EVANGEをご覧の皆さん、こんにちは。フォースタートアップスのEVANGE運営チームです。私たちが所属するフォースタートアップスでは累計1,500名以上のCXO・経営幹部層の起業や転職のご支援*をはじめとして、多種多様なビジネスパーソンを急成長スタートアップへご支援しています。EVANGEは、私たちがご支援させていただき、スタートアップで大活躍されている方に取材し、仕事の根源(軸と呼びます)をインタビューによって明らかにしていくメディアです。
"新しい価値交換を、もっと身近に"をミッションに、暗号資産やブロックチェーンの技術を活用したサービスを展開するコインチェック株式会社(以下、コインチェック)。同社の新規事業開発部のマネジメントを担い、グループ会社コインチェックテクノロジーズ株式会社(以下コインチェックテクノロジーズ)の取締役として管理部門全般を管掌する中村 一貴(Nakamura Kazutaka)氏のキャリア形成、企業選択の軸に迫ります。“ニューエリートをスタートアップへ誘うメディア” EVANGEをご覧の皆さん、こんにちは。for Startups, Inc.のヒューマンキャピタリスト安室 朝常(Amuro Tomotsune)と申します。
中村 一貴(Nakamura Kazutaka)
大学卒業後、三菱UFJモルガン・スタンレー証券株式会社に入社し、新規開拓営業として全社表彰を2度受賞。その後、約9年半、楽天グループ株式会社に在籍し、インサイト事業にて既存ビジネスのグロースと新規事業の推進をそれぞれマネジメントとして担う。2021年8月よりコインチェック株式会社の新規事業開発部に参画し、NFT事業開発グループと事業企画グループのマネジメントを担う。また、2021年11月から子会社のコインチェックテクノロジーズ株式会社にて取締役を兼任する。
コインチェックでは、デジタル経済圏のゲートウェイになることを目指して、これまでの暗号資産交換業に加えて、昨今注目を浴びているNFTやメタバースの領域で、複数の新規事業を展開しています。
他方、コインチェックテクノロジーズはNFT領域の戦略子会社としてコインチェック本体で抱えているNFTのマーケットプレイスとは別に『miime(ミーム)』というマーケットプレイスのサービスを展開しています。
コインチェックでは新規事業開発部のNFT事業開発グループと事業企画グループの2つのグループのマネジメントを担い、現在はNFTのマーケットプレイスのグロースとメタバース事業の立ち上げを推進しています。
コインチェックテクノロジーズでは、取締役として経営企画・人事労務・経理財務の領域を管掌しています。
コインチェックとコインチェックテクノロジーズのそれぞれの役割を連動させながら、コインチェックグループ全体のNFTとメタバース領域の事業開発を行っていくことが私の役割です。
大学生時代は、バックパッカーで十数か国を周ったり、不動産系や動画配信系のベンチャー企業でのインターンシップに多くの時間を費やしていました。新しい視点を得たり、視野を広げることが楽しかったですね。単純に金銭的見返りを受けるよりも、ワクワクすることに意義を感じて、前のめりに取り組んでいました。
ひふみ投信などのファンドマネージャーとして有名なレオス・キャピタルワークスの藤野英人さんが私の通っていた大学で講義を持たれており、それを受講したことは今振り返るときっかけの1つだったかもしれません。毎回講義にゲスト講師としていらっしゃる、社会で活躍している起業家の方々の視点を知り、世の中の事象を投資の観点で捉える藤野さんの視点を知ることができました。その結果、自分の時間に対し投資という考えを持つようになり、限られた人生の時間の投資先として、自分がまだ知らない世界を知りたい思いが強くなっていったと感じています。
イスタンブールの街中を歩いたときの景色が特に記憶に焼き付いています。計十数か国、その場で次の行き先を決めながら自由に見て周り、とにかく楽しかったのですが、イスタンブールで初めてイスラム教の文化に触れ、ボスポラス海峡の近くを夕暮れ時に歩いている時にコーランが流れてきて、これまで経験したことがない新鮮さを体感しました。社会人になった今の自分からするととても些細なことですが、当時の自分からすると、「自身が何かアクションを起こすことで予期していないセレンディピティに遭遇することができる」ということを体感したある意味原体験的な出来事だったと感じています。今仕事をしていて辛い時に一歩粘って踏み出すことができるのも、この時の体験から、やり切った先にセレンディピティがあると信じられるからかもしれません。
当時は明確な夢は描いていませんでした。ただ、漠然と「自分なりの軸を持った人間になりたい」とは思っていました。抽象度の高い表現かもしれませんが、「何となく良い会社だから」みたいな感覚で時間の投資先を考えることは違うなと思っていました。だからこそ、ある程度自分の意思で腹落ちや納得できる進路を進もうとは考えていました。振り返ると、インターンシップやバックパッカーも、自分ならではの軸を探すための行動だったかもしれません。
当初は金融系とIT系を見ていました。それから関心事を深掘りした結果、「お金は経済の血液だ」という表現があるほど、人が生活する上で不可欠な”お金”という”共同幻想的な概念”に興味があることに気づき、金融の道を選びました。
私は、紙幣や硬貨などの物質自体に価値があるのではなく、あくまで「皆が信じるから成立する概念」がお金の本質であると考えています。逆に誰も信じなければ紙幣や硬貨はお金としての価値を発揮せずただの紙や金属の塊でしかありません。特定の「コミュニティ」が価値を信じるからこそお金がお金として機能します。単なる概念でしかないとも言えますし、一方でその概念が経済を動かし人類を物質的に豊かにするのであれば人類にとって最大の発明の1つとも言えるかもしれませんが。
少し今の私の仕事に繋げるとすると、昨今の世の中で暗号資産やNFTが価値として成立するのも、特定の「コミュニティ」が一定規模で存在しその価値を認めているからだと捉えています。私達の身近な日本円などの法定通貨も、まだまだ新しい価値である暗号資産やNFTも同じ共同幻想的な概念だと捉えると、フラットにその価値と可能性を見出すことができるのではないかと思っていますし、本質に立ち返ってテクノロジーの進化に関わっていく過程は個人的にはとても興味深く関心の追求が止みません。
証券会社は金融の中でも特に業界を問わず、幅広いフェーズの企業に相対するため、市場でのお金の動きをマクロ的観点で知れること、早期にクライアントの経営者と接することで企業活動のお金の使い方をミクロ的観点を培うことができることに魅力を感じ、証券会社を選びました。
また、自分の実績が数字ベースで計測されランキングにされる文化だったため、時間を投資する上で結果をわかりやすく定量的に測りながら追い求めることができると考えたことも選択した大きな理由です。
入社当時はどちらかというと自信を持てておらず、自信をつけるためにもまずは誰にも負けないくらいの成果を出すと強く思っており、成果を出すために必要なことに仮説を持ち、成果を出すことに繋がりそうなことにはなんでも時間を投資していました。
社会人になると大部分の時間を仕事に投資するので、働く中で自分にとってハッピーな時間の使い方を自らなんとか掴み取らなければ、とこの時は特に考えていたと思います。
証券会社で数年努力したことにより経済の流れを読み解く力を身につけられたと思っています。一方で、立場上どうしても表面的な経済活動しか理解できていないとも感じていました。よって、表面的ではない深いところにある一次情報を仕事を通じて取りに行きたいと考えるようになったことがきっかけです。
そこで、ファクトのデータをもとにマーケティングや経営の意思決定に現場で関与するマーケティングリサーチに関心を持ち、メガベンチャーとして当時勢いのあった楽天のマーケティングリサーチの事業に入ることを選びました。
当時感じたギャップは大きかったです。それまでの証券会社での働き方は個人のプレイヤーとして動くことが多く、個人として自己研鑽を徹底すれば成果を出すことができました。一方、楽天入社後はチームとして分業の中で目線を合わせていくことが求められ、そのような働き方の違いに難しさを感じ、入社当初は成果を出すことにとても苦戦しました。
その時の経験は間違いなく今に繋がっていると思っています。成果を思うように出せないことがむしろ自分を変える大きな転換期になりました。元々は職人肌の個人主義だったのですが、それでは出せる成果に限界があると気づくきっかけになり、チームの視点で全体最適を追求することが成果の最大化に繋がり、結果的に自分自身の時間投資対効果も最大化するのだと考えるようになっていきました。
楽天には約9年在籍しましたが、最初の2年は自分のスタンスを作り変えるためにもがいていました。挫けそうなことも多くありましたがいろんな方々に助けて頂きました。そこを乗り越え、次にマネジメントする立場としてチームがどうあるべきかを考えるようになり、そして組織全体がどうあるべきか、経営がどうあるべきか、描いた戦略をエグゼキューションしていくために経営と現場をどのように接続し、コミュニケーションをどう工夫するべきか、とチームや組織の起点で物事を考えるようになっていきました。それは結局大きな成果を出すためにはその視点は絶対に避けて通れないと日々の仕事の中で思い知らされたからだと思っています。
楽天でも機会に恵まれていたものの、次の挑戦としてより自身が事業責任を背負う役割を目指して働ける環境を探していた中でコインチェックと出会いました。
加えて、元々2016年ごろからプライベートで暗号資産に触れており、NFTにも関心がありました。2017から2018年にCryptoKittiesというイーサリアムのブロックチェーンを使用した、さまざまな種類の仮想猫の育成と売買をする、今のNFTのはしりのようなゲームが話題になったのですが、その斬新な新しい"共同幻想的な概念”にとても興味を惹かれました。
当時の転職活動では、大企業を含めて、他業界からも厚遇のオファーをいただいたりしましたが、2021年の夏前頃からNFTの波が来始めていたこともあり、シンプルに新規事業としてこの領域に多くのオポチュニティが発生してくると感じていました。そのオポチュニティを掴み、この領域で自分自身のキャリアのタグを作るようなチャレンジがしたいと思い、コインチェックに飛び込むことを決断しました。
フォースタートアップスさんには、面接前に業界や企業の一次情報を提供いただいたりしていましたが、特に意思決定の直前にすごく長文のメッセージでコインチェックに飛び込む上で参考になる考え方や情報を送ってくれたことが嬉しかったですね。
自分が関心の持てる領域でキャリアにタグをつけるためのチャレンジができることに加えて、新規事業への投資スタンスとカルチャーに魅力を感じたことがコインチェックに決めた理由でした。具体的には、私の入社前時点で、NFTやIEOなどの新規事業を展開しており日本初の事例を作っており、そんな環境の中であれば自分の努力次第で良いオポチュニティが掴みやすいのではないかと感じました。
また、選考の過程を通してコインチェックのカルチャーを知っていく中で、「役職は役割だ」という価値観の話を聞き、他企業と比較してもフラットに個人が尊重されているカルチャーが垣間見えたことも魅力でした。例えば、執行役員会の議事録が一部秘匿情報はあるものの概要が全社員にSlackで公開されていたり、個人が一定尊重されている中で組織としての全体成果を出すことを目指していることに共感を覚えました。もちろん価値観だけでは事業運営はできないので現実にも向き合いながらにはなりますが、私自身が前職までで感じていたチームや組織、事業運営や経営の目指していきたい在り方と近かったことは意思決定する上では大きかったかもしれません。
私が今、コインチェックに自分の時間を投資しているのは、NFTは人々の人生の体験価値を変える可能性がある概念だと考えているからです。
今はオフラインの現実世界だからこそ幸せな思い出として残ることを今後はオンラインでもオフラインと同じような輪郭で思い出として残すことができるようになると考えています。
例えば、初めての彼女と行った映画のチケットの半券を、幸せな感情がそこに詰まっているため財布に入れたままなかなか捨てられない、などの経験が、現実世界のオフラインではある人もいるのではないでしょうか。
そのオフラインでのみ成立していた体験価値が今後は、オンラインのメタバースの空間でもできるようになっていくと考えています。それができるようになるのは、NFTという概念がデジタル上のモノの輪郭をはっきりさせ現実世界と同じような感情を持たせられるようになるからこそです。
"共同幻想”としては今はまだ信じるコミュニティの数は多くはないですが今後時間とともにそのコミュニティはマジョリティになっていくと思っています。
そしてそうなると、オフラインでもオンラインの両方で同じくらい濃い体験ができるようになるため、多くの人々にとって幸せな体験の時間の総量が増え、結果、社会全体でもハッピーの総量が増えていく。そうなっていくと良いなと思っています。
一方で、現時点でのNFTは投機の対象になっているのも事実だと思っています。これから業界全体で投機以外の様々なユースケースが出てくる見込みですが、コインチェックとしては、"デジタル経済圏のゲートウェイ"としての役割を目指しつつしっかりと事業を成長させ、私個人としてはこれから出てくる様々なユースケースの中で、より本質的なNFTの価値を顕在化させることに関わっていきたいと考えています。
まだまだ新しい業界なのでカオスなことも多いです。その中でも新しいことに知的好奇心を持って、自らルールを作っていける前向きな方と一緒に働かせて頂きたいです。
抽象度が高いテーマを取り扱うので、具体と抽象を行き来しながら論点整理ができて、社内外合意形成できるコミュニケーション能力がある方はバリューを発揮して頂きやすい環境だと思います。
また、これまでお仕事をされてきた中で経験値が一定貯まってきており、それを発揮できる場所を探していらっしゃる方には多くのオポチュニティを提供できるのがこの会社、この業界だと私は考えています。
今の職場よりもさらに事業の中心でプレーしていくチャレンジをしていきたい方に関心を持って頂けると嬉しいです。
昔ながらの業界ではビジネスの前提条件に変化が起きづらい分どうしても昔からいた人の方が有利であることに対して、この業界は変化の速度が通常の新規事業の比ではないくらい早いので、私も含め後から業界に入ってきた新参者でも自分次第で以前からいたプレイヤーを凌駕する成果を上げやすい環境だと思います。一緒にチャレンジしてくれる人がいましたらカジュアル面談や面接などでお会いできれば嬉しく思います。
EVANGE - Director : Koki Azuma / Creative Director : Munechika Ishibashi / Writer : Tomotsune Amuro / Editor:Shota Nakamura / PR : Megumi Miyamoto / Photographer : Hideaki Ichikawa