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「命の危機から掴んだ唯一のチャンス」 困難に屈さない Finatext HD子会社取締役 清水一博氏の突破力の根源

今注目のFintechスタートアップ取締役の最初のキャリアは自衛隊!金融とかけ離れた領域から楽天に売却するほどの保険事業を生み出した男、スマートプラス少額短期保険にて取締役を務める清水一博氏の軸に迫ります。

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"ニューエリートをスタートアップへ誘うメディア” EVANGEをご覧の皆さん、こんにちは。for Startups, Inc. のヒューマンキャピタリスト渡部凌平(Ryohei Watanabe)と申します。

私達が所属するfor Startups, Inc.では累計170名以上のCXO・経営幹部層のご支援を始めとして、多種多様なエリートをスタートアップへご支援した実績がございます。

EVANGEは、私達がご支援させていただき、スタートアップで大活躍されている方に取材し、仕事の根源(軸と呼びます)をインタビューによって明らかにしていくメディアです。

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清水一博(Kazuhiro Shimizu)
1991年、大学を中退して自衛隊へ入隊。その後、トラックドライバーや土木工事の現場監督などを経て、2013年に金融業界未経験ながら少額短期保険事業の立ち上げに従事。2018年には楽天株式会社からのM&Aにより楽天少額短期保険株式会社にて執行役員兼マーケティング部長に就任。2019年、株式会社Finatextホールディングス傘下に新設されたスマートプラス少額短期保険株式会社に取締役として参画。

Finatextホールディングスとの出会いと少額短期保険事業の立ち上げ

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-- 早速ですが、事業内容と清水さんの役割を教えてください。

私の在籍するスマートプラス少額短期保険株式会社は、Finatextホールディングスの子会社として2019年4月に設立されました。保険を今より更に「人々にとって役立つもの、生活を豊かにするもの」にしたいという思いで事業を行っており、2020年8月にその第一弾として妊婦向けの少額短期保険サービス「母子保険はぐ」をリリースしました。

私自身はスマートプラス少額短期保険株式会社の取締役として、保険の引き受け審査やお客様からのお問い合わせ、デジタル的な営業の取り仕切りまで幅広く管掌しています。

-- 数ある選択肢の中から、なぜ今の環境を選ばれたのでしょうか?

実は、キャリアの中で保険の経験は短く、7年前に新規で少額短期保険事業を立ち上げたところから始まりました。その事業は買収などによってある程度拡大し、自分のキャリアも順調にステップアップしていたのですが、今一度自分なりに保険の可能性を追求したいと思い転職活動を始めたところ、for Startupsのヒューマンキャピタリストの方からFinatextホールディングスでの保険事業の立ち上げというお話をいただき、「面白い!これしかない!」と思い参画しました。

事業の立ち上げフェーズという事もあり、最初は「なんでもしなきゃいけないんだろうな」と思って入社したんですが、実際その通りで、対財務局への書類作りや折衝、更にはシステムやホームページの部分などこれまで関わってこなかった領域まで幅広く携わってきています。

異業種から保険事業への新規参入

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-- ご経歴を拝見したのですが、最初の方のキャリアは保険事業どころかITとも全く関係が無い領域で驚きました!どういった経緯で保険事業に携わる事になったのでしょうか?

保険会社の社員というのは、いい大学を出て入社し、生涯保険会社という方が多いです。私の場合は大学を中退し、一番最初の仕事は自衛隊。その後はトラックドライバーや、土木・大工などカラダを使う仕事をずっとやってきました。アルバイトとして2010年頃に入社した土木系の会社で執行役員になり、そこで初めて保険事業に携わる事になりました。

当時の社長から「俺に夢を見させろ」と言われ、新規事業の検討が決まったことが全ての始まりでした。最初は社長の指示もあって共済事業を検討していたのですが、その過程で知った少額短期保険という制度に目をつけ、市場の大きさと私自身が猫を飼っていた事もあり「ペット保険」で企画書を書きました。すると社長から「面白い。やれるか。」と聞かれたので、全く自信はなかったんですけど「やれます」と答えたのが始まりですね。

その後、取締役会を何回も重ねてやる事に決まったのですが、メンバーは私1人。当時は取締役兼品質管理部長だったのでそちらの仕事もやりながら、まずは保険事業の認可を得るため財務局への申請を行いました。ただ、最初に挨拶へ行った時には財務局から「できるわけないからやめなさい。」と言われ、審査すら受け付けてもらえませんでした。というのも、当時勤めていた会社のあった愛媛県は保険会社とは無縁の地域。もちろん愛媛に本社を持つ保険会社なんてありませんし、手続きについて自分で調べようにも、当時はネットにもそんな情報はありません。

過去に何人か申請に来たそうですが、全員そこで説得されて帰って行ったそうです。ただ、私も取締役会の決裁も通してきているので引き下がるわけにもいかず、粘ること数時間。まずは審査だけしてもらう約束をこぎつけ、そこから約1年かけて認可を取り、ペット保険会社をスタートさせました。

-- 普通の人なら諦めてしまう状況ですよね。それでも推進できたのは何か強い思い入れがあったのでしょうか?

正直、先もわからないし絶対にやりたいという事ではなかったのですが、「一度決めたことだからやりきろう」という思いで取り組みました。この他にも、それまで様々な場面で「絶対無理だろう」と言われた事もやり切ってきました。

例えば、ある工事を受け持った時、請負金額4,500万円にもかかわらず最初から1億円の赤字予定という無茶苦茶な工事でしたが、1年間かけて赤字を500万円以内に抑えた事もありました。

-- 全く異なる領域からのチャレンジだったかと思いますが、特に苦労されたのはどういったポイントでしょうか?

苦労したのは情報が無い事でした。周りに相談できる相手もいませんでした。それでどうしたかというと、わからないことは財務局担当の方に直接聞くようにしたんです。一生懸命やっていたら応えてくれるんですね。普通はそこまでしてくれないと思いますが、夜中でもずっとやりとりしていましたし、善意で先回りして情報を調べてくれたりと、申請から認可まで1年くらい、ずっとその方に支援していただきました。

愛媛でスタートした保険事業が楽天に買収されるまで

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-- 設立された保険会社はその後どのように成長させてきたのでしょうか?

最初の1ヶ月は全く売れず、親会社の社長にはいろいろ言われて針のむしろでした。これはなんとかしなければという事で、当時は代理店メインで販売戦略を考えていた中で、「ネットで売る」というアプローチをやってみました。自腹でGoogle広告を数万円分出稿してみたところ即座に売れたんですよ。それですぐに親会社に掛け合って広告費を増やしたところ、販売実績も伸びて2年目には黒字化を達成しました。

ただ、売れたら売れたで別の問題が発生しました。保険会社は引き受けた保険契約に対して準備金というのを積まないといけないのですが、そのための資金がショートしそうになったのです。そこで親会社に出資・増資を頼んだのですが「嫌だ」と断られ、東京に来て死に物狂いで第三者の増資を引き受けてくれる企業を見つけたものの、それも親会社は「嫌だ」と。

最終的にどうしようもなくなってその話は決裂してしまったのですが、「増資が無理なら」と今度は売却先を探しました。株主でも無いのでそんな権限も無いですし、当然親会社からは最初断られたのですが、相手先を見つけて様々な根回しを行い、なんとか東京の会社と吸収合併する形で着地させる事ができました。そこからどんどん大きくなって最後は楽天に買収されました。

人生の底辺。命の危機に直面したダムでのトンネル工事

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-- 自衛隊から現職まで様々なご経験をされてきたと思いますが、「この時が一番つらかった」というエピソードはありますか?

普通のビジネスパーソンとはまったく違うキャリアを積んできたので、このようなエピソードでよいのかと思いますが、正直に答えると、2010年頃、島根県のダム現場に行って人力でトンネルを掘っていた時ですね。ダム工事の際、両側の山がコンクリートを据えても崩れないかを調べるためにトンネルを掘るんですが、山のとんでもないところにトンネルを掘るわけですから当然機械は使えません。人間がやっと入れるぐらいの穴を何百メートルか掘っていくんですけど、私の場合は何年か前に掘って崩れたところの復旧工事を担当しました。

これ、トンネル専門の人ですら嫌がるような危ない仕事なんですよね。過去崩れたところをまた掘るので、復旧してもどんどん崩れるんですよ。崩れないか確認するために頭を入れて中を覗き、崩れかければみんなで走って一斉に逃げたりと、身体はもちろんしんどいですし、本当に危ない環境で死にかけました。だからといって給与が良い訳でもなく今の半分以下。まだ10年ぐらい前の事ですが、この時が間違いなく底辺でしたね。また同じような現場にアサインされないとも限らないという不安もあったので、新規事業のペット保険に全力を尽くしました。

自分、そして家族のため、死に物狂いで形にした唯一のチャンス

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-- 自分の命を守るためにも全力を捧げたと。お話をお伺いしていると最初から「保険」に強い思い入れがあった訳では無いように見受けられますが、それでもここまで事業を成長させてきた原動力はどこにあったのでしょうか?

保険事業に参入するまでに私が働いてきた環境は、ほとんどが潰れかけています。愛媛のトラック運送業や土木会社は公共事業で成り立っていたところがあったのですが、民主党へ政権交代した際に行われた「事業仕分け」によって、公共事業が縮小して一気に仕事がなくなりまして。命が危険に晒される仕事もして、同じことを続けていても先が無いと感じていたので、いつもチャンスを探していました。そんな時に掴んだ最初の「唯一のチャンス」でしたから、なんとか形にしようと必死でした。それが今から7年前、42歳の頃です。

また、実は、ちょうど結婚をして子供が生まれた時期とも重なるんです。その時は子供に障害が見つかり、生まれた瞬間から手術をしなければならない状態でした。心臓の大きな手術だったのですが、愛媛にはそんな手術を万全の体制でできる病院はありませんでした。先程お話しした合併の件は、子供の手術のために東京に来たかったという思いも正直あります。実際、子供は東京に来てすぐ手術ができましたし、当時頑張れたのは「子供のため」という所が大きいですね。

スマートな成果の裏にある泥臭いオペレーション

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-- これまで清水さんご自身についてお伺いしてきましたが、組織に対するお考えも伺いたいです!チームを牽引する立場にいらっしゃったかと思いますが、組織を作る上で特に意識されてきた事などありますか?

事業の立ち上げは全て一人で行える訳ではありません。特に初めて保険事業を立ち上げた時は全員が未経験でした。それでも上手くいったのはチームのお陰です。未経験なだけに、問題を起こしたら一発アウトだと思って取り組んでいたので、わからない事は仲間と一緒にその都度話し合って解決していく風土を作っていました。例えば、業務フローも基本は部下に任せていましたが、営業開始しても問題なく運営できましたし、財務局からの監督対応も全く問題を起こさず、むしろ褒められたことしかありませんでした。

私自身は、どちらかというと大雑把なんですよね。だいたいのことは「なんとかなる」と乗り越えてきました。裏側では、過去にとてもシビアなお客様対応があったりもしましたが、それが例え北海道のお客様であっても「今から行きます」と即時対応しながら、チームメンバーと協力して乗り越えるなど、泥臭く乗り越えてきました。

-- スマートに見えるのもチームでの泥臭い動きの賜物なんですね!チームで仕事を進めるうえで、メンバーに求める素養などはありますか?また、このインタビューを読んで一緒に働きたいと思ってくれた方へ一言いただけますか?

私自身、「ここまでが自分の仕事」と領域を設けず、とにかくやってみるタイプです。「これも自分の仕事。必要なら自分でやる。」というスタンスで仕事をしてきました。なので、同じように「人の事でも自分の事のように感じてくれる人」と一緒に仕事がしたいですね。仲間を大切に思ってくれている事が何よりも重要です。

弊社には、アクチュアリー正会員として国内外の大手保険会社で豊富な経験を有する者、戦略コンサル出身者、開発からマーケティングまでオールラウンダーなPM、メガベンチャー出身のエンジニアから元金融系SIerまで、バックグラウンドも得意分野も様々なメンバーが集まっています。といってもまだ10人くらいの所帯で、職種の垣根なしに複数のプロダクトを作っているので、仲間になるなら今が一番面白いタイミングかもしれません。興味を持ってくださった方とは、ぜひカジュアルに話をしたいですね。

清水氏が考える、これからの保険のあり方とは?

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-- 最後に、スマートプラス少額短期保険で今後どういった世界を実現しこうとしているかお聞かせください。

私自身、元々は「デジタルしかやらない保険会社をやりたい」という話に魅力を感じて入社しています。保険は資料請求や各種手続きなど、まだ紙文化が根強く残っているため、以前から「もし資料請求や紙での申し込みが無くなったらどうなるんだろう」と思っていました。前職もデジタルメインではなかったですし、多くの保険会社は業務の大部分を紙に依存しているのでなかなかこの部分を捨てられないんですよね。

今までの保険の難しくわかりづらい手続きをデジタル化によって簡単で便利にしていくことはもちろん、グループ会社のFinatextが開発した保険システムを活用することで、生活者の不安や心配ごとにきめ細かく寄り添う保険サービスを作っていきます。私たちには、「この領域で成功したい」という気持ちが強くありますので、大手保険会社にはないスピード感を持って推進していきます。

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EVANGE - Director : Kanta Hironaka / Creative Director : Munechika Ishibashi / Assistant Director : Yoshiki Baba / Assistant Writer :Ryohei Watanabe, Yuto Okiyama / PR : Hitomi Tomoyuki / Photographer : Jin Hayato

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