EVANGEをご覧の皆さん、こんにちは。フォースタートアップスのEVANGE運営チームです。私たちが所属するフォースタートアップスでは累計1,500名以上のCXO・経営幹部層の起業や転職のご支援*をはじめとして、多種多様なビジネスパーソンを急成長スタートアップへご支援しています。EVANGEは、私たちがご支援させていただき、スタートアップで大活躍されている方に取材し、仕事の根源(軸と呼びます)をインタビューによって明らかにしていくメディアです。
「前向きなきっかけを、ひとりひとりの日常にとどける。」をミッションに、毎日の暮らしを明るく豊かにしていくことを目指す株式会社エブリー(以下、エブリー)。同社の執行役員データソリューション本部長として、事業を牽引している鵜飼 勇人(Hayato Ugai)氏のキャリア形成、企業選択の軸に迫ります。
鵜飼 勇人(Hayato Ugai)
慶應義塾大学卒業後、2006年にトーマツ コンサルティング株式会社(現:デロイト トーマツ コンサルティング合同会社)に入社。2008年にアクセンチュア株式会社に入社し、戦略部門でのコンサルティングに従事。2011年にグリー株式会社へ入社し、事業戦略などを担当。2013年、株式会社リブセンスに入社。プロダクトマネージャーや事業責任者、新規事業の立ち上げを経験。2017年に株式会社エブリーに入社し、経営企画としてリテールソリューション事業の立ち上げに従事。2019年より執行役員に就任。
エブリーは、複数の動画メディアを運営する総合型オンラインメディア事業を展開しており、様々なレシピを紹介する「DELISH KITCHEN」、育児をサポートする「MAMADAYS」、ニュースやエンタメを配信する「TIMELINE」という3つの動画メディアを運営しています。
その中で、私はDELISH KITCHENを中心としたリテールメディアの事業展開を担っています。リテールメディアを通じて、メーカーや小売の販促を支援するとともに、メディアを利用いただく消費者にも効率的な買い物体験を提供できるよう取り組んでいます。
メーカー側の商品プロモーションや小売の店頭販促で伝えたいことが、DELISH KITCHENのソリューションを通して消費者に届きやすくするお手伝いをしています。具体的な支援内容としては、販促計画の支援、店頭サイネージによる店頭販促の支援、店外での接点を創出する小売アプリによる付加価値提供を推進しています。
また、店頭サイネージや小売アプリから蓄積されたデータを用いて、消費者が何を理由に購買にたどり着いたか、リピートに至ったかなどを分析し、店舗運営の効率化や売上の最大化に貢献します。
今メーカーが抱えている課題のひとつに、広告がどれくらい購買につながるかが定量的に見えないことが挙げられます。一方、小売が抱えている課題は、いかに継続的に集客してユーザーを獲得・囲い込みできるかです。私たちは両者の課題をリテールメディアで解決すると同時に、消費者のニーズに合った1to1の買い物体験を提供することで、「メーカー・小売・消費者・エブリー」の四方良しな状態を目指すべく、リテールメディアの導入に取り組んでいます。
現在は執行役員・データソリューション本部長として、特に小売店舗と連携しながらリテールメディアの導入拡大に注力しています。消費者に最適な購買体験をしてもらえるような基盤を広く普及させることが、優先順位の高いミッションです。
「目の前の人の困りごとを解決し、その人に最適なものを個別カスタマイズして提案する」。そのような軸を一環して添えており、ビジネスにおいてもクライアントへの第三者目線でのアドバイザリー提供が性に合うのではないかと考え、コンサル業界を志望するようになりました。「20代のうちに成長速度を上げるには、コンサルファームが適している」といった周囲のアドバイスも、志望度を高める理由になりましたね。
予想通りの厳しい環境で、正直なところ入社当初は全く活躍できませんでした。同期や後輩が私よりもずっと優秀で、何もかも一から教えを請いながらの日々でした。途中で投げ出すことなく前向きに頑張ろうという気持ちで入社1〜2年目はとにかく必死に踏ん張りました。
評価も成果主義で良し悪しがはっきりフィードバックされます。「Up or Out」を体現した世界でひりひりするような毎日でしたが、自ら望んだ環境でもあったので、なんとか爪痕を残そうと奮起しました。
そうですね。それまではコンサルタントといった職種や働き方のイメージを明確に描けていませんでしたが、2社を通してその解像度が上がったように思います。
同社では戦略部門に配属されて、プロジェクトの内容にも恵まれ、戦略の考案から施策実行までの業務を担当しました。クライアントにはどんな背景のもと何の課題があって、それをどう解決していくか。課題解決のための物事の考え方からはじまり、定量的、定性的な分析方法も学べて充実した経験を積めました。
自分の強みでもあるデータを用いた課題解決は、まさにこれまでの経験での大きな収穫だったと思います。複数のプロジェクトにたずさわる中で、社会人経験の浅い自分でもクライアントのデータをもとに仮説検証したり施策提案することで、提案が具体化されクライアントの評価にも繋がるような経験ができ、徐々に自信に繋がっていきました。
もちろんデータ分析の仕方は初心者でしたが、繰り返すうちに自分ごと化がすすみ、データ分析を通して示唆を出せる事が楽しくなり、「突き詰めたらどんな良いことが起こるのだろう」と、ワクワクするような気持ちが芽生えましたね。厳しい環境ではありましたが、顧客や社内のメンバーに信頼してもらえることで、自分の強みが確立されていった感覚があります。
まさしくそうですね。アドバイザー的立場で価値提供をするためには、定量的な視点や定性的な分析、従業員の巻き込み方など、いろんな要素のスキルが求められますが、その一つひとつを身につけさせてもらいましたし、その中で自分の強みも明確にすることができました。今の仕事にもつながる得意分野を見つけられたことは、キャリアのターニングポイントになったとも思いますし、私自身、キャリアの本当のスタートラインに立ったような感覚でした。
今まではコンサルの立場でクライアントを支援し、事業がどう変化していくかを俯瞰して見ていましたが、実際に自分が事業運営の舵を切ったらどうなるかに興味が芽生えました。当時28歳だったので、30代になる前に、いちから事業創造に携われたらと思い、事業会社への転職を検討するようになりました。
事業会社を選ぶにあたり、「成長産業であるか」を重視しました。2011年当時、まさに勢いがあり伸びている事業領域がゲームであったことと、コンサル出身者が多数活躍していることから、グリーを選びました。
主に2つあります。1つ目は、事業を遂行するためには、顧客だけではなく組織とも向き合わねばならないことです。チームメンバーと結束して働くことの重要性を実感しました。
コンサルは、目的や方向性の同じ人たちが集まった組織であり、コンサルタント同士の意思疎通もスムーズに行えます。対して事業会社にはあらゆる職種の人がいて、一人ひとり見えている世界も異なります。だからこそ、丁寧に言葉を交わしながら様々な職種のメンバーと連携し、同じ方向に向かうことが事業成長には欠かせないと感じました。
価値の直接の提供先が、クライアントからその先の消費者にまで、明確に広がったことですね。
コンサル時代は、あくまでクライアントの先に消費者がいましたが、グリーでは自身が関わったプロダクトが直接消費者に届きます。消費者の喜びを直に感じられたり、はたまたクレームも受けることもあったので、プラス面もマイナス面も含めて消費者に向き合えている実感が強くなりました。
そして、グリーで消費者に向き合えたからこそ、「消費者の日常に新たな価値を届ける事を続けていきたい」と思うようになりました。
消費者に対してサービスを届ける中で、より広く価値提供していく手段は他にもあるのではないかと考えるようになったからです。ソーシャルゲームは、エンタメとして確かに広く普及していたものの、個人の嗜好の領域でもあり、提供できる人が限られてしまう印象を受けました。
より多くの人の人生を豊かにできる方法がないか考えていたときに出会ったのが、転職マッチングサービスはじめ、人生の選択を支援するプラットフォームを展開しているリブセンスでした。リブセンスではプロダクトマネージャーや事業責任者、新規事業の立ち上げなど、今の仕事にもつながる経験ができたので、本当に感謝しています。
データを通して人の人生にプラスアルファをもたらす機会をさらに追い求めたいと考えたからです。
当初は、リブセンスでもデータを用いて転職支援など、人生の体験の最適化を届けるサービス開発を続けていました。ただ、転職は人生に大きな影響を及ぼす出来事ではあるでものの、何度も繰り返す事の少ないライフイベントかと思います。一人の消費者の機微に向き合って機能を変えていくということではなく、大多数の行動をもとに最適化していくイメージです。
消費者に日々の生活に継続して付加価値提供していくためには、転職活動のように「転職先が決まったら一旦終わる」サービスではなく、長く続いていく前提のサービスに携わりたいと思い、再び転職を検討することにしました。
日常のライフスタイルをサポートするサービスです。「衣食住」などがわかりやすいかと思います。毎日接点を持ち、その時々の行動やその意図をデータとして蓄積して、次の1日への提案をしていくようなことを想像しています。
特に、食は1日3回食べる機会があり、人々の生活に密接に根付いていると解釈して、食に関わる事業を展開している会社に関心を持ちました。
はい。消費者が直面している食の課題として、「レシピを考えるのが面倒」「仕方なく作っている」といったマイナスの課題があるのですが、エブリーはまさにそれらを解決するためにDELISH KITCHENを運営しており、興味を抱きました。
また、マイナスを解決するために何ができるかを考えたときに、例えば日々蓄積されたデータをもとに、時短レシピなど一人ひとりのニーズに合ったものを提案できたら、その人にとっての調理体験がポジティブなものに変わりそう、といったイメージがわきました。ゆくゆくは、レシピによって新しく時間が捻出できたり、DELISH KITCHENをきっかけに料理が趣味になったりしたら、多くの人に確実にプラスアルファの価値提供ができると思い、エブリーへの入社を決めました。
今まで所属したことのない経営企画配属ではありましたが、事業の根本を理解したく、事業側でもひとつひとつキャッチアップさせていただきました。また、何かの領域の責任者・リーダーではなく、いちメンバーとしてジョインしました。
経営企画業務の一環としては、DELISH KITCHENを一歩俯瞰した目線で見ながら、データを活用しつつ新しいプロダクトのネタを増やしていく仕事を経験しました。ネタをもとにしたプロダクト開発が決まり、小売業界と連携してニーズをヒアリングしつつ、半年後無事にリリースを果たしたのが、入社直後の印象的なプロジェクトです。リリース後は、徐々に拡大していくチームを牽引する立場に回りました。
経営企画を一から経験できたり、DELISH KITCHENの動画の作り方を当時のインターン生に習ったりなど、未経験のことにチャレンジできて楽しかったですね。また、プロダクトの新規開発にあたって、データを通してどのように小売やメーカー、消費者にアプローチすべきかを考え、施策の実行まで経験できたことも大きなやりがいを感じました。
もともと携わりたかった分野や、掲げていた思いにマッチした業務に関われて、まさに充実したスタートが切れたと思っています。
周囲からの率直なフィードバックをいただけるという事が、前向きに働くモチベーションにつながっていると思います。
キャリアを歩むうえで、役割のレイヤーが上がれば上がるほど、フィードバックされる機会は少なくなりがちかと思います。もちろん、自分自身での振り返りが重要になってくるとは思いますが、それだけではなく、もう一度立場なく学び直す機会を求めていたところもあるかもしれません。
だからこそ、エブリーでは新しい事へのチャレンジとして現場を知り、周囲にフィードバックを受けながら成長したいと思い、メンバーとして入社しました。
社内でのフィードバックもそうですが、消費者の反応はもちろん、協業先からの評価を積極的に求めたりしています。人々の生活に新たな価値をプラスアルファを届けていきたいからこそ、常に消費者からの声や現場からのフィードバックを大切にしています。
事業を見据える視座が上がったように感じます。また同時に広告主側へのソリューション提供まで担当範囲を広げたのですが、そのことで、気にすべきステークホルダーが広がり、事業もより俯瞰的に見る必要性があがりました。メーカーに直接話を聞いた一次情報をもとに仮説を立てたり、広告業界について深く現場を知った上で、それらをどのようにリテールメディアやサイネージに繋げていくべきかなど、物事を有機的に考えられるようになりました。
これからも、「人々の生活にプラスの価値を提供していく」軸を大事にしながら、その軸をソリューションを通して体現していきたいです。
今振り返ると、私の実現したいことは学生時代からずっと一貫していたのかもしれないなと思えますね。その思いを自分の納得する形でプロダクトに落とし込み、多くの人に喜びを広げられる世界を作っていきたいです。
自分の思いと、エブリーが掲げているミッションはまさにマッチしています。だからこそ、そのミッションを今のエブリーできちんと実現させなければならないと思っています。
熱量を持っている人と働きたいです。キャリアアップを考えるのも大切ですが、何かしらの問題に真剣に向き合いたい熱量がないと、働くうえでのモチベーションを維持するのが難しいからです。ちなみにその熱は、世の中を良くしたいといったざっくりとしたものでも良いですし、食の課題など、具体的なビジョンに向いているものでも構いません。
エブリーが掲げているミッションやパーパスに少しでも共感できて、置かれている現状を何とかしようといった意志を持っている人なら、共に頑張れると思います。情熱のある人と、同じ方向を向きながら働いていきたいです。
EVANGE - Director : Koki Azuma / Creative Director : Munechika Ishibashi / Writer:Yuko Kondo / Editor : Hanako Yasumatsu / Photographer : Takumi Yano