、一年間でV字回復して軌道に乗せる。2018年7月よりFOLIOにてCMOに就任。

仕事は、ユーザーが一番大事に思っているニーズを探り満たすこと

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-- シーチャウさんよろしくお願い致します。現在、FOLIOでなさっている仕事について教えていただけますか。

CMO(Chief Marketing Officerの略)をしています。マーケティングという言葉は、会社によって解釈が異なります。私達のチームは、FOLIOユーザーにとって一番大事で、一番刺さるポイントを探り、領域を問わず時間を使っています。CMやバナー、動画を作り公開すれば、FOLIOを使ってくれるわけではありません。逆に、カスタマーサービスの電話の出方を改善する事で、FOLIOのお客様が増加することがあるのです。

-- CMの企画など目に見える所だけをやっているわけではないと。

CMは手段。お客様にとって本質的な価値を与えないのだったらやめても良いのです。
日本には、「投資をしたいが、よく分からない」と銀行にお金を預けて投資をしない方が大半です。私たちはサービスを通じて、彼らに幸せになってもらいたいと思っています。

投資素人だったシーチャウ氏がFOLIOに転職した理由

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FOLIOを選んだ理由は2つ。1つは、世の中に対してインパクトを与えられるか。もう1つは、緊急度が高いか、です。

私は一貫して消費財を扱い、コモディティー化している商品のブランディングや、戦略策定をしてきました。

洗剤やシャンプー、化粧品の中身には大きな違いが無いので、全体のイメージや製品デザインまでをブランディングすることで差別化していました。対して、金融業界は、既に差別化が出来ておりブランディングも必要ないから、自分が活躍する余地はないと、FOLIOに出会う前は思っておりました。

ただ、CEOの甲斐に会った時、目を輝かせて「世の中にいる、まだ投資していない人たちに投資をして欲しい」と言っていて、純粋に、面白そうだなと思ったのです。

実は、私も投資素人でしたが、同時に、ただ貯金をしている事に違和感を覚えていました。そしてFOLIOのサービスをさわり、「これだったら私も投資するかも」と思いました。私のような人がまだ数千万もいて、彼らがFOLIOに触れて投資するようになったら、大きなインパクトが生まれると直感したのです!

-- ビジネスリテラシーの高いシーチャウさんでも投資については素人だった事が、投資文化が根付いていない何よりの証拠ですね。FOLIOを選んだ、緊急度というもう一つの理由についても、教えていただけますか?

J&Jの香港支社長を辞めるんだったら、過去の経験を最大限活かせるところに行こうと決めていました。

FOLIOの面接をした時、マーケティングチームが2人しかいなかったんです。彼らと面接した時「初めての事で何もわかりません。そもそもCMって、何をどうすればいいんですか?」と、面接なのに悩み相談をされちゃったんです(笑)

世の中を変えていきたいというビジョンがはっきりしているし、会社がコミットして、沢山のお金をかけてやっていこうとしているのに悩んでいる。「今、私が入って助けるべきチームなんじゃ無いか」と思ったのです。私はFOLIOの不安定さに惹かれました。他の会社は大丈夫そうだったので、心の中で「グッドラック」と言ってFOLIOに来ました。

世界最年少で支社長まで昇りつめたシーチャウ氏の恩師

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P&G時代のシーチャウ氏。楽しんでいる感じがヒシヒシと伝わってくる

-- 積み重ねて来た知見で社会にインパクトを与えたかったと。ところで、成長は恩師の存在と共にあるものですが、恩師についてお聞かせください。

私には4人の恩師がおります。1人目は、P&Gにいた頃に、ユニバーサルスタジオジャパンをV字回復させたことで有名な森岡毅さんです。

彼は、とにかく怖いんですよ(笑)1年目で、とても怖い空気の中で働いていたから、社会人としての当たり前の基準が高くなりました。

2人目は、現在P&Gのヘアケア事業アジアトップとして活躍しているAjit Nayakさんというインド人です。彼は、ブランディングやブランド影響力に半端ないこだわりがあり、彼と働いていた時にシャンプーのブランディングを共にし、こだわり抜く大切さと、「ブランドとは何か」を、物凄く近くで勉強できたのは良かったです。

3人目は、鈴木孝平さんという私がP&Gを辞めた時の上司。彼はとにかく上司として素晴らしかった。上司の鏡の様な人で、部下が欲しいことをうまく気持ちを汲み取ってやってくれました。自分も部下を持った時にやるべきアクションが見えました。

最後はMatt Bellというアメリカ人。彼は私に沢山のチャンスを与えてくれました。「普通だったら、この歳のこの人にさせないよね」という仕事、20代の私に対して、40代がするような仕事を大胆にも任せてくれました。この機会があったからこそ、今の自分がいます。

FOLIO CMOシーチャウ氏のブレない軸とは

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-- 凄まじい方々に囲まれてきたのですね。CXOになる方には、例えば恩師の元などで、様々な経験を通じて働く時に大切しているブレない“軸”が形成されていると思うのですが、シーチャウさんが大切にされている軸は何でしょうか?

“結果にこだわる事”です。最初は違いました。新入社員の時、私は「上司に言われたことをやろう」というスタンスで仕事をしていました。そして迎えた2年目の評価面談。上司に「数字の結果、ビジネスの結果が無い」と言われ、良い評価を貰うことができなかったのです。

仕事は極論、利益を上げる為に存在します。大事な利益を生み出していなければ評価が悪いのは当然。結果の重要性に気がつきました。

それ以降、場合によっては上司に言われていることを無視しても、結果を出す事に集中しました。数字が伸びて結果がついてくると、周囲の人が喜んでくれます。この経験を積み重ね、たくさんの人と同じ経験がしたいと思いました。

自分が入る事で組織や世の中にインパクトを与え、周りの方が幸せになる、という事が好きなのかもしれません。

転職時、周囲の反応とシーチャウ氏の心境、そして影響を受けた言葉

-- そう聞くとやはり、困っていたFOLIOがぴったりでしたね。ちなみに、転職の際、周囲の反応はいかがでしたか?

困惑される方が多かったです。特にベテランの方からは「行く末が見えない会社で働くのはリスキー」や「J&Jで世界最年少で香港の社長に就任し、結果を出し、よほどのことが無ければ順風満帆にこの後も進んでいける。なのになぜ?」と言われたこともあります。

逆に、友人達は私の性格を知っているので、「好きなことをやったら良いと思う」と応援してくれました。困惑された方にも想いを語ったら納得いただけました。

-- そもそも外を見始めたきっかけについて教えていただけますか?

新しいチャレンジをしたいと思ったからです。当時、香港に行った時も、大きな課題にチャレンジしようと考えてました。私が就任するまでの4年間は、業績の10%減が続き、売り上げは半分にまで落ちてしまっている状態でした。そこから戦略や人を変え、1年近く運用しようやく業績がプラス20%にまで回復しました。香港支社がうまく回り始めたタイミングで、私の中に余裕ができ、また新しいことに挑戦したいと思うようになりました。

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J&J香港支社長時代のシーチャウ氏。業績不振からのターンラウンドを見事に成し遂げた

-- その頃、弊社執行役員の恒田有希子に出会ったんですね。当時の印象をお聞かせいただけますか?

とても沢山喋る方だと思いました(笑)そして、良い意味でヘッドハンターっぽくない。
通常のヘッドハンターは、私の話を聞いてキャリアのアドバイスをくれます。対して、恒田さんは、私の話はあまり聞かず、AIやブロックチェーンの話を、怒涛の勢いで喋ってくださいました。最新テックの話が面白いので、今でも毎月飲みに行きます。

今まで様々なエージェントと会いましたが、どの型にもハマらないのが恒田さんですね。

また、クロージングが無いのが印象的でした。善意で動いてくれて、「シーチャウさんはこういう人に会ったら良さそうですよ」と、嬉しそうに、もし私が転職しなかったら永遠に人を紹介し続けてくれそうな程、沢山の人と会わせてくれました。

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共に香港へ旅行に行った時の写真。シーチャウ氏と恒田は現在でも友人として交流を深める

-- 色々な方にお会いしたそうですが、刺激的なCEO達と接してみて、どなたか影響を受けた方はいましたか?

皆さん刺激的でしたが、影響を受けたのは孫泰蔵さんです。孫泰蔵さんが香港に用事があって来た時、ワインを飲みながらずっとエストニアの話をしました。その夜は話が盛り上がりすぎて、翌日の朝食も一緒に食べるほど楽しかった。

朝食の帰り際に孫さんが、ボソッと「君の仕事と向き合う姿勢はとても素晴らしいんだけど、もっと“違う刺激”があった方がいいね!」と言ったのです。それ以降、良い条件か、ではなく、今までにない刺激があるか、で探すようになりました。

過去と現在の差異、そしてFOLIOで思い描く未来

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-- “違う刺激”という意味で、今までとFOLIOでの働き方では、どのような違いがありますか?

時間の使い方が全く違います。今、実際にやっている仕事の量では、J&Jの頃よりも全然多いんです。例えば、通常はプロのマーケターが大人数集まって1年かけて行うキャンペーンを、経験がない少人数で数ヶ月で行うと大変な仕事量になります。でも以前よりも時間に余裕があると感じます。

今までの働き方に問題があったのです。以前は、大手グローバル企業だったので、出張など、対外的な仕事が多かったのです。またビジネスのレビューをする機会が多かったのですが、それが全部なくなったんですよ。

全部の時間を、自分のやりたいことに使え、時間の使い方がヘルシーになった感じがします。システムが整っておらず回り道する事もありますが、本質的な仕事ができる時間が増え、早めに仕事を切り上げ、メンバーと飲みに行く事も増えました。

-- それは、Happyですね!シーチャウさんはFOLIOで何を目指していきたいですか。

ジョインした時と同じ思いで、世の中の資産運用の形を変えて行きたいです。そのために兎にも角にも目の前の結果を出す事に集中しており、他のことは考えていません。今まで大企業で働いて身に付けた経験をFOLIOで発揮し、投資をしていない人々をHappyにしていけるのか、考えていきます。

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EVANGE - Director : Kanta Hironaka / Creative Director : Munechika Ishibashi / Assistant Director : Yoshiki Baba / Assistant Writer : Ryosuke Ono / Photographer : Jin Hayato

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